落陽のシルエット

太陽と戯れていた
流れる雲も 遊び相手を
失なった夕暮れに
ふたりの 視界から遠ざかる
山の向こうの 明るさが
消えゆくまでに 確かめあいたい
ふたりの楽しみ ふたりの苦しみ
いつも 一緒であることを
埋め込んでしまいたい
この落陽の シルエット
May 29, 2001

挿絵

挿絵

わたしの白い蝶

エンジン音と ざわめきの中
アスファルトの狭間で待っている
一本筋の緑地帯
風に乗せたよ わたしの香り
黒煙抜けて 飛んでいく
白く輝く あなたの羽に
人目に触れず 煙を浴びて
それでも 咲きたい 花の性
赤信号で聞こえる音は
小さなひらひら 白い蝶
加茂の水越え 橋わたる
もうすぐね
わたしの黄色い肌を
ピンクに変えて
June 1, 2001

挿絵

挿絵

小さな橋の上

丸太の欄杆 橋の下
流れる水に映っているよ
私たち ふたりの幼い顔が
水の流れに 消されずに
ふたつ並んで 笑っているね
ときどき 歪むのご愛敬
こんなに無邪気な顔を 忘れずに
手を 取りあったままで
いつまでも いつまでも
今 言葉は手を伝う
June 2, 2001



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