水中の聖夜

お嬢様ではないけれど
少しの間おしとやか
泳ぐことさえ出来ないけれど
ほんのひととき歌いたい
古風な町のお転婆娘が
やっと見つけた水面(みずも)の楽譜
五線紙の上には二重唱
あなたが居るから私は歌い
私が居るからあなたは歌う
今宵 故郷で舞い踊る
青い尾びれの人魚姫
出逢えた嬉しさ噛みしめて
ふたり揃って歌ってる
December24、2001

人魚  人魚



小さな水たまり


鏡のような水たまり

雨あがりの未熟な空さえ

鼻先に香り漂わせ

わたしの笑顔も泣き顔も

青空の中


空に届かぬ想いを抱いて

水に浮かんだ空へと

泳ぎだしたいね


ほんのり冷たい冬の日に

December26、2001




貴男へ

涙を拭って貰える指がないのなら
涙を隠せるところへ旅に出てみるわ
きっと水の息すら聞こえぬ海底で
瞼に伝わる笑顔はまだ想い出のまま

December 31, 2001


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