意地悪仔猫

古いエアコンの音も
窓の外の 雨音も
あなたの吐息の 伴奏ね
あなたの 笑顔みつめて
意地悪仔猫の 私は
尋ねてみたくなる
ちょっと ましな
女のわたし
眠ること 好きな
少女のわたし
きょうは
どちらが いいの?
JUNE 19, 2001

美雨さんの「この涙が枯れるまで」に投稿しました。
挿絵



太った紫陽花

私の顔と 同じくらいの
紫陽花を 見たんだよ
小雨の中で 重たそうに
自分の身体を 支えている
藤紫色の 太った紫陽花
あなたは 何を食べているの?
太りたい私は 思わず訊いたの
答えは 戻ってはこなっかた
でも 葉と葉の間に
染み入る 雨が教えてくれたんだ
私 泣き虫だものね
いつも 身体から
水が 流れていくんだよ
藤紫色の 紫陽花
黄色だったら ひまわりみたい
JUNE 20, 2001

挿絵
 挿絵



湯煙の人魚

湯船から 出て
タオルを 腰に巻くと
湯煙の人魚
泳ぐことすら 出来ない
白い海で 思いを馳せる
自由に泳ぎまわれる
海まで 誰か
連れてって
尾びれも うろこも
付いたまま
少しのあいだ ほんのひととき
泳いでいたい
JUNE 21, 2001

 挿絵



優しさの音

きょうも 雨ふり
でも なぜだか
嬉しくて 耳をそばだてる
パステルカラーの傘を
くるくる回して 待っている
ねえ 聞こえるでしょ
鍵盤の上を 飛び跳ねる
澄んで透明な 雨の音
こんなに 優しく鳴っている
私の左手が 和音を奏で
優しさに 包まれる
ふたたび 出会える日
JUNE 23, 2001

挿絵



車の想い出

小さな車の中
窓閉め 雨音消して
見つめ合うと想い出す
学生時代の
あなたとわたし
いつまでも
こうしていたいと願った
窓の外の 街灯が
雨で滲んで見える
同じ 雨降りの夕暮れ
今 しあわせ感じてる
小さな車の中で
JUNE 24, 2001

美雨さんの「この涙が枯れるまで」に投稿しました。


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