FREDDIE WATERS, TOMMY TATE |
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発表した作品は少数ながら、聴いて意外な部分でその魅力に填ったシンガーニ人です 【FREDDIE WATERS】 (1942 〜) 先ずは "I'm Afraid To Let You Into My Life"というスィート・ソウル・バラードを'77年にヒットさせたFreddie Watersから。綴りが Freddie waters と最後に s が付いています。 詳しいプロフィールは知らないのですが、1942年ナッシュヴィル生まれで60年代中頃に地元にてThe Hytonesというヴォーカル・グループでリード・シンガーを務めたのが音楽キャリアの最初だと言うことです。 テレビ番組"Night Train"という番組(Soul Trainではない)に出演中、後に彼と重要な付き合いとなるアレンジャー兼プロデューサーのRobert Holmes(Bob Holmes)に見いだされ、やがてソロ・シンガーへと進む事になる様です。(最初はThe HytonesのメンバーのうちEddie Friersonと組んでFreddie & Eddieというデュエットで売ろうとされたらしいです) ソロ時代に成ってから録音した会社はナッシュヴィルの名プロデューサーTed Jarrettが持つRef-O-Reeに始まり、Stax,October,Kari,Farrar Lee,T-Jay,Black Magic等です。 ※2000年8月23日、地元ナッシュヴィルで亡くなったそうです。 フレディー・ウォーターズを知ったのはこのアルバム『ONE STEP CLOSER TO THE BLUES』を買って聴いてからです。先ずトップの-"Full Moon On Main Street" のボトルネック・ギターのブルース・フィーリングが素晴らしくこの曲でギターを弾いていた Fred James のCDも探して『LIFE IS HAED』というアルバムも買いました。黒人だと思っていたら白人のギターリストでした。そしてこの曲でのフレディーのヴォーカルを聴いていると、Bluesを追及していた時代のエリック・クラプトンの声にそっくりに思えました。2曲目 ""Tough As Nails" も同じフレッド・ジェイムスが作者にクレジットされているブルース・ナンバーです。"Tend To Your Business" もブルースです。ラスト2曲もブルース・ナンバーです。 しかし "Nobody Knows"、"Reality"など作者にテッド・ジャレットの名がある曲は南部のソウル・ミュージックにどっぷり浸かったタイプの曲で歌い方もブルース系の曲と全然違いソウル・シンガーしています。"I'm Living Good"はナッシュヴィルのカントリー色が強く生地がそうなのだと改めて納得してしまいます。丁度 Little Minton の様にブルースとソウル・ミュージックの区別なく歌っているシンガーなのでしょう。 リトル・ミントンも大好きでいつかは書き記しておきたいのですが彼はブルース・ギターリストでもあり、Blues系のミューシャンに分類されてしまいますがフレディー・ウォーターズは "It Tears Me Up" の様なスロウでソウルフルに歌い上げる人でシンガーとしての魅力の方が勝っています。心に染みるシンガーです。
フレディ・ウォーターズはブルーズ系の曲に魅かれて聴き始めた人なのですが、本来歌い始めはソウル・ミュージックからのシンガーでした。 `77年にシングル発売された "I'm Afraid To Let You Into My Life"はソウルチャート62位迄上がる小ヒットに成っています。作者はRef-O-Ree レーベルのオーナーでソング・ライターのTed Jarrett、テッドの仲間的存在Robert HolmesとFreddie Watersの三人がクレジットされています。後にジョニー・アダムスがPaid レーベルからシングルで出してカヴァーしています。
次に出たのが、彼の`68年からのシングル盤音源を集めた編集盤。勿論ヒットした " I'm Afraid To Let You Into My Life" も入っています。初期のシングル集ですので、Ref-O-Ree レーベルのテッド・ジャレット(及びロバート・ホルムスとの共作)の曲が多いです。ナッシュヴィルの土地柄を感じるソウル・ミュージック集です。 "ONE STEP CLOSER TO THE BLUES" 収録曲のオリジナル録音も割とあります。14曲目までがRef-O-Ree レーベルでの物で`68年〜`73年の録音、残り4曲が October レーベル録音で`77年音源です。その中では "What Is Love (Without An Understanding) " が抜群に良いです。
『DOWNTOWN SOUL FROM THE NASHVILLE INDIES』と題されたナッシュヴィル録音のレア・ソウル・コンピレーション・アルバムでフレディー・ウォーターズに曲を提供しているロバート・ホームズ自らがシンガーとして吹き込んだ曲も4曲収録されています。フレディーの曲 "Reality"は Ref-O-Ree に吹き込んだオリジナルの方です。
『JUST ENOUGH TO GET ME COOL』はOctober レーベルから1977年に発売されたLPアルバムの再発邦盤で、日本盤が初CD化に成っています。『SINGING A NEW SONG』の4曲はダブリです。11曲目からの4曲はThe Hytones時代の仲間 Eddie Frierson と組んだデュオ「Eddie & Freddie」名義でOctober レーベルから出されたシングル盤2枚4曲がボーナスとして入っています。彼のOctober レーベルでの全曲集に成るとの事です。
『JUST ENOUGH TO GET ME COOL』を出した日本のKTI(鈴木啓志氏監修、DiscUnion経由)レーベルからのフレデー第二弾『THE COMPLETE REF-O-REE RECORDINGS』。14曲は『SINGING A NEW SONG』とダブります。重複しないのは "I've Got A Good Love"、"I'ts Almost Sundown"、"Reality"、"You Promised Me"に成りますが、"Reality"の初録音は『DOWNTOWN SOUL FROM THE NASHVILLE INDIES』のコンピレーション盤収録と同じ音源でした。 `68年〜`73年のまだまだ素朴な時代のピュア・ソウル・シンガーの歌声です。水着の女性を回りに集めて王様ムードに浸る姿はありません。アップテンポでグッド・ファンキーな曲である "I Wish For A Miracle" が起こったのでしょうか?
【Tommy Tate】 (September 29, 1945 〜)
トミーー・テイトはフロリダ州の生まれながら、ミシシッピー州ジャクソンで育った経歴を持つサザーン・ソウル、R&Bシンガー。最初は小レーベルでの吹込みしていたらしいですが、全くの無名のままでしたが、`70年にようやく名の知れたStaxで The Nightingalesというグループに参加して契約、その後ソロ・デビュー、傘下のKoKoレーベルからシングルを数枚出していました。`90年代以降日本で彼の紹介(発掘?)が成されて(どちらかというとより)完全に日本で人気の高いシンガーと成っています。 わたしも、その邦盤発売で知る様に成りました。ただ、シングル盤すべてが不発だったわけではなく1972年にStax傘下のKokoレーベルから出した "School Of Life / I Remember" (KoKo KOA-2112) はBB誌R&Bチャートで22位のヒットを出しています。その後R&Bチャート50位〜100位内の小ヒットが2曲有った模様です。 ※2017年1月20日、72歳で亡くなったそうです。 『LOVE ME NOW』はアメリカの Urgent! というマイナーなレーベルに吹き込まれていた彼の3作目となるアルバムでアメリカでの発売は当初カセットテープでの発表だった様です(1991年にCD発売)。CDアルバムとしての発売はどうやら日本が最初の様です。 "Love Me Now"、"When A Fool Takes His Turn" と続く6〜7曲目のこの2曲!このブルージーさはやはり日本人好みではないでしょうか?平成時代突入時期でしたが、バブル期とは無縁だった昭和の時代の少し寂しさを感じる歌謡曲の雰囲気を感じました。 米南部のソウル・ミュージックを期待して聴いたのに妙な日本っぽい部分に魅かれてしまいました。 ウィリアム・ベルで知られる "I Forgot To Be Your Lover" を聴くとやはりStaxの味を持つ実力のある歌い手だとわかります。
カヴァー写真のトミーはマジシャンの「ミスター・マリック」さんの様な風貌です。『ALL OR NOTHING』。 `70年代後半〜90年代にはソウル・ミュージック界に [ブラック・コンテンポラリー] というジャンル分けが出てきました。このアルバムの録音はメンフィス州テネシーのスタジオであるにも拘らず、かなり都会的な音作りに成っています。 "Ain't No West In Midwest" のソフト&メロウな作りを聴くと驚きます。これはこれで良い曲だと思います。 "Walking Away" は南部の香りがします、どっしりとしビートでゆったりと歌っていますが、彼の魅力はどの曲でもどこかにブルーな部分を秘めていることでしょうか?次の "Don't Make Me Explain" もとてつもなくブルーです、それでも聴き入ってしまいます。このアルバムは全曲オリジナルで構成されています。
1981年に発表された2作目となるアルバム『TOMMY TATE』、ただファーストは本国でお蔵入り、日本で発売という異例のセカンドアルバムです。その本作本国アメリカでは
"For The Dollar Bill / We Don't" のカップリングでシングル・カットもされましたが何故か今度は日本ではシングルは勿論、LPも発売されませんでした。Juanaというレーベルの関係かも知れませんが所在地はジャクソン、マラコ・スタジオでの録音なので当時の日本はRCA/ビクター関連の販売ルート。メジャー会社すぎてトミー・テイトの様なマイナー・シンガーは敬遠されたのかも?です。
プロデュースはフレデリック・ナイトでバック・コーラスにコントローラーズが参加。ソフト&メロウな曲が目立ちます。特に "Listen To The Children" は都会と云うより海岸の雰囲気さえします。ソウル・ミュージックで海岸の香りを感じたのは初めてです。妙に心地よさを持った曲です。 シングル・カットされた "For The Dollar Bill" は[ブラック・コンテンポラリー] というジャンルにモロニ当てはまるタイプの曲でシングル化されたのは納得です。出来は良いと思います。アップ・ナンバーでは "Let Me Entertain You"、ロビー・ウィリアムズ同名曲もありますが別曲です。第二次ディスコ・ブーム終息後のダンス。ミュージックですが良質だと思います。その後にまたブームが訪れるのですが。
2003年にMaracoレーベル発表のレア音源集が出されましたが、その中にサム・ディーやドロシー・ムーアと共に
トミー・テイトの曲が2曲収録されていました。『TROUBLED WATERS : DEEP SOUL FROM THE DEEP SOUTH』
日本と同じ(と云うより更に掘り起こし心の強い)イギリスのレーベルがまとめた物です。[深く知りたい・調べたい]という私自身の性格には助かります。 トップが彼がBB誌のR&Bチャートで唯一TOP30内に入った "School Of Life" です。あと "If You Ain't Man Enough"と"Hardtimes SOS"が下順位の方に少し顔出しする程度のヒットとなっています。(全体ではオリジナル曲が多いです。) その少ないヒット曲の中では、ミディアム・テンポの "If You Ain't Man Enough" が個人的には気に入っています。90位台の極小ヒットで終わったのが意外だと思える程に好きです。 ヒットはしていませんが、"I Remember" などもジャンプタイプで声を張ってスタイルでかなり魅力的なR&Bナンバーです、ウィルソン・ピケットが歌っていたら大ヒットに成った様な曲でしょう。 南部の香りたっぷりなのは "(You Brought Me) From A Mighty Long Way" でサザーン・ソウルの名曲のひとつでしょう。そして同じKo Ko レーベルに吹き込んでいてLuther Ingramが`73年にヒットさせた "Always" もサザーン・ソウルの名曲です。頭に短い語りを入れていますが同じような唱法でカヴァーしていますがやはり少しブルーさが漂っているでしょうか? ラスト3曲はStax契約時に組んだナイチンゲールズとしての録音でラストの "I Don't Want To Be Like My Daddy" は絞った声でのシャウト唱法が魅力的な曲です。
『HOLD ON THE JACKSON SESSIONS Rare And Unreleased』、このCDが発売される前の1979年に一度、4曲目から15曲目迄の曲が日本でのみLP発売されていたようですが、直ぐに廃盤化。本国では未発売というMaracoレーベルの音源に、トミー・テイト`66年〜`68年の音源3曲(1〜3)と16曲目以降の未発表曲とデモ音源をプラスした地元ジャクソンでの録音集。上記のKo Koレーベル録音時と同時期の音源集なのに使用されているカヴァー写真にはどえらい年齢差がありますね。このCDに使われた写真は彼がナイチンゲールズに加入したころの20代前半の頃でしょう。 大好きな曲,ベン・E・キングの "Stand by Me" で始まるところが嬉しいです。この曲は`66年録音とかで若かりし頃の高音トーンが凄く伸びて私的には熱唱に思います。
『WHEN HEARTS GROW COLD』20曲中15曲がトミー・テイトがソング・ライターとして関わった曲で多くが Malaco レーベル所属の歌手がレコーデイングしていた曲で、セルフ・カヴァー録音ということに成ります。
トップのタイトル・ソングは`98年オーティス・クレイ発表のアルバム『This Time Around』に収録された大好きな曲です。 "Everything's Out In the Open" はジョニー・テイラーに引けを取らない素晴らしい熱唱です。5〜6曲目もオーティスのアルバムで聴けます。"I've Got To Have Your Love Tonight"はわたし好みのチョーキング・ギターが入るブルース系ナンバー、ボビー・ブランドが録音しています。同じくボビー・ブランドに提供した "Midnight Run" もトミーのヴォーカルは凄いです。 曲自体に良いのが多いアルバムなので編集物とはいえ聴き応えのあるアルバムに成っています。それも今まで未発表だった音源だったという事、よく発掘されたと思います。
[MASTERPIECES OF MODERN SOUL] というコンピレーション物のシリーズが何集か出されていましてその中の第三集にKo Koレーベルに吹き込んでいた曲が一曲収録されていました。『MASTERPIECES OF MODERN SOUL : Volume3』
『MALACO DEEP SOUL COLLECTION 〜RARE & UNRELEASED SINGLES』というマラコ音源のレア。シングル集にトミー・テイトの音源も入っていましたが、既に『WHEN HEARTS GROW COLD』で発掘済みの曲でした。
同じく日本からのマラコ音源の発掘シリーズ『SOUTHERN SOUL CLASSICS OF MALACO : WARM & TENDER』に、"Friend Of Mine" が収録。この曲も『HOLD ON THE JACKSON SESSIONS Rare And Unreleased』で発表済みでした。
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Text by Mie |