ミシェル・サルダビー (Michel Sardaby) 1935年9月4日に生れた彼の生地はカリブ海に浮かぶマルティニーク島という(ベネズエラやドミニカに近い)中米地域ながら、フランスに属する島のため誕生国はフランスと成っています。解説資料によると1947年にアメリカ・ニューヨークに移り1953年にはフランス本土パリに移ったとのことです。 わたしがミシェル・サルダビーを聴くキッカケに成ったのは、前頁記載通りケニー・ドリューの日本再燃後からですので、彼のデビュー後18年〜19年も後ですので、かなり遅めのファンに成ります。 音楽を聴きこむ [力(チカラ)?気力?]にも、ある程度若さが必要だと思いました。 モダン・ジャズを聴いていた日々に、フリー・ジャズにハマっていた哲学意識の強い女性と知り合い、わたしも一時期、フリー・ジャズをよく聴きました、オーネット・コールマンやアーチー・シェップに始まり特にアルバート・アイラーの`70年作 『Nuits de la Fondation Maeght ラストレコーディング』 とジョン・コルトレーンの`62年作 『"Live" At The Village Vanguard』 の二作は忘れられなく大好きなアルバムです。 ただ、あの種の音楽は「みずから入り込んで聴きに行く気力」が無ければ10数分〜数10分間を一気に聴き続けることが出来ない程に若さを必要としていたと今振り返れば感じます。 聴いている間は生命を預けている様な感じです。人生について考えたくなる様な若さと生命力を使うジャズだったのでしょう。 力の限りを尽くしてサックスを吹き続けたふたりの生命力をも奪ったのでしょうか? アイラー34歳とコルトレーン40歳という若さで亡くなられています。 (先駆者コールマンは留まらずに変化を続け21世紀突入後も録音を続け、亡くなったのは近年で85歳まで、全うされた人生でしたが) 暗い地下室で熱心に聴いていた10代の熱さが年をいくつか越えて、初めて明るい処で静かに聴くジャズも良い物だと・・・年齢を重ねて考える(思う)ようになりました。 その様な時期に、日本でも注目されていた(彼のファンからしたら[再注目]だったのですが)サルダビーに出会っています。 あの`70年代半ばにヨーロッパのジャズ界に主流派ジャズを求めて目を耳を傾けた人たちから、ミシェル・サルダビーは愛されていたようです・・・特に日本のジャズ・ファンから? |
ミシェル・サルダビーの所持アルバム、聴いた順でなく資料備忘録的にオリジナル発売順にて。 『BLUE SUBSET』, 『FIVE CATS' BLUES』、LP全盛時の録音で前者は`65年録音で`67年に、後者は`68年録音で`69年にそれぞれフランスでのみの発売だったようです。日本盤が最初に出たのは1990年だったようで、それとてLP盤での発売、ポップス系ならば既にCD発売が普通に成っていた時代ですのでそこは妙にジャズらしさを感じます。 `90年代にはまだ多くのジャズ喫茶があり、そこには「アナログ盤の音で聴きたい・聴かせたい」というオーディオへのこだわりが根付いているのだと感じます。 (ジャズ喫茶が減りだしたのはCD化が普通に成った時代と受動喫煙が問題に成った2000年代に入ってからでしょう、ジャズ喫茶にタバコの煙は何故か似合っていました) わたしがこれらの旧作アルバムを手にしたのはかなり後で、CDでの再発盤です。デビュー作の方はトリオ演奏で後者はクインテット演奏。ホーン楽器が入いるとさすがに普通のモダン・ジャズ演奏に感じて特にヨーロッパ風だとは感じません。 『BLUE SUBSET』の日本でのCD再発時に、未発表音源をLP仕様で1990年に日本で発掘販売された『CON ALMA』をカップリングされていました。(こちらは後述) フランスオリジナルLP盤のジャケットデザインを見ると如何にもジャズ・アルバム風ですがこの再発CDのデザインではクラシックのピアニストのアルバムの様に思えてしまいそうです。そしてもしこのアルバムがわたしとミシェル・サルダビーの最初の出会いでしたら、気を惹かれるのに更に多くの時間が必要だったでしょう。特に印象的な部分は感じられない印象でした。『FIVE CATS' BLUES』の方はその点ホーンが入ったクインテット演奏ですのでヨーロッパを感じませんが従来のモダン・ジャズという雰囲気は充分に感じられます。 |
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BLUE SUNSET c/w CON ALMA [BLUE SUNSET] original LP 1970 Sound Hills SSCD-8102 (Japan) 2005 [Blue Sunset] 1. Blue Sunset 2. Always Room For One More 3. Empty Room 4. Wendy 5. Lament For Billy 6. Come From Nowhere recorded in Paris 1965 [CON ALMA] 7. Blues For Mae 8. Pancake Palace 9. Volcanic 10. Brother Bill 11. Con Alma 12. Little Sister Live in Paris : 1964 Trio bass : Gilbert Rovere , drums : Philippe Combelle piano : Michel Sardaby |
FIVE CATS' BLUES original LP 1969 Sound Hills SSCD8136 (Japan) 2006 1. Flippin Out On Monday 2. Punch 3. Sonia 4. My Sweet Eleonore 5. Five Cats' Blues Quintet bass : Henri Tischitz drums : Michel Denis piano: Michel Sardaby tenor saxophone : Alain Hatot trumpet : Pierre Dutour |
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『NIGHT CAP』、 トリオ演奏で彼のピアノ演奏の特徴や曲作りの傾向を知ることが出来るアルバムです それは"I'm Free Again"、"Maya" 辺りの様な雰囲気のある素敵な曲を作れるところに、アメリカ人でないフランス人の血を感じます。 (余談ながらこの写真のサルダビーは若き日のポール・チェンバースに似ていますね。) ちょうどこの頃にジャズ盤CDを中心にアナログLP盤回帰ブームが起こりCDにもLPデザイン復刻が喜ばれるようになって紙ジャケットCDが作られるように成ってきました。ジャズ喫茶通いをしたジャズ・ファンは特にアルバムカバーのデザインに拘りが強いですね。 『IN NEW YORK』、自身が10代を過ごした地ニューヨークへ渡り現地で録音した作品、共演にエルヴィン・ジョーンズ『Heavy Sounds』やエリック・ドルフィーの『Out to Lunch』でお馴染みのリチャード・デイヴィスやマイルス・デイビス、ジョン・マクラフリンのメンバーとして売り出し中のビリー・コブハムを招きながらも、アメリカでの発売は無く本国フランスのみでの発売で日本盤による日本への紹介は1990年一連のLP盤作品群の一枚でした。当時クロスオーバー、フュージョンが主だったアメリカでの売り上げは当然期待できなかったのでしょう。演奏にはコンガ奏者レイ・バレットが加わったクヮルテット形態です。後年の繊細なピアノタッチは感じられるもののまだリリカルな面は感じられない演奏です。 |
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NIGHT CAP original LP 1970 Sound Hills SSCD-8004 (Japan) 2004 1. Traveling On 2. Night Cap 3. I'm Free Again 4. Maya 5. Nile Voyage 6. Satin Doll Trio bass : Percy Heath drums : Connie Kayt piano : Michel Sardaby |
IN NEW YORK original LP 1972 SOUND HILLS SSCD8079 (Japan) 1997 1.The Panther Of Antigny 2.Waltz For My Father 3.Love Love And Dream 4.Martinica 5.Someone Came Into My Life 6.Coulies' Dance Quartet piano : Michel Sardaby bass : Richard Davis drums : Billy Cobham congas : Ray Barretto Recorded on August 03,`72 in New York (RCA Studio) |
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『GAIL』、再度ニューヨークに渡って録音されたアルバムに成ります。そして米国発売は当然ありませんでした。ドラマーがビリー・ハートに代わりコンガがパッカーションに替わっては居ますが、もっと変わったのは数曲のピアノがフェンダー・ローズ・ピアノ (エレクトリック・ピアノ) で演奏されているところです。当時のアメリカの時代背景を反映しているのでしょう。 トップ曲 "Gail" の鐘のように響く音がそうでしょう。どこかミステリー音楽のサウンドトラック音楽に聞こえます。もう少し電子化タイプが"Welcome New Warmth" ですが到底ミシェル・サルダビーが演奏するとは思えない曲です。ただこのアルバム全曲の作者は彼です。フュージョンタイプでアメリカンナイズされた曲ですが、曲としては悪くなく私的には結構好きな曲に成ります。若干マッコイ・ターナーのアルバム『Song for My Lady』のトップ曲"Native Song"に似ている構成だと感じましたがどちらも好きです。 また、タイトルまで似ている "Song For My Children" も似たような曲調で、ピアノの響きをうまく生かしている曲です。 『VOYAGE』、いよいよミシェル・サルダビーもサウンドが変化しだす`80年代に入ります。共演者のロン・カーターは`60年代マイルス・コンボの最重要ベーシストでした。ところがマイルスが発表した`68年『Filles De Kilimanjaro キリマンジャロの娘』では数曲(録音日が遅い方で)にベースが Dave Holland に替えられています。このアルバム発表後にマイルスの電子化は進み、ロン・カーターはコンボを離れてしばらく他人との共作やセッションマンとして働いていました。その様な時代に録音されたアルバムでした。ジャズ・スタンダード・ナンバー数曲とサルダビーのオリジナルで構成されています。 "Lush Life" はナット・キング・コールの歌とフリー・ジャズ傾倒前のジョン・コルトレーンの歌や演奏で知っていた曲ですが、ここでは既にアメリカ風と云うよりヨーロッパの香りが漂う演奏に成っています。 "Caribbean Flower" はサルダビーのオリジナルですが菊地雅章の "ヘアピン・サーカスのテーマ" にかなり似た作りだと感じました。 "Solar" はマイルス・デイビスがPresitge時代に吹き込んだジャズ全盛期のアルバム『Walkin’』の中の曲、ロン・カーターがマイルス・コンボに加入前の曲ながらふたりが好きだったと思える選曲です。 |
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GAIL original LP 1975 Sound Hills SSCD-8130 (Japan) 2005 1. Gail 2. Spindrift 3. Ten Kisses Short As One 4. Welcome New Warmth 5. Help Me Belong Here 6. Song For My Children 7. One Long As Twenty 8. Sambando Nas Ondas Quartet bass : Richard Davis piano: Michel Sardaby drums : Billy Hart percussion : Leopoldo F. Fleming Recorded on Feb. 70. `75 in New York (Media Sound Studio) |
VOYAGE Feat. Ron Carter orijinal 1984 Sound Hills SSCD8103 (Japan) 1999 1. Lush Life 2. The Jitterbug Waltz 3. Lame Leg 4. Caribbean Flower 5. Sandra's Dream 6. Solar 7. In A Sentimental Mood 8. Relaxin' At Camarillo Duo bass : Ron Carter piano : Michel Sardaby Recorded on March 28, 1984.live at Modern Art Museum in Paris. |
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『CARIBBEAN DUET』、わたしはモンティ・アレキサンダーというピアニストを知りませんでしたし、このアルバム以外の演奏も聴いていない人ですが長く活動している人の様です。サルダビーと同じく中米カリブ海に浮かぶ島ジャマイカの出身という経歴からかこのタイトルでの共作アルバムが実現したのでしょうか? ピアノ二台でのライブ録音の様ですが、どのピアノ音が誰かなのかは判別出ません。 トップ曲 "Jamaica Farewell さらばジャマイカ" は ハリー・ベラフォンテのヒット曲、ベラフォンテはマルティニーク島出身のお父さんとジャマイカ出身のお母さんの子という生い立ちからこのふたりの共演にピッタリの歌手の曲から始まっています・・・出来過ぎです! "Fuchsia/Hibiscus"(ふたりの共作)はもう完全に従来のアメリカン・ジャズから離れています、ショパンが作った曲といっても信じて貰えそうな感じです。(ベースやドラムスが入っていないのがクラシック風に聞こえる事に関係はしているでしょう) オールド・スタンダード曲 "Happy Talk" はさすがにスインギーなジャズ・ピアノで演奏しています。ラストの "Eleuthera" はアレキサンダーのオリジナルなのでおそらく彼がメインで弾いているのでしょうが曲自体はなかなか良い感じです。 『GOING PLACES』、1989年の録音で録音スタジオはジャズ界では有名なヴァン・ゲルダー・スタジオ(米ニュージャージー州)で行われています。フランスからモダンジャズ界の名門スタジオへ向かったのはおそらく一度は此処での録音を残して置きたいとの願望(アルバムタイトルからの察し)が有ったからなのでしょうか? トップ曲 "Going Pkaces" はサルダビーのオリジナルでジャズ喫茶全盛期のサウンドを再生しているかのような懐かしさを感じる曲です。"Street Smart" もコロコロと軽く転がるようなピアノが心地よいです。他はスローな曲が多いですが、その中では "Lotus Blossom" が一番でしょうか?サルダビーの特徴が良く出たメロディーです。他は左手のコード音が強く響きすぎて耳に残り気に成りました。 |
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CARIBBEAN DUET Michel Sardaby And Monty Alexander original LP 1985 Sound Hills SSCD8112 (Japan) 2000 1. Jamaica Farewell 2. Yellow Bird 3. Like Someone In Love 4. Nocturne Dance 5. Fuchsia/Hibiscus 6. Antony 7. Happy Talk 8. Macouba 9. Eleuthera piano : Michel Sardaby piano : Monty Alexander Live at Modern Art Museum,Paris Nov 24 & 25,1984 |
GOING PLACES original LP 1990 Sound Hills SSCD8119 (Japan) 2002 1. Going Places 2. Mumbo-Jumbo 3. Yearning 4. Sugar Loaf 5. Drum Tantrum 6. How Deep Is The Ocean : 7. Street Smart 8. Lotus Blossom Trio bass : Rufus Reid drums : Marvin "Smitty" Smith piano : Michel Sardaby Recorded at Van Gelder Recording Studio. on October 6 & 7,1989 |
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日本での知名度が上がっていた`90年に日本公演をしていますが、その際の8月1日に東京・高田馬場にあるスタジオで録音されたのがこの 『NIGHT BLOSSOM』 でわたしが最初に買ったサルダビーのアルバムでした。トップのスペイン語によるタイトルが付けられたオリジナル曲 "Madrugada" は特にスペイン風味を感じませんでしたがいわゆるジャズボサと言われたジャンルの香りがしました。 "Maelstrom" は曲構成がサルダビーの特徴を良く感じ取れます。タイトルは大海に起こる大きな渦潮の事らしいですが、スローから次第にアップテンポに替わって行き荒れた海を表現するかのようなストーリー性を感じる構成です。7分弱が短かすぎる位に聴き入ってしまう曲です。 "For All We Know" はスタンダード曲でわたしはビリー・ホリディの『Lady in Satin』で聴いていて、そちらのイメージが強すぎてこの曲はヴォーカル入りで聴きたい曲だと思って仕舞います。"Way Farer"、"Falling In Love With Love 恋に恋して"、"Farewell Tokyo" の3曲は従来のモダン・ジャズスタイルの曲です。トラック4と7がオリジナル、5曲目が Rodgers & Hart 作のスタンダード。どの曲も良き時代のモダン・ジャズ風味を味わえる良い演奏です。 花関係のタイトルが付いた "Night Blossom"と"Single Petal Of A Rose (D. Ellington作)"は夜の静けさのテーマに沿っているのか、この種の重たい曲は聴き手の状態にも左右され、聴きたいと思う気が起こっていないと敬遠しがちです。ただラスト曲は殆どがピアノソロで続くので渾身の演奏です。 『CON ALMA』、この演奏盤は1964年の録音ながら未発表状態が続き、LP盤にて正式に1990年に発掘発売された物。 購入CD盤は2005年再発時に『BLUE SUNSET』とのカップリング [2 albums 1 CD] として出されたものです。 実質は初レコーディングに成る作品です。`64年という事でハード・バップ最後期時の録音に成りますが、ピアノトリオ形態の良い部分が一杯詰め込まれており、個人的にはジャズの種類で最も愛したジャンルです。全曲 Good! です。(アルバムデザインは二面仕様で2タイトル若干、色などを変えられています) |
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NIGHT BLOSSOM 1990 DIW/Disk Union DIW-602E (Japan) 1. Madrugada 2. Maelstrom 3. For All We Know 4. Way Farer 5. Falling In Love With Love 6. Night Blossom 7. Farewell Tokyo 8. Single Petal Of A Rose Trio bass : Jay Leonhart drums : Albert "Tooty" Heath piano : Michel Sardaby Recorded at Big Box 901 Studio in Tokyo on August 1st, 1990. |
CON ALMA [CON ALMA] original 1990 Sound Hills SSCD-8102 (Japan) 2005 [Blue Sunset] 1. Blue Sunset 2. Always Room For One More 3. Empty Room 4. Wendy 5. Lament For Billy 6. Come From Nowhere Paris: 1965 [CON ALMA] 7. Blues For Mae 8. Pancake Palace 9. Volcanic 10. Brother Bill 11. Con Alma 12. Little Sister Live in Paris : 1964 Trio bass : Gilbert Michel Finet drums : Philippe Combelle piano : Michel Sardaby |
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『STRAIGHT ON』、デビューからのサルダビーのアルバムの中でホーン楽器が入るのは珍しく`69年の『FIVE CATS' BLUES』以来二回目に成ります。クァルテット編成の場合、ドラムスに追加でコンガやパッカーション奏者を加えていましたのでリズム陣の追加でした。ソロ・リードを取れるホーンが入ることでハードバップ風なピュア・ジャズを期待します。全曲オリジナルながらその雰囲気はライヴ録音と相まって間違いなしです。 ただ、この録音盤は1993年に一度日本で発売されていますが(仏盤は出ていた可能性も有りますが)フランスでの発売を確認できませんでした。おまけに日本盤も直ぐに廃盤になり購入は再発CDです。ピアノ・トリオ形式でなくホーン入りということが影響しているのなら残念ですが。 ライナーに依ると四人のメンバーはアメリカから呼んだメンバーですべて初共演者だったということです。そのせいも有ってなのか特別変わった展開を持った曲や西欧調タイプの曲は有りません。`50年代後期から`60年代前期の時代の主流派ジャズが続きます、サルダビー独特の個性は影を潜めてはいますが私的には好きなアルバムのひとつです。 スィングするピアノタッチやドラムス、そしてホーン・リードでのバッキングピアノなど、他のアルバムでは聴けない部分が結構あります。 『PLAYS CLASSICS AND BALLADS』、録音は何故かアメリカ、ニューヨークです。そしてサルダビーのオリジナルは "Something To Think About"、"Don's Delight"の二曲で他はジャズ・クラシックと呼ばれる往年の曲の演奏です。前作 『STRAIGHT ON』 の様なハード・バップ時代を思わせるのとは反対でじっくりと聴かせるバラードタイプが多くサルダビーの個性が良く出る選曲です。 トップの "Old Folks" や "Isfahan" は当にじっくり聴きこんでしまう演奏でこの詩的なタッチこそが魅力の人でしょう。反対によくスィングしている曲が一曲だけありまして、それが "Alone Together" でしょうか、原曲はミュージカルソングですがジャズ・マン、ジャズ・シンガーが多く取り上げており有名曲です。ドラムスの音も良い感じです。 このカバーの写真は微笑ましくて好感持てます。内股立ちの女の子(恐らく日本人)の手をひくサルダビーの笑顔が素敵です。 サルダビーのファンの多くは`69年〜`70年あたりの作品が好きな人多い様ですがわたしはどちらかと云うと`90年年代全般の演奏の方が好きです。 |
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STRAIGHT ON original LP 1993 Sound Hills SSCD 8003 (Japan) 2006 1. Settin' The Pace 2. Blisfull Breeze 3. Ballad For Roni 4. Feliz 5. Down At Dawn 6. Smoothies 7. Dexterdays 8. Turn On The Heat Quintet bass : Peter Washington drums : Tony Reedus piano : Michel Sardaby tenor saxophone : Ralph Moore trumpet, Flugelhorn : Louis Smith Recorded live at the 《Aligatorsi》 in Paris, on May 15-16 1992. |
PLAYS CLASSICS AND BALLADS 1997 Sound Hills SSCD8073 (Japan) 1. Old Folks 2. I Mean You 3. Isfahan 4. Movin' Along 5. Something To Think About 6. Alone Together 7. Don's Delight 8. Duke Ellington's Sound Of Love Trio (tracks: 1 to 7) bass : Buster Williams drums : Ben Riley piano : Michel Sardaby Quartet (track: 5) Trio + rrombone : Robert Trowers Solo (track: 8) Recorded on October 9-10, 1996. at Systems Two Recording Studio in N.Y. |
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『INTENSE MOMENT』、1997年の来日時に東京で録音されたアルバム。スタンダード曲などような他人の曲であっても、自分流に演奏するのがミュージシャンがミュージシャンたる所以でもあるのでしょうが、サルダビーはメロディー作りに長けた人だと思います。ここでも全曲オリジナルです。が、今回は"Just You & I " 以外は全体的に平均的な感じに思えます。その中では "Just You & I " がピアノソロでの演奏でじっくり聴き入ることが出来ます。アンサンブル曲では "Crescente Blues #1" が良かったでしょうか。 『KAREN』、日本での録音盤から五年経ての録音です。67歳に成っていましたが八曲中七曲がオリジナルです。その中ではトップの "Wild Bird" がスロー・ナンバーで後半 "KeeP It UP" がアップ・ナンバーでサルダビーらしさを感じ良い出来だと思いました。 |
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INTENSE MOMENT 1997 Sound Hills SSCD-8080 (Japan) 1. Narita Stream 2. What Do You Care For "Intense Moment": 3. Strolling At "DUG" 4. Trane's Mood 5. Crescente Blues #1 6. Strong Point 7. Crescente Blues #2 8. Prelude For Children 9. Just You & I Trio (tracks: 1 to 7) bass : Reggie Johnson drums : John Betch piano : Michel Sardaby Solo (tracks: 8 & 9) Recorded at Crescent Studio, Tokyo, Japan on June 5, 1977 |
KAREN 2003 Sound Hills SSCD8123 (Japan) 1. Wild Bird 2. Karen 3. Let's Enjoy It 4. Warm And Sunny 5. M.R.D 6. For One, Again 7. Keep It Up 8. It Had To Be You Trio bass : Reuben Rogers drums : Dion Parson piano : Michel Sardaby Recorded on Oct 10, 2002 |
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『AT HOME』、カバーの写真は娘さんが撮ったそうです、どこかジョン・コルトレーンの風貌に似ています。裏カバーにはピアノの前に居るお父様そして、封入の解説書内にはご両親の写真も載せられていました。録音はパリ・モンマルトルの自宅だそうです。付けられたタイトルの意味が判ります、それはトップ曲でオリジナルの "Just All Of Us" のタイトルにも。この曲最初はミディアムテンポで飾り気のないごく普通の曲の様に感じましたが、聴くうちに引き込まれていく感じがしてかなり魅力的な曲だと再認識しました。アメリカン・タッチとヨーロピアン・タッチが融合したジャズです。 次はスタンダードの "Lullaby Of The Leaves 邦題:木の葉の子守歌"、日本では古いオリジナルよりベンチャーズのロック調の演奏で広く知られました。子守歌らしくないテンポでしたがこのサルダビー・ヴァージョンもそこそこの子守歌らしくないテンポで演奏しています、良い感じのジャズ・アレンジです。原曲は歌詞の付いた歌曲で、子供の為の曲ではなかったのです。大人に成った主人公が「夢を見る為に眠らせておくれ」といった意味合いの曲でした。 "Evidence" セロニアス・モンクの曲、モンクのアルバムも数点持っていますが、何故か次から次へと聴こうと思えなかったピアニストでした。ただ作曲した曲の多くは他人に取り上げられて有名な曲として残っています。この曲もジャズらしさを感じる事が出来るさすがの曲です。 "Sardaby (Tribute To My Father)" と "With Full Of Love (Tribute To My Mother)" はタイトル通りご両親を讃えた一曲。(音楽を抜きにして、両親を愛する事が出来る家庭環境で育ったのだと推測できます) "A Time For Love" は映画音楽作曲家として有名なジョニー・マンデルが映画「殺しの逢引き(An American Dream)」内で披露した曲でジャズ界ではビル・エヴァンスのピアノ・ヴァージョンで有名な曲。 "Just All Of Us" はサルダビーのオリジナル。主流派ジャズをヨーロピアン・タッチで仕上げた曲としてかなり良い出来だと思います。サルダビーの特徴がよく判ります。ラストの "Someone To Watch Over Me 誰かが私を見つめている" はジャズ・シンガー以外でも歌う人が多いスタンダード曲、この曲に関してはまぁ普通の感じでしょうか。ただアルバム全体ではサルダビーのアルバム内でも好きなアルバムの一枚です。 『NIGHT IN PARIS』、サルダビー70歳記念とパリにある有名レコードショップの [Paris Jazz Corner] 14周年記念をかねてのライヴ演奏を収めた二枚組。確かに中の解説部分の写真を見るとサルダビーの背中が若干丸まった姿で映っていました。全曲17曲のうちオリジナルは2曲、他はスタンダード曲でのライヴ演奏です。トップは "Bag's Groove" マイルス・ファンなら知っていて当然曲で、初出版の際は "Bags' Groove" でアポストロフィの位置が違うのです、後年は "Bag's Groove" 表記が多い様ですが、作曲者ミルト・ジャクソンのあだ名が [Bags] だったことから想像すると "Bag's Groove" が正解のタイトル(初出もこちらでした)だと思うのですが・・・わたしはこだわり派です。 "Don't Explain" ビリー・ホリデイの有名曲、多くの解釈による演奏や歌曲がありますが、Decca のビリーや EmArcy のヘレン・メリル(クリフォード・ブラウンと組んだアルバム)での印象歌唱ヴァージョンの印象が強くもっと寂しげなムードで弾いても良かったのにと思ってしましました。 マイルスの曲は "Tune Up" サルダビーはマイルスとの接点はないのでしょうが、ロン・カーターと組んだアルバムでマイルスPrestige 時代の曲を演奏していましたが今度も同時代の曲です。 ハード・バップ時代の曲を選ぶところが嬉しいです。"Crazeology" はもう少し前の時代のベニー・ハリスの曲でビバップからハード・バップに移る頃の曲でライヴならではの選曲でしょうか。"Lush Life" もロン・カーターとの共演盤で演奏されていた曲。似た感じの演奏です。Disk2の方にはセロニアス・モンクの曲が1、5、9と三曲選ばれています。モンクは特異なピアニストでそのタッチを真似る人は少なかったのですがモンクの作った曲を演奏する人は多々います。サルダビーのようにオリジナル曲が多い人はそうそう演奏していませんでしたが、前作で"Evidence"をそして今回は三曲。多くの曲がジャズ界でスタンダード化しているのですから録音しておきたかったのかも知れません。"Rhythm-A-Ning" は他のプレイヤーでも聴いたことのない曲でした。スピード感のある演奏でモンクのオリジナルは「どんなの?」って思って仕舞いました。 "Canadian Sunset" はジャズ畑の人たちのカヴァーも多いですが、私的にはサム・クックのソウル系が好きなヴァージョンですのでここでの演奏はかなりガッカリでした。全体の評価も前作『AT HOME』の方がかなり上に成ります。 |
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AT HOME 2004 Sound Hills SSCD8128 (Japan) 1. Just All Of Us 2. Lullaby Of The Leaves 3. When I Remember 4. Evidence 5. Sardaby (Tribute To My Father) 6. With Full Of Love (Tribute To My Mother) 7. A Time For Love 8. Just All Of Us 9. Someone To Watch Over Me Trio bass : Ray Drummond drums : Winard Harper piano : Michel Sardaby Recorded on April 18, 2004 |
NIGHT IN PARIS 2006 Paris Jazz Corner 983-646-1 (France) CD : 1 1. Bag's Groove 2. Don't Explain 3. Tune Up 4. Don't You Know I Care 5. Crazeology 6. I Can't Get Started 7. On Green Dolphin Street 8. Lush Life CD : 2 1. In Walked Bud 2. Blues For JP & N 3. Theme For Ernie 4. Embraceable You 5. Rhythm-A-Ning 6. Night Blossom 7. Canadian Sunset 8. Cup Bearers 9. Blue Monk Trio bass : Reggie Johnson drums : John Betsch piano : Michel Sardaby Live at A Paris A L'Archipel, Paris, April 21, 2005 |
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『NATURE』、トップの "Tres Palabras トレス・パラブラス" という曲はオスバルド・ファレス(キューバ人)という人が書いた曲でラテン音楽で有名な曲の様です、確かにラテン音楽の曲調です。"Blues for Pat" は作者がPatricia Sardaby と成っていますが、解説によると娘さんが口ずさんだメロディーをサルダビーが仕上げた曲だという事です。そのテーマ部分を何度も繰り返しています。 "So in Love" はコール・ポーター作、ミュージカル畑の作曲家の中で一番好きな人です。ジャズ・シンガーがこぞって取り上げている "You'd be so nice to come home to"や "I've Got You Under My Skin"の作者でMGMミュージカル映画のビデオをレンタル屋さんで続けて借りて観ていた際のひとつ『キス・ミー・ケイト』のなかの一曲がこの曲でした。ラストの "Fukushima Blues" は2011年3月に起こった日本の東日本大震災の事を思っての追悼曲とのことです。アルバム全体の演奏では10曲目のオリジナル "Pretext" が良いと思いましたが、全体的に以前の様な「奇麗な音」と感じるピアノの音が減っていると感じてしまいました。 『THE ART OF michel sardaby』、日本の Sound Hills から発売されていますが、解説書も無く「直輸入日本盤仕様」の形での発売です。またベスト・アルバムの形式ですが選曲者は本人でも日本のスタッフでもなく、娘さんのパトリシアさんだという事です(プロデュースも兼ねています)。殆どのアルバムを占めているトリオ演奏物でなく、ホーンが入った曲が5曲も選ばれているのは嬉しいです。ひとつの作品として聴きとおすことの出来るアルバムです。 |
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NATURE 2012 SOUND HILLS SSCD-8142 (Japan) 1. Tres Palabras 2. Young And Foolish 3. Blues For Pat 4. Ballad Just For You 5. So In Love 6. Passion Flower 7. The Jitterbug Waltz 8. Salt River 9. One More Blues 10. Pretext 11. Fukushima Blues Trio bass : Hassan Shakur drums : Alvin Queen piano : Michel Sardaby Recorded at Studio Midilive on March 14-15, 2011 |
THE ART OF michel sardaby 2012 SOUND HILLS SSCD8143 (Japan) 1. Song For My Children 2. Night Cap 3. Dexterdays 4. Five Cat's Blues 5. I'm Free Again 6. Turn On The Heat 7. My Sweet Eleonore 8. Brother Bill 9. Sardaby's (Tribute To My Father) 10. Smoothie |
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ジャズ・ミュージシャンの場合、他のジャズ・ミュージシャンのコンボやリーダー作に参加することはごく普通の形態で録音の際も同様です。下記は他のジャンルで活躍しているミュージシャンのアルバムに参加した稀なアルバムに成ります。 『...GOOD FEELIN'...』、テキサス出身のブルース・マンでエレクトリック・ブルース・ギターの先駆者としての評価を確立したギターリスト。わたしも10枚を超えるアルバムを持っている好きなギターリストのひとりです。`60年代後半なら普通イギリスへ出向くでしょうが、これは`68年のフランス・ツアー時にフランスで録音されたアルバムとの事。故にバックは当時フランスで活動していたミュージシャンがつとめた模様で、サルダビーも殆ど無名だった時代に駆り出された感じだったのでしょうか。バックで一応名がそこそこ通っていたのはサックスのマヌ・ディバンゴのみだった様です。T-ボーン自身もピアノを弾く上、他にもピアノ担当者がクレジットされていますので、サルダビーの音を見つけるのは難しいです。 |
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...GOOD FEELIN'... T-Bone Walker original 1969 Polydor POCP 2326 (Japan) 1994 1. Good Feelin' 2. Everyday I Have The Blues 3. Woman You Must Be Crazy 4. Long Lost Lover 5. I Wonder Why 6. Vacation 7. Shake It Baby 8. Poontang 9. Reconsider 10. Sail On Little Girl 11. When I Grow Up 12. See You Next Time vocals, guitar, piano : T-Bone Walker guitar : Slim Pezin bass : Jeannot Karl drums : Lucien Dobat percussion : Earl Lett, Jean-Louis Proust piano : Michel Sardaby piano, organ, percussion : Bernard Estardy piano, organ, saxophone : Manu Dibango saxophone : Francis Cournet, Pierre Holassian Recorded on November 1968. at Studio CBE in Paris. |
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