Thin Lizzy

 1975年にキングレコードから『ブリティッシュロック秘蔵盤シリーズ』として'69年〜'73年に発売された12枚のレコードが発売されました。わたしが買ったのはブラック・キャット・ボーンズとカーン、そしてシン・リジィーのファーストアルバムとサードアルバムです。(当時のキングレコードは他ジャンルも含めて結構、国内未発表作の発売に力を入れていた会社でした)
 と言う訳でこのシリーズの発売を通じて彼等を知りました。
 ところで、通常ブリティッシュロック・バンドとしてと分類されているシン・リジーは正確にはアイルランドで結成されたバンドです。アイルランド32州のうち北アイルランド6州はイギリスの植民地だったために Great Britain や The United Kingdom に属するという事で、北アイルランド出身のロック・ミュージシャン、ヴァン・モリソンやゲイリー・ムーアは普通にブリティッシュ・ミュージシャンと呼ばれ、ロリー・ギャラガー(バリーシャノン生まれコーク育ち)やシン・リジーのフィル・リノット(ダブリン出身)はアイリッシュ・ミュージシャンと呼ぶ方が自然なのでしょうが、アイルランドのミュージシャンの活躍の場・作品発表の会社などは常に英国を基点としていたためロリー・ギャラガーもシンリジーもブリティッシュ・ロッカーとして認識されていた方が多かったと思います。
 ただ、ブリティッシュ・ロッカーとされていながらもアイルランド・北アイルランドのミュージシャンの奏でる音楽には独特の哀愁ある旋律が底に流れているので異質な部分も感じます。
この辺りがアメリカよりも日本で長く人気を保っている要因なのかも知れないですね。

 シン・リジー (Thin Lizzy) のリーダーであるフィル・リノット(Philip Paris Lynott)(現在はライノットと表記されることが多いですが'70年代当時はアイルランド系発音に多いリノットと表記されていました、私的には当時の表記で記された方が愛着あります)は1949年8月20日にアイルランド人の母とブラジル系イギリス黒人の父の間に混血児として生まれていますが、生地に関してはバーミンガム(イギリス)という説とダブリン(アイルランド)という説が存在しています。
父親とは生後2〜3週間で別れているのですが、バーミンガムから祖母の住むアイルランド・ダブリンへ移住し、フィルを預けて母親がマンチェスターへ働きに戻ったという説と元々ダブリンで産んで同地に住む祖母に預けて母親がマンチェスターへ働きに出たという説に分かれています。
 どちらにしても、4歳で親無し子に成ったフィルは結構なワルとして学校時代を過ごした様です。

そのハイスクール時代に既にショウバンドでドラマーとして活躍していたブライアン・ダウニー(Brian Downey)と知合い、彼の影響で音楽に興味を持ち、別のバンドで歌を歌うように成っていきます。その後、北アイルランドで活躍していたバンド、スキッド・ロウ(Skid Row)へヴォーカリストとして参加。ここでギターを弾いていたゲイリー・ムーア(Gary Moore)にベース・ギターの手ほどきを受けながらも直ぐに脱退してしまいました。

 そして再び学校時代の友人でシュガー・シャック(Sugar Shack)というバンドで演奏していたブライアン・ダウニーと再会したとき、彼と組んで自分のバンドを持つべくメンバーを集め出しました。ドリームス(The Dreams)、シェイズ・オブ・ブルー(Shades of Blue)、ゼム(Them-ヴァン・モリソンが居た)など幾つかのバンドで演奏経験あるエリック・ベル(Eric Bell)など(当初は他にもメンバーが居たらしい)でThe Orphanage(孤児院, 育児院)というバンドをスタートさせ、直ぐに3人編成となり1970年には名前もThin Lizzyに変えました。

 その年の中頃にはアイルランドでシングルレコード・デビューをしていますが不発に終わるも、英デッカとの契約を物にして翌1971年に漸くブリティッシュ・ロッカー、シン・リジーのスタートが始まります。

1971〜1973
 ファースト・アルバム『THIN LIZZY』、わたしはこのアルバムを聴いて彼等のサウンドに興味を持ったのですが、当時聴いていたブリティッシュ・ロックとしては明らかに異質であり個性的でした。
アイルランドで育ったロック系ミュージシャンの人達は多かれ少なかれその根底に民族の伝統音楽であるケルト音楽を臭わせる部分を持っているのでしょうが、シン・リジーの音楽にはその部分が(特に初期)かなり強かったと言えるでしょう。
(伝統的な民族音楽はみんなで参加して歌うダンス系音楽か個人個人の物語を歌に乗せて語るとかといったタイプの物が殆どですが、ロック・ミュージックの世界では後者のバラッドタイプの流れを引き継ぐものが多い)
 フィルが(彼の生い立ちがそうさせたのか)感傷的な詩を書くことに長けていたことと、どこか森の奥深い静けさを感じさせるアイリッシュ・トラッドの音楽に包まれたファースト・アルバムとセカンド・アルバムは、わたしにとって愛聴盤に成るほどでは無かったのは確かでしたが、心の隅に留まる不思議な魅力を持っていました。

 どちらもイギリスでは売れなかったのですが、アイルランドではセカンド・アルバムは好成績を残したようです。
その後、アイリッシュ・トラッドの"Whiskey In The Jar"をロック風にアレンジしてシングルとして発売("Whiskey In The Jar / Black Boys On The Corner")、これはアイルランドのヒット・チャートで1位、イギリスでも6位まで上がるヒットなり、漸くイギリスでも名が売れてきました。(このシングルが6位に成った'73年3月はスレイド(Slade)の"カモン!!"がヒットしていた時期で---後にHMバンドのクワイエット・ライオット(Quiet Riot)のカヴァーでヒット---グラム・ロック・ブームまっただ中でした)

 このロックアレンジによる曲がヒットしたことも関係してか、サード・アルバムに成る『VAGABONDS OF THE WESTERN WORLD(西洋無頼)』からはロック色がかなり強くなりました。そしてエリック・ベルのギター炸裂  "The Rocker" の様な格好良い素晴らしいロック・ナンバーも含まれていますが、他の曲もすべて印象深くてこれは愛聴盤と成りました。前二作にもあったアイリッシュ・フォーク風な流れを汲む曲としては"Little Girl in Bloom"、" A Song for While I'm Away"が有りますがこれもまた良いです。(ただ・・・邦題に成った"娘ざかりのお嬢さん"と"君に捧げる僕の歌"はパッとしないです)
そしてこのアルバムから同じダブリン育ちでフィルの友人であるイラストレイター、ジム・フィッツパトリック(Jim Fitzpatrick)がアルバム・ジャケットのイラストを描くように成っています。
 
Thin Lizzy
THIN LIZZY

LP JAPAN London SL-284 (1975 original-1971)
A
1. Friendly Ranger at Clontarf Castle
2. Honesty Is No Excuse
3. Diddy Levine
4. Ray Gun
5. Look What the Wind Blew In
B
1. Éire
2. Return of the Farmer's Son
3. Clifton Grange Hotel
4. Saga of the Ageing Orphan
5. Remembering
Shades of a Blue Orphanage
SHADES OF A BLUE ORPHANAGE
LP UK Decca TXS-108 (1972)
A
1. Rise & Dear Demise of
   the Funky Nomadic Tribes
2. Buffalo Gal
3. I Don't Want to Forget How To
4. Sarah
5. Brought Down
B
1. Baby Face
2. Chatting Today
3. Call the Police
4. Shades of a Blue Orphanage
Vagabonds of the Western World
VAGABONDS OF THE WESTERN WORLD
LP JAPAN London SL-292 (1975 original-1973)
A
1. Mama Nature Said
2. Hero and the Madman
3. Slow Blues
4. Rocker
B
1. Vagabond of the Western World
2. Little Girl in Bloom
3. Gonna Creep up on You
4. Song for While I'm Away
 
 4作目『NIGHT LIFE』このアルバムから英デッカwp離れて1969年設立のマイナーレーベルVertigoに移籍していますが、このVertigoはColosseumの『バレンタイン組曲』を最初に出した後、ユーライア・ヒープ、ロッド・ステュアート、ブラック・サバス、グラヴィー・トレインなどを紹介し短いながらもブリティッシュ・ロック興成に貢献しています。
 前作までのギターリスト、エリック・ベルがヒット指向のバンドと気が合わず突如脱退、デッカ時代の終わりに一時ゲイリー・ムーアを迎えて2曲録音、その後の少しの期間ライヴも一緒に行うが、ゲイリーは残らず、オーディションでギタリストを募集。Scott Gorham、Brian Robertsonを加えてツイン・リード形態に変更、ロック色を強めていく形と成ります。 ゲイリー・ムーアは"Still In Love With You"にゲストの形で参加して弾いています。その"Still In Love With You"はバラードながら印象深い曲です。

 『FIGHTING』
 この5thアルバムに収められている"Wild One"(帰らぬおまえはワイルド・ワン)と言う曲こそ [わたしが抱くシン・リジーのROCKサウンド] 。
英国でもなく北欧でもないこの哀愁・叙情はアイルランド空気が満ち溢れている!何度聴いても心に染み入ってきます。


 そして世界中にその名を馳せたヒット作『JAILBREAK』(邦題:脱獄)アメリカ・チャートでも18位まであがりました。。シングル発売された"Boys Are Back in Town"(ヤツらは町へ)もヒット。この曲は後にボン・ジョヴィもカバーしている。他にタイトル・チューンや"Emerald","Cowboy Song"も良いです。お気に入り満載ですね。LPジャケはモニター部が刳り抜きにに成っていました。
Night Life
NIGHT LIFE
LP UK Vertigo 6360 116 (1974)
A
1. She Knows
2. Night Life
3. It's Only Money
4. Still in Love With You
5. Frankie Carroll
B
1. Showdown
2. Banshee
3. Philomena
4. Sha-La-La
5. Dear Heart
Fighting
FIGHTING
LP JAPAN Vertigo RJ-7055 (1975)
A
1. Rosalie
2. For Those Who Love to Live
3. Suicide
4. Wild One
5. Fighting My Way Back
B
1. King's Vengeance
2. Spirit Slips Away
3. Silver Dollar
4. Freedom Song
5. Ballad of a Hard Man
Jailbreak
JAILBREAK
LP UK Vertigo 9102 008 (1976)
A
1. Jailbreak
2. Angel From the Coast
3. Running Back
4. Romeo and the Lonely Girl
5. Warriors
B
1. Boys Are Back in Town
2. Fight or Fall
3. Cowboy Song
4. Emerald
 '76年ヒット作『Jailbreak』のあと立て続けに出された『Johnny The Fox』(邦題:詐欺師ジョニー)はVartigo時代のシン・リジーのアルバムの中では地味な存在感は否めません。曲の質は揃っているのですが、飛び抜けた曲が無いためにわたしも繰り返して聴くことは無かったです。"Don't Believe a Word"の相変わらずのフィルの歌いっぷりが印象に残りました。

 『Remembering Part 1』はシン・リジーの知名度上昇に伴い、以前の在籍レーベル英デッカが組んだ編集物。目玉はデッカ時代のアルバム未収録だったヒットシングル"Whiskey in the Jar","Little Darlingが始めてLP発売された事でした。確かに"Whiskey in the Jar"が全英1位に成ったのも納得です。デッカでの最終シングル"Little Darling(A面)/Sitamoia(B面)"ではゲイリー・ムーアがゲスト扱いでなくメンバーとして参加して居ます。

 '77年作『BAD REPUTATION』制作中にではブライアン・ロバートソンが途中脱退宣言、ゲストとしての扱いで数曲弾いていますがアルバム発表後直ぐに正式脱退。スコットが多重録音でギターを弾いた曲も有るそうです。ただ、このアルバムはフィルのヴォーカルが全面に出る曲が多く、ギターサウンドは控えめです。"Dancing in the Moonlight"など味のあるヴォーカルが聴けます。

 翌年発売されたライヴアルバム『LIVE AND DANGEROUS』は、このアルバムは1976年11月から1977年初頭にかけてのいくつかのライヴから選曲・編集されて、1978年6月に発売されました。時はディスコ系ミュージック全盛時(ディスコ化したビージーズやドナ・サマー等がビッグ・セールスを記録していました)、シン・リジーのアルバムも前作『Bad Reputation』が全米チャート39位まで上がったのにこのライヴ盤は84位止まりでした。2枚組アルバムが結構出て居た時期なのですが、比較的に安かった米盤でもシン・リジーのは結構高い価格設定だった記憶が有ります。
アメリカでの評判に対しイギリスでは『Bad Reputation』が4位、『LIVE AND DANGEROUS』が2位でシン・リジーのアルバム中英国で最もヒットしたアルバムとなり、年度内ロックベストアルバムに選ばれ、更に1986年フィル没後以降フィルの評価再認識で売れ続けているアルバムに成っています。彼のヴォーカルが一番乗っていた時期の録音です。

Johnny the Fox
JOHNNY THE FOX
LP UK Vertigo 9102 012 (1976)
A
1. Johnny
2. Rockey
3. Borderline
4. Don't Believe a Word
5. Fools Gold
B
1. Johnny the Fox Meets Jimmy the Weed
2. Old Flame
3. Massacre
4. Sweet Marie
5. Boogie Woogie Dance
Remenbering Part 1
REMENBERING PART 1
LP UK Decca SKL-5249 (1976)
A
1. Black Boys on the Corner
2. Song for While I'm Away
3. Randolph's Tango
4. Little Girl in Bloom
5. Sitamoia
B
1. Little Darling
2. Remembering
3. Gonna Creep up on You
4. Whiskey in the Jar
5. The Rocker
Bad Reputation
BAD REPUTATION
LP UK Vertigo 9102 016 (1977)
A
1. Soldier of Fortune
2. Bad Reputation
3. Opium Trail
4. Southbound
B
1. Dancing in the Moonlight
2. Killer Without a Cause
3. Downtown Sundown
4. That Woman's Gonna Break Your Heart
5. Dear Lord
Live and Dangerous
LIVE AND DANGEROUS
LP USA Warner Bros 2BS 3213 (1978)
A
1. Jailbreak
2. Emerald
3. Southbound
4. Rosalie
B
1. Dancing in the Moonlight
2. Massacre
3. Still in Love with You
4. Johnny the fox Meets Jimmy the Weed
C
1. Cowboy Song
2. The Boys Are Back in Town
3. Don't Believe a Word
4. Warriors
5. Are You Ready
D
1. Suicide
2. Sha La La
3. Baby Drives Me Crazy
4. The Rocker
 フィルと古くから親交が有り、今までにもアルバムにゲスト参加、ライヴでの代理プレイなど、何かとシン・リジーと密接な関係にあったGary Moore ゲイリー・ムーア がメンバーの一員として参加、正式に発表された唯一のアルバムが1979年発表の『BLACK ROSE: A ROCK LEGEND』です。
 このアルバムをシン・リジーのベストに推す人が多いです。私的には『JAILBREAK』が最も好きですが、改めて聴き直し見るとこちらも良いですね。ギターサウンド中心に聴くなら、『BLACK ROSE: A ROCK LEGEND』ですか。わたしはロックアルバムをギター中心で聴くことが結構ありまする...るるる。
 ゲイリー・ムーアは激しく表に出ることなくバンドに溶け込むような音作りをしていますが、随所にやはり彼独特の表情豊かなギターが聴けます。"Toughest Street in Town"、"S & M"の曲間ソロ部分など今までには無かった部分で、オーバードライブやディストーションがかかればハード・ロックらしく成りますね。"Waiting for an Alibi"は初期のシン・リジーに良くあったタイプのメロにアイルランドの哀愁を感じる曲で良い曲です。ここでもゲイリーのギターが素晴らしい味付けをしています。
なお、この後のライヴツアー途中、ゲイリーはメンバー間のトラブルから中途失踪し、脱退していまして、予定されていた日本公演も代理のミッジ・ユーロでした。

 同年『THE CONTINUING SAGA OF THE AGEING ORPHANS』(邦題:英雄伝説)という国内初のデッカ時代のベストアルバムが発売されました。一度イギリスのみでデッカ時代の編集物『Remembering Part 1』が出て居ましたが、こちらの特徴は"Things Ain't Working Out Down at the Farm","Sara","Slow Blues","Dublin" の4曲がオーヴァーダビングによりゲイリー・ムーアのギターを乗せた事にあります。

 ゲイリーの失踪後、次のギターリストを模索中にフィルはソロ・アルバムを作ったりしているのですが、そのソロ・アルバムに参加したSnowy White スノウィー・ホワイトを正式なメンバーとして迎え、アルバム『CHINATOWN』を発表。スノウィーはピンク・フロイドでサイド・ギターを担当したりしていたギタリストです。全体的に似たようなタイプの曲ばかりで昔から印象薄かったのですが、また聴き直してみて、やはり同じ感想ですか・・・。ラストの"Hey You"は聴き物なのでを抜き出しておくと他は一曲一曲は悪くはないのですが、アルバム一枚通して何度も聴きたい気には成らないです。

Black Rose: A Rock Legend
BLACK ROSE: A ROCK LEGEND
LP USA Warner Bros BSK 3338 (1979)
A
1. Do Anything You Want To
2. Toughest Street in Town
3. S & M
4. Waiting for an Alibi
5. My Sarah
B
1. Got to Give It Up
2. Get Out of Here
3. With Love
4. Róisín Dubh (Black Rose) : A Rock Legend
The Continuing Saga of the Ageing Orphans
THE CONTINUING SAGA OF THE AGEING ORPHANS
LP JAPAN London LAX-160 (1979)
A
1. Things Ain't Working Out Down at the Farm
2. Buffalo Gal
3. Sarah
4. Here I Go Again
5. Honesty Is No Excuse
6. Look What the Wind Blew In
7. Mama Nature Said
B
1. The Hero and the Madman
2. Slow Blues
3. Dublin
4. Brought Down
5. Broken Dreams
6. Vagabond of the Western World
Chinatown
CHINATOWN
LP USA Warner Bros BSK 3496 (1980)
A
1. We Will Be Strong
2. Chinatown
3. Sweetheart
4. Sugar Blues
5. Killer on the Loose
B
1. Having a Good Time
2. Genocide (The Killing of the Buffalo)
3. Didn't I
4. Hey You
 80年代に入り、シンリジーの音楽性にも若干の変化が表れています。『RENEGADE』日本盤では『反逆者』というタイトルが付けられていました。先ず一曲目"Angel of Death" はモロヘヴィー・メタルです(タイトルもそれらしいですね)、良い曲です。三曲目『Pressure Will Blow』にしてやっと本来のシン・リジーらしさを味わうこと出来ます。但し7曲目"Fats"で一転またまたガラッと変わりジャズっぽく成りました。このアルバムにはキーボーディストのDarren Wharton ダーレン・ワートンが参加して居ますがこの"Fats"での間奏で生ピアノを弾いていましてそれがジャズっぽい雰囲気をかもし出しています。良い曲です。しかしこうした曲調豊かな特色は受け入れられず、売れ行きは伸びず、フィルのドラッグ依存は更に激しくなり、スノーウィは脱退。

 前作のトップを飾った"Angel of Death"の様なメタル系に活路を見いだそうとTygers of Pan Tangを脱退していたJohn Sykes ジョン・サイクスを迎え『THUNDER AND LIGHTNING』を発表。ただ、このアルバム制作中には「これをスタジオ録音のラストアルバムにして解散しよう」とほぼ取り決めが行われていたとのことです)トップ曲はさすがのタイトルチューンHM,"Thunder and Lightning"そしてジョン・サイクスも曲作りにかかわっている"Cold Sweat" はメタル・ファンも納得の疾走チューンです。

 そして、シン・リジーとして最後のツアーを納めたライヴ盤『"LIFE" LIVE』が発売されました。最後のツアーだと意識して、最後の録音だと意識しての録音なのに、ジョン・サイクスのギターは終始これから伸びゆくバンドのように若々しく弾きまくりグイグイ引っ張って行っています。
スコット・ゴーハムも負けじと乗っています。古い時代の曲もまた新しい魅力が味わえます。このライヴアルバムには今までに在籍したギタリストがゲスト参加したのも話題に成りました。"Renegade"はスノーウィ・ホワイトが"The Rocker"ではゲイリー・ムーア、エリック・ベル、ブライアン・ロバートソンが揃い弾きで圧巻です。"The Rocker"はやはりエリック・ベルのギターが思い入れ深いです。
私的にはシン・リジーのライヴ盤は有名な『LIVE AND DANGEROUS』よりもこちらの方が好きなのです。

 こうして正式に解散したシン・リジー、フィルはソロとして活動を始めますが、以前よりの薬物依存症が更に酷くなり、注射注入中に起こった感染症が原因で1986年1月4日、36歳でこの世を去りました。
 
Renegade
RENEGADE
LP Netherland Vertigo 6359-083 (1981)
A
1. Angel of Death
2. Renegade
3. Pressure Will Blow
4. Leave This Town
B
1. Hollywood (Down on Your Luck)
2. No One Told Him
3. Fats
4. Mexican Blood
5. It's Getting Dangerous
Thunder and Lightning
THUNDER AND LIGHTNING
LP Japan Vertigo 25PP-83 (1983)
A
1. Thunder and Lightning
2. This Is the One
3. Sun Goes Down
4. Holy War

B
1. Cold Sweat
2. Someday She Is Going to Hit Back
3. Baby Please Don't Go
4. Bad Habits
5. Heart Attack
"Life" Live
"LIFE" LIVE
LP Netherland Vertigo 812 882-1 (1983)
Disc-1
A
1. Thunder and Lightning
2. Waiting for an Alibi
3. Jailbreak
4. Baby Please Don't Go
5. Holy War
B
1. Renegade
2. Hollywood (Down on Your Luck)
3. Got to Give It Up
4. Angel of Death
5. Are You Ready
Disk-2
C
1. Boys Are Back in Town
2. Cold Sweat
3. Don't Believe a Word
4. Killer on the Loose
5. Sun Goes Down
D
1. Emerald
2. Black Rose
3. Still in Love With You
4. The Rocker
 シン・リジー正式解散後、及びフィルの没後に幾つものベスト物・コンピレーションが発売されています。わたしも数種買っています。
『The Rocker』,『Whisky in the Jar』はデッカ時代のベスト盤、"Whiskey in the Jar"を聴くと野望に燃えていた若かりしの頃のフィルを思い描けるほどノスタルジックに成ってしまいます。
 持っているシン・リジーのベストはデッカ時代の物ばかりで一枚はヴァーティゴ時代の物をと買ったのが『THE JAPANESE COMPILATION ALUBUM』表ジャケにも日本編集アルバムと書かれているようにフィルの生存時、彼が選曲をした曲で日本だけで'80年に発売されていた物です。'94年にCD化されて、更に1997年に再発されました。ここではよく聴いた"Wild One" が懐かしいです。
The Rocker
THE ROCKER
CD UK Deram/Decca 820 526-2(1993)
1. Whiskey in the Jar - Full Length Version
2. Baby Face
3. Mama Nature Said
4. Song for While I'm Away
5. Call the Police
6. The Rocker - Full Length Version
7. Sarah - Version 2
8. Slow Blues
9. Little Darling
10. Sitamoia
11. Gonna Creep Up on You
Whiskey in the Jar
WHISKEY IN THE JAR
CD GERMANY Spectrum 085-2(1996)
1. Whiskey in the Jar
2. Sarah - Version 2
3. The Rocker
4. Look What the Wind Blew In
5. Return of the Farmer's Son
6. Old Moon Madness
7. Buffalo Girl
8. Broken Dreams
9. Vagabond of the Western World
10. Black Boys on the Corner
11. Mama Nature Said
12. Here I Go Again
13. Little Darling
14. Dublin
15. Shades of a Blue Orphanage
16. Remembering - Pt. 2
The Japanese Compilation Alubum
THE JAPANESE COMPILATION ALUBUM
CD JAPAN Vertigo PHCR-12508(1997)
1. Waiting for an Alibi
2. Dancing in the Moonlight
3. Don't Believe a Word
4. Wild One
5. Jailbreak
6. Do Anything You Want to
7. Rosalie
8. Still in Love with You
9. Cowboy Song
10. The Boys Are Back in Town


 2009年に成ってフィル在籍時のライヴ音源が正規発売されました、『STILL DANGERROUS』で、1977年10月20日のフィラデルフィアでの録音です。有名な『LIVE AND DANGEROUS』がかなりのオーヴァーダビングや編集をされていたのが語り継がれていたためか、今回は極力無編集での発売に拘ったそうです。(海賊版ではセット・リスト全曲入っているそうですが、正規版で10曲に成ったのは他の曲でプレイミスでもあるのでしょうか?)収録された曲のプレイは良いですね。"Massacre","Opium Trail"あたりはスコットとブライアンのツイン・ギタープレイが聴き物です。
SOLO in SOHO
STILL DANGERROUS: Live at the Tower Theatre Philadelphia 1977
CD USA VH1 Classics VH00131(2009)
1. Soldier Of Fortune
2. Jailbreak
3. Cowboy Song
4. The Boys Are Back In Town
5. Dancing In The Moonlight
6. Massacre
7. Opium Trail
8. Don`t Believe A Word
9. Baby Drives Me Crazy
10. Me and The Boys



Others
SOLO in SOHO
SOLO in SOHO
LP USA Warner Bros BSK-3405 (1980)
A
1. Dear Miss Lonely Hearts
2. King's Call
3. A Child's Lullaby
4. Tattoo (Giving It All Up For Love)
5. Solo In Soho
B
1. Girls
2. Yellow Pearl
3. Ode To A Black Man
4. Jamaican Rum
5. Talk In '79
 
1980年9月に発売されたPhilip Lynottの初ソロ・アルバム。シン・リジーの『Black Rose』発売後のツアー途中、突然にゲイリー・ムーアに中途脱退され、次のギターリスト決定までの期間に録音された事に成ります。メンバーはスコット・ゴーハム、ブライアン・ダウニーとリジーの顔ぶれにプラスしてリード・ギターにMark Knopfler マーク・ノップラー、リズム・ギターにスノウィー・ホワイトが参加、また、RainbowやWild Horsesに在籍したJimmy Bainがベースでなくピアノで参加と顔ぶれはなかなかの物です。音の特徴はやはりマック・ノップラー独特のギターが目立ちDire Straitsに近いサウンドを感じます。
 収録曲はどれも似通ったタイプで当時聴いて居た時代に印象に残った曲はなく、今回聴き直して見て"Girls"が一番気に入った曲でした。この曲はレゲエっぽい調子が目立ちますね。そういえばタイトル・チューン"Soho in Solo"もレゲエリズム。ここら辺りがマーク・ノップラーのギターと関係しているのでしょうか?
 ここでサイド・ギターを弾いていたスノウィーをシン・リジー次作の『Chainatown』の収録曲でも弾いて貰いそのままリジーの正式メンバーと成ったようです。初のソロ・アルバムにしては『Chainatown』と同様、特筆した出来の曲が無いためにやはり地味な印象でした。



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