Jackie McLean |
モダンジャズとの出会いについて『青春』。人によってはあっという間に走り抜ける人、ゆっくりと青春時代を過ごされる人、様々でしょう。 わたしの中ではいろいろな経験をしながらゆったりと長い時代を跨いで様々な青春を過ごしてきた想いがあります。それは、 そして、その多くの経験は自分から選んだものは少なく、外からの影響に左右されることが多かったかもしれません。 そのような時に、一番関わってくれていたのが音楽でした。ジャンルは全く関係なしでしたが多くは洋楽系です。 青春時代だけでなく今までの人生そのものと音楽は切っても切り離すことは出来ないでしょう。働いて賃金を得られる年代になったとき、その多くは音楽関連に流れて行ってしまいましたが、食べる事よりも好きなことに流れる方がまぁまぁ幸せなことです。その時々の自身の精神状態で聴くタイプの音楽も変わっていきましたので様々なタイプ・ジャンルの音楽を知ることとなりました。 ストレートでエネルギッシュな時代は西欧ロックシーン、熱く秘めているときは米東内陸部のディープ・ソウルやシカゴ・ブルース、穏やかな時代は東欧のクラシック音楽、楽しく過ごしていた時期はポップ系や米西海岸、ふと懐かしさを感じるときは米東南部のカントリー系… そして、人生についていろいろと考えてしまう若い時代も(生きる目的・誕生と死亡などへの疑問etc...)勿論ありました。 そのようなことを考えていた時代は自然の中に身を置くより、ビル街の喫茶店、特に薄暗いとこへ好んで行っていました。`70年代頃に流行った 言葉「コンクリート・ジャングル」に身を置く孤立感、ひとりになりたくなる孤立感。 そのような時に出会ったのが米東海岸系、ニューヨークの音楽でした。近くに位置するフィラデルフィアとは都市感覚系ながら全く真逆の音楽性を持っていました(人種の問題もあったのでしょうが)。考え込んでいた時代のわたしにモダン・ジャズが覆いかぶさってきた感じです。 東京・新宿、大阪・北、そして京都、以前は多くのジャズ喫茶が在ったことで知られた地域です。その多くはビルの地下(地上階に有っても窓がほぼなし)で薄暗くてタバコの煙が照明に映されて舞うのがはっきりと判っていました。コーヒー主体のお店の客層は個人来店者が多かったのですが、弱アルコール系飲料が有るお店はカップルも結構多く、暗さもありやたら密着状態で非常に行き辛かった思いもありました。 そのようなカップルの多いお店で聴いて、最初に感銘を受けたのがマイルス・デイヴィスの『Kind OF Blue』でした。お店を出てすぐにそのLPを買って帰り、その後はマイルスのレコードを数点聴いていました。 そして、また別のお店でアルバート・アイラーやジョン・コルトレーンのImpulse!レーベルのレコードを連続でかけているのを聴き再度衝撃を受け、またしばらく彼らのアルバムを聴く時間が増えました。彼らのImpulse!時代の音は、楽しむために聴くのじゃなく自分からそこへ入り込んで行く行為も必要でした、アノ世界に入り込みたいから聴いていたという時期でした。)・・・音楽の聴き方で初めて出会った時でした。 しばらくして、また違うお店(ジャズ喫茶巡りです)マル・ウォルドロンの『Left Alone』やソニー・クラークの『Cool Struttin'』などを聴いてその良さを知りました。-----ベタ中のベタな出会いなのです!(殆どのお店では流すアルバムのジャケットを客席に向けて表示していました) お店によって(モダン・ジャズの中でのジャンル違いがあり)流すタイプが違っていたのでした。ここでは [Hard Bop系] のタイプを多く流していたようです(お店の店長の好みなのでしょうね)。都会の中で暮らす寂しさもありながら期待も感じる音楽です。 しばらくHard Bop系のレコードを [SwingJournal誌] を頼りに聴いていたのですが、やがて『Left Alone』、『Cool Struttin'』でアルト・サックスを担当していたジャッキー・マクリーンの音が非常に魅力的だったと感じたのだと判りました。 こうしてジャッキー・マクリーンのファンに成っていきました。当時多くのLPは日本盤もなく輸入盤店でも人気盤は有っても話題少ない盤は気長に探すしかありませんでしたが、徐々に増やして行く事も出来ました。 年配の方はビ・バップ→ハード・バップ→モード・ジャズ→フリー・ジャズといった流れで聴いた方が多いようですが、わたしはモード・ジャズ→フリー・ジャズ→ハード・バップという流れに成っていたように思えますが、意識していたわけでもなく時々の心の状態がそういう流れに合っていたのでしょう。 今から思うとフリー・ジャズが多く流れるお店に〈若い女性ひとりで来店〉が多かったと思います、それは暗い空間で舞うサックスの音に魅かれ、導かれてしまうのです。 ジャズも音楽を聴いていると、あるリーダーのアルバムなのに、「やけに気になる音を出すサイドメンが居る」ということが多々あります。 わたしがマクリーンを追いかけるきっかけになったのもそうでしたし、反対にマクリーンを介して芋づる式にいろいろなジャズメンを聴くことにもなりました。 [常に聴いている人のバックで初参加していたプレイヤーが気になった]は当然で[違うジャンルの人が違うジャンルの曲を取り上げた] なども耳を広げるきっかけになっていました。 21世紀になって以降、ジャズ系の音楽はかなり変化を遂げました。そしてわたし自身はジャズ界を追いかけることから遠のいてしまいました。 それは音の変化だけでなく、`90年代頃からジャズ喫茶という場所がいつの間にか徐々に消えていった事にも関係していると思います。薄暗い部屋でバカでかいJBLやALTECのスピーカーから流れる音を聴くという行為がなくなったのです。 家のスピーカーで聴く場合のジャズはピアノ中心になって仕舞いがちでミシェル・サルダビーやフレディ・レッドなどが多くなりましたがホーンの音を聴く場合はやはりマクリーンに戻ります。 そして、マクリーンから遡りアイラーやコルトレーンを思い出します。陽の当たらない場所に身を置き、コンクリートやアスファルトの匂いのする居場所が好きだった時代のことを・・・ Jackie McLeanのことを書いておきたいと持っているレコードなどをリストアップして準備をしながら、後回しにして仕舞っていたら、彼は二度と会えない人に成っておりました。(一度だけでしたがコンサートに行けたことは小さな想い出です) わたしの青春・人生に大きく関わったJAZZというジャンル、そしてその中のジャッキー・マクリーンというアルト・サックス奏者のこと、彼が残した音楽達のことなどを月日を費やしそうですが再度書き記しに挑みたいと思っています。 |
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LEADER ALBUM『THE JACKIE McLEAN QUINTET』マイルス・デイヴィスに見込まれてマイルスの元でPrestigeレーベルで一緒にプレイ、録音をしていた二十歳頃を経て、初めて自身がリーダーに成って吹き込んだアルバム。[AD LIB]というレコード会社で『THE NEW TRADITION』というタイトルで発売されました。 わたしの買ったLP盤は国内の再発盤で、ジャケットデザインが違います。その後、CD時代の2002年東芝ENIがオリジナルジャケットで出したのを購入しています(今では少なくなった紙ジャケットCD)。 ここで彼のオリジナル曲であり後年何度も演奏している"Little Melonae"が初めて演奏されています。25歳くらいの頃でしょうが娘さんのことを思って作った曲とのこと。そして"Blue Doll"の「Doll」は奥様のDollyのことだというお話もありますが。 "Mood Melody"はマル・ウォルドロンの曲でやはりピアノが巾を聴かせる曲です。ジェローム・カーンのスタンダード "The Way You Look Tonight邦題:今宵の君は"、ビリー・ホリディで有名な "Lover Man" など多くのプレイヤーが演奏する曲を既に選んでいたのは当時の意気込みを感じます。ごくごくストレートで後年のマクリーンの味はまだ感じませんが選曲がとても好きです。何故か聴き飽きない盤です。 |
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THE JACKIE McLEAN QUINTET (JP) Jubilee JLP-1064 A 1.It's You Or No One 2.Blue Doll 3.Little Melonae B 1.The Way You Look Tonight 2.Mood Melody 3.Lover Man *Original Title: THE NEW TRADITION (Adlib AD 6601) |
Jackie McLean (as) Mal Waldron (p) Doug Watkins (b) Ronald Tucker (d) Donald Byrd (tp) October 21, 1955 |
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前作は初リーダー作ということもありマイナーなレーベルからでしたが、二作目はジャズ界でも大所帯のPrestigeレーベルからで既にマイルスの元で何度も演奏したスタジオだったでしょう。 『LIGHTS OUT!』『4,5&6』 わたしの買ったLPは販売国は違えど二作とも再発物でまたまた、オリジナルと違うカバーです。モダン・ジャズのレコードは「ジャケットデザインが顔」という認識がありますので、時折変えられてしまうと、「同じ内容の物をまた買ってしまった」ということが何度かあります。 Prestigeの初期2枚は中期以降の彼の作品に比べてあまり話題にならないようですが、隠れファンはかなりいらっしゃると思います。同年代でお互いに競い合っていたドナルド・バードとのツゥ・ホーンスタイルからなる「ハードバップ」は気持ち良いものです。 『Lights Out!』では"UP""Lorraine"などが好きです。 『4,5&6』も好きなアルバムです。"Sentimental Journey"と "Why Was I Born?"がワン・ホーンの四重奏、 "Contour"がドナルド・バードを加えた五重奏、そして残りの3曲がハンク・モブレーを加えた六重奏がタイトルに成っています。 "Sentimental Journey"は有名すぎでベタすぎますが、トップに流れても全然良いです。 "Why Was I Born?"一時期流行った「グルーヴィー」という言葉がぴったりなフォービートに乗ったドライブ感です。ここら辺りがハード・バップの心地よさですね。またスタンダードになっている "When I Fall In Love 邦題:恋に落ちた時"のソロも良いです。 |
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LIGHTS OUT! (USA) Prestige PR-7757 A 1 A Foggy Day 2 Kerplunk 3 Inding B 1 Lights Out 2 Up 3 Lorraine |
Jackie McLean (as) Donald Byrd (tp) Elmo Hope (p) Doug Watkins (b) Art Taylor (d) January 27, 1956 |
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4,5&6 (JP) Prestige MJ-7096 1.Sentimental Journey 2.Why Was I Born? 3.Contour B 1.Confirmation 2.When I Fall In Love 3.Abstractions |
Side A Jackie McLean (as) Mal Waldron (p) Doug Watkins (b) Art Taylor (d) Donald Byrd (tp) only A-3 July 13, 1956 B-2 Jackie McLean (as) Mal Waldron (p) Doug Watkins (b) Art Taylor (d) Donald Byrd (tp) only B-1,B-3 Hank Mobley (ts) only B-1 July 20, 1956 |
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Prestigeでの三作目『JACKIE'S PAL』を購入したのはマクリーンが亡くなってからのことです。LP盤の時代には見かけなかった盤です。 ジャッキー・マクリーンが「俺の相棒だ」とビル・ハードマンを紹介する形のアルバムに成っています。二人はジャズ・メッセンジャーズで知り合い意気投合したということです。 ポール・チェンバース、フィリー・ジョー・ジョーンズはマイルス・デイヴィスお気に入りのリズム陣。軽快なリズム隊のバックでホーンが動き回り、マルのピアノも静かにコロコロと流れます。やはりまるっきりのハード・バップです。"Sweet Doll" がマクリーンのオリジナル、2曲目と4曲目がハードマンの曲。そして"SteepleChase"がチャーリー・パーカー、どれもホーンがジャズっぽく、心地よく動いています。 "Dee's Dilemma"はマル・ウォルドロンの曲でやはり若干雰囲気が違いヨーロッパの街並みを感じます。少し哀愁味のあるメロです。ピアニストらしくメロディーが奇麗です。 "It Could Happen To You"はマイルスが『RELAXIN'』でも演奏していたのでリズム隊には手慣れた物でしょう。この曲のみマクリーンは参加せずワン・ホーンです。 |
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JACKIE'S PAL (JP) Prestige UCCO-5268 1.Sweet Doll 2.Just For Marty 3.Dee's Dilemma 4.Su-Blues 5.SteepleChase 6.It Could Happen To You |
Bill Hardman (tp) Jackie McLean (as) except 6 Mal Waldron (p) Paul Chambers (b) Philly Joe Jones (d) August 31, 1956 |
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『MCLEAN'S SCENE』は1956年11月〜翌年2月にかけて録音されたのに正式発売は`59年5月だったようで、おまけに当初はPrestige本家からでなくサブレーベルのNew
Jazz から発売されています。マクリーンとレッド・ガーランドの共演は数少ないです。収録曲の半数はピアノも含めてほとんどマイルスのリズム隊。タイトル・チューン
"McLean's Scene" が一番好きです。 トップの"風と共に去りぬ"は普通の出来でした。Arthur Phippsというベーシスト、この時期のマクリーンの作品で数作共演していますがその後はあまり名前は出なくなってしまった感じです。 『Jackie McLean & Co.』はレイ・ドレーパーのチューバをフィチュアーした珍しい作品。ここでもマルの作品 "Flickers"のメロがすごく良いです、何度も聴きました。こちらは確実に都会の夜の哀愁を感じます、チューバの音色もピッタリです。 このLPアルバムはビクターがジャケットの完全オリジナル仕様を謳って再発した盤のひとつです、表だけでなく裏側にもそのオリジナル仕様を施してありました。表側だけは変えてほしくないとは思いますが、オリジナル盤至上主義愛好家の中の人たちには裏側までもが似ていないと気に入らなかったようですね。 ただ、盤質の方はそこまで忠実ではなかったと思います。違いがすぐに分かるのは重さです。PrestigeやBlue Note盤は長い間レコード番号は変えませんが購入した時期により盤の厚み・重さが明らかに違っていました。材料の関係でしょうが。 "Mirage"もマルの曲、こちらも都会の夜のムードです。こういった音を聴くと「タクシー・ドライバー(原題: Taxi Driver)」、「ミスター・グッドバーを探して(Looking for Mr. Goodbar)」 といったニューヨークの夜を舞台にした映画を思い浮かべます。 |
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MCLEAN'S SCENE (JP) Prestige PJ-17 A 1.Gone with the Wind 2.Our Love Is Here to Stay 3.Mean to Me B 1.McLean's Scene 2.Old Folks 3.Outburst |
A-1,A-3,B-1 Jackie McLean (as) Bill Hardman (tp) Red Garland (p) Paul Chambers (b) Art Taylor (d) December 14, 1956 A-2,B-2,B-3 Jackie McLean (as) Mal Waldron (p) Arthur Phipps (b) Art Taylor (d) February 15, 1957 |
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JACKIE MCLEAN & CO. (JP) Prestige PJ-10 A 1.Flickers 2.Help B 1.Minor Dream 2.Beau Jack 3.Mirage |
Jackie McLean (as) Bill Hardman (tp) Mal Waldron (p) Doug Watkins (b) Art Taylor (d) Ray Draper only A-1,A-2,B-1 February 8, 1957 |
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『MAKIN' THE CHANGES』は57年録音で3年遅れの60年の発売、そしてこれも『MCLEAN'S SCENE』同様Prestigeの子会社New Jazzからの発売に成っています。 『A LONG DRINK OF THE BLUES』も本国ではNew Jazzレーベルでの発売で、ほぼ録音から4年近く後(61年)の発売です。録音後直ぐに出された『JACKIE MCLEAN & CO.』の売れ行きが悪かったのでしょうか? 『MAKIN' THE CHANGES』の方、曲順は"Bean And The Boys"で始まります、こうしてリズム隊をバックに吹きまくるマクリーンは好きです、ラストの"Jackie's Ghost"は3管になりますが、ハード・バップのよい雰囲気が味わえます。でも、A-3,B-1,B-2との出来の差はかなりありバラツキが多い感じがします。 『A LONG DRINK OF THE BLUES』 "A Long Drink Of The Blues" はマクリーンの次作で"Strange Blues"と同日録音曲です。この2曲とも大好きな曲ですが再演はされていません。(Take1はリハーサルのような短いテイクです)B面は全曲スタンダードナンバー、ジュディ・ガーランド、ビリー・ホリディ、エラ・フィッツジェラルドなどがしっとりと歌っていた曲、A面のブルースと組み合わせるとやはり商業的には地味な1枚となって仕舞うのでしょう。 |
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MAKIN' THE CHANGES (USA) New Jazz 8231 A 1.Bean And The Boys 2.What's New? 3.I Never Knew B 1.I Hear A Rhapsody 2.Chasin' The Bird 3.Jackie's Ghost |
A-1,A-3,B-1 Jackie McLean (as) Mal Waldron (p) Arthur Phipps (b) Art Taylor (d) February 15, 1957 A-2,B-2,B-3 Jackie McLean (as) Webster Young (tr) Curtis Fuller (trombone) Gil Coggins (p) Paul Chambers (b) Louis Hayes (d) August 30, 1957 |
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A LONG DRINK OF THE BLUES (JP) Prestige SMJ-6507 A 1.A Long Drink Of The Blues (Take 1) 2.A Long Drink Of The Blues (Take 2) B 1.Embraceable You 2.I Cover The Waterfront 3.These Foolish Things |
B-1,B-2,B-3 Jackie McLean (as) Mal Waldron (p) Arthur Phipps (b) Art Taylor (d) February 15, 1957 A-1,A-2 Webster Young (tp) Curtis Fuller (tb) Jackie McLean (as) Gil Coggins (p) Paul Chambers (b) Louis Hayes (d) August 30, 1957 |
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『STRANGE BLUES』、このアルバムが彼のリーダー作としてわたしが一番最初に買った盤です。どこの輸入盤店でも見かけました、そして何よりこのタイトルが気に入りました。パーソネルを見ると三度のセッションの寄せ集めでメンバーもいろいろと粗雑な感じに見えますが、わたしにとってこのアルバムは一生忘れられないアルバムなのです。タイトル曲"Strange
Blues"は特に好きですが、マクリーンはこの`57年2月15日のセッションでしか演奏していません。自作の曲なのにこのアルバムのみの収録です。次に好きなのがスタンダード"What's
New?"この曲は『MAKIN' THE CHANGES』にも収録されていましたが、Blue Note移籍後にも再演しています(『SWING
SWANG SWINGIN'』)。 "Millie's Pad"もレイ・ドレーパーのチューバが良い味だしています。 このアルバムがリリースされたのは1967年のことでした。三つのセッションの寄せ集めで10年目に発売。"Strange Blues"を以降に演奏することが無かったことと関係あるのでしょうか? |
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STRANGE BLUES (USA) Prestige PR-7500 A 1.Strange Blues 2.Millie's Pad B 1.What's New? 2.Disciples Love Affair 3.Not So Strange Blues |
A-1 Jackie McLean (as) Mal Waldron (p) Arthur Phipps (b) Art Taylor (d) February 15, 1957 A-2,B-2,B-3 Jackie McLean (as) Webster Young (tp) Jon Mayer (as John Meyers) (p) Bill Salter (b) Larry Ritchie (d) Ray Draper (tu) A-2,B-2 only July 12, 1957 B-1 Jackie McLean (as) Gil Coggins (p) Paul Chambers (b) Louis Hayes (d) August 30, 1957 |
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『ALTO MADNESS』はマクリーンと同じアルト・サックス・プレイヤーのジョン・ジェンキンスがバトルを繰り広げるといった形式のアルバム。ロック・バンドにはツイン・リード・グループなど同じ楽器担当はいくつか見られますが、ジャズ・コンボでは珍しいようです。 一度、ソニー・ロリンズとジョン・コルトレーンの『Tnner Madness』という試みが同じPresigeで発表されています(これは未聴)。 (その後、`70年代に『ALTISSIMO』というアルト・サックス4本での作品を作っています。) バップ以降ならば有っても不思議ではないでしょうが、バップ時代、違う音色で交互にソロのアドリブ妙を競い合うスタイルが主で更に二人ともチャーリー・パーカー系のプレイヤー。当時は話題になった様ですが、その後はあまり語られなくなった作品の様です。 マクリーンは多くの録音機会に恵まれましたが、ジョン・ジェンキンスという人、レコーディング記録は調べてもほぼ`57年前後に限られた1年間程度でした。人柄などは判りませんが、喧嘩早いとか人づきあいが悪いとか・・・何か有ったのでしょうか?大きなお世話に成りますが…。 タイトル曲"Alto Madness"は最初の12小節をマクリーンのソロでスタート、後追いがジェンキンス 似ています。説明がなければ間違います。 "The Lady Is A Tramp"と"Easy Living"は多くのジャズ・シンガー、ジャズメンが取り上げているスタンダード曲ですが、どちらも好み的には普通の出来なのですが、強いて上げれば、"The Lady Is A Tramp"の方。"Easy Living"のようなタイプの曲ならマクリーンはソロでもっとエモーショナルに吹ける筈だと思えますので。 『PLAYS FAT JAZZ』 これはまずデザイン的にみれば、(こんなの毎日食べていれば…で)良いアイデアだと思いますが、ことジャズ・アルバム用といえばジャズ的ではないように感じます。イージー・リスニング・ミュージックのレコードだと勘違いしそうですネ。 それでもそれが功を奏してか、「Jubileeの〜」ではなく、「アイスクリームのマクリーン」「猫のマクリーン」という愛称で愛される盤と成っていったようです。 トップの"Filidé"は好きです。 ウェブスター・ヤングも良いです、ここではコルネットでしょうか? この時期"Millie's Pad"を連続で吹き込んでいます。ウェブスター・ヤングの作曲でマクリーンもお気に入りだったのでしょう。 "Two Sons"はレイ・ドレーパー作、バップの雰囲気満載で良いんじゃないでしょうか?最後はマイルスの曲"Tune UP"全体のアンサンブルが素晴らしくとても良い感じです。聴き応えあります。 |
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ALTO MADNESS (JP) Prestige SMJ-7213 A 1.Alto Madness 2.Windy City B 1.The Lady Is A Tramp 2.Easy Living 3.Pondering |
Jackie McLean (as) John Jenkins (as) Wade Legge (p) Doug Watkins (b) Art Taylor (d) May 3, 1957 |
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PLAYS FAT JAZZ (JP) Jubilee UPS-518-J A 1.Filidé 2.Millie's Pad B 1.Two Sons 2.What Good Am I Without You? 3.Tune Up |
Jackie McLean (as) Webster Young (tp) (cornet) Ray Draper (tu) Gil Coggins (p) George Tucker (b) Larry Richie (d) November 27, 1957 |
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「Prestigeでの録音方法に不満を抱いてBlue Noteへ移籍した」と言われているマクリーンの移籍。理由としては本当の事でしょう。 録音場所はPrestige時代でも何度か利用したことのあるニュージャージーのヴァン・ゲルダー・スタジオ (Van Gelder Studio) 、Blue Note時代の作品は殆どがこのスタジオで生まれています。 『JACKIE'S BAG』は移籍後一番に吹き込んだ`59年1月の3曲が組まれています。(ただ、移籍第一作として発売されたアルバムは同年5月に録音された『NEW SOIL』でした。このアルバムは三作目発表でした。録音順に並べたのでこの順番に成っています) 昔、アメリカの大手ジャズレーベル三社(Blue Note,Riverside,Prestige)にカタログを依頼したことがあります。どこも送ってくれましたが、Blue Noteのカタログが冊子形式で一番しっかりしていました。後の二社はどちらかというとパンフレットのようなモノでした。 アルバムトップの "Quadrangle"はマクリーンの作品ながら明らかに今までと違うアルバムにしようという意図が伺えまっす。 スピード全速力で吹きまくり、ドラムスがただリズムを刻むだけではなく強調されて、ここではピアノレスで構成されています。Blue Note中期以降のサウンド要素を匂わせている感じです。 次の "Blues Inn", "Fidel" どちらもマクリーン作、これらはPrestige時代の延長でハード・バップ・ナンバーです。 "Appointment In Ghana"はケニー・ドリューのピアノが軽やかにバップしているホーン3本の六重奏、気持ち良いですね。 |
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JACKIE'S BAG (JP) Blue Note GXK-8082 A 1.Quadrangle 2.Blues Inn 3.Fidel B 1.Appointment In Ghana 2.A Ballad For Doll 3.Isle Of Java |
Side A Jackie McLean (as) Donald Byrd (tp) Sonny Clark (p) only A-2,A-3 Paul Chambers (b) Philly Joe Jones (d) January 18, 1959 Side B Jackie McLean (as) Blue Mitchell (tp) Tina Brooks (ts) Kenny Drew (p) Paul Chambers (b) Art Taylor (d) September 1, 1960 |
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『VERTIGO』はLP時代の1980年に成って発表されたお蔵入りセッションです(初CD化は2000年でこの盤)。ただ、CD化の際 "Formidable"が何故か省かれています。 そして代わりに追加されたセッションは、(私的には既に購入済みだった下記記載の邦盤CD東芝EMI TOCJ-4116、1994年発売)のそっくり全曲収録でした。何故オリジナルLP収録曲を外したのでしょう?録音月日が古かったからでしょう(`59年) 。 お蔵入り楽曲だったVERTIGOセッションは、`80年頃売り出してきたハービー・ハンコックやトニー・ウィリアムス初期の録音ということが目玉だったのでしょう。 トップの"Marney"は『JACKIE'S BAG』の方に収められても違和感なしの演奏です。 ただ、2曲目バード作の"Dusty Foot" 最初のピアノはいきなり確かに「アッ、ハンコックだ!」と思わせるタッチで刻み続け、バップ時代のサウンドがガラッと`60年代の世界に変わってしまった印象です。ただまぁ "Vertigo"、".Cheers"などマクリーン作の曲はPrestige時代をまだまだ継承した感じです。"Yams" はハンコック作、同じ主題のフレーズが重たく繰り返される曲です。 ブルーノート移籍後最初に出されたマクリーンのアルバムは『NEW SOIL』です。《新しい土地》でです。 半月ほど前に録音した3曲を後回しにしてこちらが先に出されたのは、曲を聴けばなんとなくわかる気もします。全体の音作りや構成がPrestige時代とかなり変わっています。「新生マクリーン」を表面化し易い感じです。 わたしが手にしたのはマクリーンがBlue Note在籍時の初期に録音した盤の組物CDセットの中でした。 "Hip Strut"はマクリーン作で軽快に吹きまくっていますが、よく歌っていたPrestige時代と違って若干、息の使い方が違うように思えます(吹奏楽器のことは詳しくありません)。ハードバップが少しずつ変化を遂げている途上といった感じ。 多くの曲は鼻の大きさが他人の二倍はありそうな[デカ鼻]の持ち主WalterDavisJr.が作っています。ウォルターのピアノも曲作りもここでは特別なところを感じませんでした。 マクリーンはこの半年後、ウォルターのリーダー作に参加しています(お互い様の精神?)結構ジャズ喫茶で流れる『DAVIS CUP』です。ここでのマクリーンの方が生き生きしていて良い出来です…。彼は往々にしてピアノマンのリーダー作で吹いた作品に快演が多く人気に成っています、冒頭にも書いた『Left Alone』や『Cool Struttin'』、どちらもピアニストのアルバムでした。また駆け出しのころのマクリーンを印象付けた録音盤『The George Wallington QuintetLive At The Bohemia』のリーダー、ジョージ・ウォリントンもピアニストでした。 |
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VERTIGO (USA) Blue Note 7243 5 22669 2 0 1.Marney 2.Dusty Foot 3.Vertigo 4.Cheers 5.Yams -bonus- 6.The Three Minors 7.Blues In A Jiff 8.Blues For Jackie 9.Marilyn's Dilemma 10.Iddy Bitty 11.The Way I Feel |
Track 2,3,4,5 Jackie McLean (as) Donald Byrd (tp) Herbie Hancock (p) Butch Warren (b) Tony Williams (d) February 11, 1963 Track 6,7,8,9,10,11 Jackie McLean (as) Kenny Dorham (t) Sonny Clark (p) Butch Warren (b) Billy Higgins(d) June 14, 1962 |
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NEW SOIL [EIGHT CLASSIC ALBUMS] UK Real Gone Jazz RGJCD 290 1.Hip Strut 2.Minor Apprehension 3.Greasy 4.Sweet Cakes 5.Davis Cup |
Jackie McLean (as) Donald Byrd (tp) Walter Davis Jr. (p) Paul Chambers (b) Pete LaRoca (d) May 2, 1959 |
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Blue Note二作目として出されたのが『SWING SWANG SWINGIN'』 個人的には "What's New" というポピュラーソングは結構好きです。まぁ曲が好きという前に好きなシンガーが結構取り上げていたこともあります。ビリー・ホリディ、ヘレン・メリル、笠井紀美子、そしてジャズ界以外ではリンダ・ロンシュタットなど。 例の『DAVIS CUP』参加後すぐの録音でしょう。こちらはワンホーンのカルテットながら同タイプの内容です。 気持ちよく吹きまくっているマクリーンの音が溢れています。 全編一貫した流れで、この時期では好きな一枚です。 ここでピアノを弾いているのはWalter Davis Jr.ではなくWalter Bishop Jr.です。 |
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SWING SWANG SWINGIN' (JP) Blue Note GXK 8081 A 1.What's New? 2.Let's Face the Music and Dance 3.Stablemates 4.I Remember You B 1.I Love You 2.I'll Take Romance 3.116th and Lenoux |
Jackie McLean (as) Walter Bishop Jr. (p) Jimmy Garrison (b) Art Taylor (d) October 20, 1959 |
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『CAPUCHIN SWING』は割と地味な作品です、ごく普通の上質なハードバップアルバムです。 "Don't Blame Me"はマクリーンもミッチェルも入らないピアノトリオナンバーです。テイラーのドラムやチェンバースのベースがジャズらしさをかもし出してくれていますが、出だしはカクテルピアノナンバーかと思えるような雰囲気でした。コロコロと転がるビショップジュニアのピアノはやはりホーンの陰で支えているのが気持ち良いです。彼もマイルスのDIG Sessionで一緒に演奏していた仲です。 『STREET SINGER』はティナ・ブルックスとの双頭アルバムの形で、1981年にBlue Note 未発表音源集のひとつとして日本で発売されたLPです。ティナ・ブルックスのリーダー作は少なくサイドメンとしての活動が主でした。薬依存から抜けられずに早死にした人です。 "Street Singer"はティナが作った曲の中でもっとも有名です。3管編成の典型的なハードバップナンバー。他に収録されている曲はお馴染みの曲ばかりです。"Melonae's Dance"のメロネーは娘さんの名前で彼の作った曲には何度も出てくる名で覚えてしまいます。 ここでも楽曲"Street Singer"のみはティナの没後に発売された『Back to the Tracks』というアルバムに収録されました。他の曲は同日録音でマクリーンを抜いたクィンテット編成曲です。 |
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CAPUCHIN SWING (USA) Blue Note BST 84038 A 1.Francisco 2.Just For Now 3.Don't Blame Me B 1.Condition Blue 2.Capuchin Swing 3.On The Lion |
Jackie McLean (as) -except A-3 Blue Mitchell (t) -except A-3 Walter Bishop, Jr. (p) Paul Chambers (p) Art Taylor (d) April 17, 1960 |
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STREET SINGER Jackie McLean & Tina Brooks (JP) Blue Note GXF-3067 A 1.Melonae's Dance 2.Appointment In Ghana 3.Medina B 1.Isle Of Java 2.Street Singer 3.A Ballad For Doll |
Jackie McLean (as) Blue Mitchell (tp) Tina Brooks (ts) Kenny Drew (p) Paul Chambers (b) Art Taylor (d) September 1, 1960 |
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『BLUESNIK』はフレディー・ハバードと組んだ初めてのアルバムです。ハバードはトランぺッターとしてマイルスの次に好きなプレイヤーです。特に`60年代後半以降の録音はかなり聴きました。 タイトル曲"Bluesnik"を始めBluesと付く曲が多いです。モダン・ジャズフレーズの原点です。五人とも気持ちよく楽しんで録音している状況がよくわかります。ケニー・ドリューの曲が多いです。"Drew's Blues"はケニーのピアノは勿論、ハバードのペットも良いです。"Cool Green" ではマクリーンも負けていないです。 "Blues Function"はこのアルバムの中で一番じっくりと聴きいれる曲です。好きです。ハバートの作曲。ラスト曲もまた良しです。 好きなアルバムです。 『A FICKLE SONANCE』はマクリーンのBlue Note時代の作品では地味扱いされるアルバムです。 日本のジャズ界一番のヒット作『Cool Struttin'』に参加したのは1958年、jackie's Bag Sessionで一緒にレコーディングしたのが`59年、暫くヘロイン中毒で遠ざかっていたソニー・クラークと3度目のセッション作に成ります。(ソニー・クラークとはこの後何度か一緒に録音し音源も出されていますが、ヘロイン中毒から結局抜けられずに`63年1月に亡くなっています) アルバム全体を聴いて、確かに「コレコレ!」といった曲は無い気がします。やはり地味なのでしょうか?"Enitnerrut"が少し良いです。 |
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BLUESNIK (USA) Blue Note BST 84067 A 1.Bluesnik 2.Goin' 'Way Blues 3.Drew's Blues B 1.Cool Green 2.BluesFunction 3.Torchin |
Jackie McLean (as) Freddie Hubbard (tp) Kenny Drew (p) Doug Watkins (b) Pete LaRoca (d) January 8, 1961 |
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A FICKLE SONANCE (JP) Blue Note LNJ-80157 A 1.Five Will Get You Ten 2.Subdued 3.Sundu B 1.A Fickle Sonance 2.Enitnerrut 3.Lost |
Jackie McLean (as) Tommy Turrentine (tp) Sonny Clark (p) Butch Warren (b) Billy Higgins (d) October 26, 1961 |
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『INTA SOMETHIN'』はケニー・ドーナムとマクリーンの双頭アルバムという形になっています。そして録音地はいつもの[Rudy Van Gelder Studio]ではなく西海岸サンフランシスコの[The
Jazz Workshop]、発売会社もBlue NoteでなくロスエンジェルスのPacffic Jazzレーベル。ただ内容はいつも通りのイースト・コーストジャズ、ハード・バップです。 サイドメンに常はチェット・ベイカーやアート・ペッパーなどのウエスト・コースト系のジャズメンと一緒にしているリロイ・ビネガーです。 リロイは翌年、ドーハムの『Matador』にマクリーンと一緒に参加しています。 曲の方、ツゥ・ホーンで演奏するのはA-1,B-1,B-3の3曲のみになっています。そのうち2曲がドーハムの曲、トップの"Us"特別に好きな曲でもないのですが主題メロが印象的でその部分を聴くとすぐにわかってしまいます。 地元でないのかも知れませんが、大半はスタンダード曲に成っていて、他の曲も耳になじみがあります。"Lover Man"はビリー・ホリディで有名な曲、こうした物悲しいナンバーはマクリーンはお得意、そして軽快に吹く"Let's Face The Music"も良いです。 『LET FREEDOM RING』 マクリーンを知り始めた頃、一番評判が良かったのがこのアルバムでした。 後に、いろいろ聴き比べてみれば、ハードバッパーだったマクリーンがフリー・ジャズに進んでいく過程というか、出発点であったような作品だと思えます。娘さんのことを描いていた"Little Melonae"に次いで再び娘さんへ宛てた作品"Melody For Melonae"で始まります。可愛らしい曲だと想像するとそうでもありません。わたしが初めて感銘を受けたジャズのアルバム『KIND OF BLUE/M Davis』とよく似た感じを受けました。"Rene"は息子さんに宛てた曲です。ワン・ホーンというスタイルなので掛け合いの妙という味は有りませんが、サックスの音に引き込まれていく感じです。バド・パウエルの".I'll Keep Loving You"は凄くブルーなブルーな曲です。針を上げる事も多かったですが、じっくり聴くと良い曲です。"Omega"で明らかにフリー・ジャズ風な吹き方をしています。 転換期を知ることが出来るアルバムです。 |
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INTA SOMETHIN' - Kenny Dorham & Jackie McLean - (JP) Liberty LLJ-70034 A 1.Us 2.It Could Happen To You 3.Let's Face The Music B 1.No Two People 2.Lover Man 3.San Francisco Beat |
Kenny Dorham (tp) A-1,A-2,B-1,B-3 Jackie McLean (as)A-1,A-3,B-1,B-2,B-3 Walter Bishop Jr. (p) Leroy Vinnegar (b) Art Taylor (ds) November 13, 1961 at The Jazz Workshop, San Francisco |
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LET FREEDOM RING (USA) Blue Note BST 84106 A 1.Melody For Melonae 2.I'll Keep Loving You B 1.Rene 2.Omega |
Jackie McLean (as) Walter Davis Jr. (p) Herbie Lewis (b) Billy Higgins (d) March 19, 1962 |
この『JACKIE McLEAN QUINTET』は1977年に日本編集のLP盤として一度発売されていました。CD化は1994年でわたしの買ったこの盤に成ります。 LP.CD共に日本のみの発売でしたが、米盤CD『Vertigo』(2000年発売)のVertigoセッション時の音源のボーナストラックとして全曲が収録されました。まだ、ハードバップの要素がふんだんに残っていて前期Blue Noteを代表するサウンドです。Butch WarrenというベーシストはBlue Noteお抱えのスタジオセッションメンで総そうそうたるレジェンドと共演していた人です。 この盤は特別特出した曲はありませんが、安心して聴ける一枚です。 『HIPNOSIS』というアルバムはLP時代に米Blue Noteから発売された未発表曲集ですが、2枚組の1枚目はそっくり真上の日本盤CD、TOCJ-4116収録曲ですし、どの後に出されたCD『Vertigo』のボーナスにもなっていました。実質2枚目のC面、D面が出回っていない音源となります。おまけにグレイシャン・モンカー三世という遅咲きのトロンボーン奏者との共演というのが味噌でしょうか?録音も1枚目とは5年もの差が有りますのでかなりスタイルが違っています。『'BOUT SOUL』などと同時期に成ります。タイトルチューンとなる"Hipnosis"などが時代を表しています。 |
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JACKIE McLEAN QUINTET (JP) Blue Note TOCJ-4116 1.The Three Minors 2.Blues In A Jiff 3.Blues For Jackie 4.Marilyn's Dilmma 5.Iddy Bitty 6.The Way I Feel |
Jackie McLean (as) Kenny Dorham (t) Sonny Clark (p) Butch Warren (b) Billy Higgins(d) June 14, 1962 |
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HIPNOSIS (USA) Blue Note BN-LA-483 A 1.The Three Minors 2.Blues In A Jiff 3.Blues For Jackie B 1.Marilyn's Dilemma 2.Iddy Bitty 3.The Way I Feel C 1.Hipnosis 2.Slow Poke D 1.The Breakout 2.Back Home 3.The Reason Why? |
Side A&B Jackie McLean (as) Kenny Dorham (t) Sonny Clark (p) Butch Warren (b) Billy Higgins (d) June 14, 1962 Side C&D Jackie McLean (as) Grachan Moncur V (trombone) LaMont Johnson (p) Scotty Holt (b) Billy Higgins (d) February 3, 1967 |
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そして次の『TIPPIN' THE SCALES』は録音順に並ぶと、ここに入るのですが、正式発売は1979年日本盤が最初になります。お蔵入りしていた音源です(米盤の正式発売は1984年)。『LET
FREEDOM RING』から次の『ONE STEP BEYOND』の間の作品はどれも、最初は未発表音源ばかりだった作品です。並べてみたら明らかに未発表になっていた理由が分かります。 『LET FREEDOM RING』で新しい試みに突き進む姿を表しており、それを確実なものにしていったのが『ONE STEP BEYOND』です。 未発表になったセッションはどれも`61年〜`62年前半の雰囲気を持った作風です。 作風が時代に合わなっかったことと演奏の質は別物なので発掘発表と成ったのでしょう。そして日本が最初の発売に成ったのはジャッキーと同じく日本での人気が高かったソニー・クラーク最後の録音(わたしの調べたところデクスター・ゴードンとのセッションより遅いので)だったことも関係ありそうだと。ソニー・クラーク作の曲が3曲も選ばれています。 タイトル曲"Tippin' The Scales"(ジャッキー作)はとても良い演奏です、これがお蔵入りに成っていたのは惜しいです。 |
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TIPPIN' THE SCALES (JP) Blue Note GXF-3062 A 1.Tippin' The Scales 2.Rainy Blues 3.Nursery Blues B 1.Nicely 2.Two For One 3.Cabin In The Sky |
Jackie McLean (as) Sonny Clark (p) Butch Warren (b) Art Taylor (d) September 28, 1962 |
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一歩先に!といった『ONE STEP BEYOND』、確かに予期せぬ音を吹き出す感じは『LET FREEDOM RING』より更に既成サウンドからの移行を感じます。そしてそれよりも特に感じたのはドラムスの扱い方が全く違うことです。 トニー・ウィリアムスは後にジャズ界のドラマー達に多く影響を与えています。このマクリーンとのセッションの後、マイルスの元でショーター、ハンコック、ロン・カーターなど錚々たるメンバーと数年プレイしていますが、ここで既にジャンルを越えた次世代のドラムを叩いています。 あと、ピアノの代わりにビブラフォンが使用されています。時折「アレッ」とは思いますがそう違和感はありませんのでピアノであっても曲調は変わらなかったと思います。 トップから"Blue Rondo"まではフリー・ジャズ志向ながらもベースはジャズの要素を残す新主流派という位置で演奏している感がありますが、 ラストの"Ghost Town"(グレシャン・モンカー3世の曲)は異質で彼が一時期チャールス・ミンガスの元に居たということがピタリと被る曲構成に思えます。何かを表現している「探り」を感じる象徴志向ですか。 『DESTINATION... OUT!』は『ONE STEP BEYOND』の延長線上に位置するアルバムになります。特に"Ghost Town"から"Love And Hate"がもし連続で流れたなら、マクリーンが「模索・手探り」を試みている実験的衛音楽のように思えます。 わたしの場合フリー・ジャズは引き込まれていきますが、このようなタイプは釈然とせず迷いが湧いてしまいます。 メンバーはドラムがトニ・ウィリアムスからロイ・ヘインズに変わっています。トニーは確実に自身の音を主張するタイプ、ロイ・ヘインズは裏方に徹する様なドラマーでしょうか。 B面の方は私的には安心できる曲が2曲、マクリーンは軽快でリズム陣もジャズっています。同日録音だとは思えないほど両面で傾向が違います。全4曲中、"Kahlil The Prophet"のみがマクリーン、の頃3曲がグレシャン・モンカー3世の曲ですが "Riff Raff"のようなブルースっぽいモロハード・バップが出たのは嬉しい意外性でした。 |
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ONE STEP BEYOND (USA) Blue Note ST-84137 A 1.Saturday And Sunday 2.Frankenstein B 1.Blue Rondo 2.Ghost Town |
Jackie McLean (as) Grachan Moncur V (trombone) Bobby Hutcherson (vib) Eddie Khan (b) Tony Williams (d) April 30, 1963 |
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DESTINATION... OUT! (USA) Blue Note ST-84165 A 1.Love And Hate 2.Esoteric B 1.Kahlil The Prophet 2.Riff Raff |
Jackie McLean (as) Grachan Moncur V (trombone) Bobby Hutcherson (vib) Larry Ridley (b) Roy Haynes (d) September 20, 1963 |
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『IT'S TIME』はチャールズ・トリバー、セシル・マクビーのデビュー作に成ります。ハンコックもマイルスのグループに入った頃でピアノ奏者としてよりも"Watermelon
Man"の作者として知られる程度でしたが、その後トリバー、ハンコック共に急激に人気プレイヤーに成っていきました。(セシル・マクビーはサイドメンに徹していきます) アルバム全体の印象は、主流派のジャズ・アルバムです。 この時期、アメリカ全土にビートルズ旋風が起こっていた頃です。 アメリカはホントに広いです。 トリバーはここで3曲("Cancellation""Revillot""Truth")提供しています。 『ACTION』`60年代前半のマクリーンは新しい音を追及していた盤とジャズの主流をベースに吹いていた盤が交互にあったと記憶しています。このアルバムの評は二分されていたように思います。LP時代に買わず仕舞いでした。ラストの"Hootnan"にマクリーンらしい音が出てますが、他の曲はかなり前衛的な感じを受けます。 |
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IT'S TIME (JP) Blue Note LNJ-80158 A 1.Cancellation 2.Das' Dat 3.It's Time B 1.Revillot 2.'Snuff 3.Truth |
Jackie McLean (as) Charles Tolliver (tp) Herbie Hancock (p) Cecil McBee (b) Roy Haynes (d) August 5, 1964 |
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ACTION (JP) Blue Note TOCJ-4218 1.Action 2.Wrong Handle 3.I Hear A Rhapsody 4.Plight 5.Hootnan |
Jackie McLean (as) Charles Tolliver (tp) Bobby Hutcherson (vib) Cecil McBee (b) Billy Higgins (d) September 16, 1964 |
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『RIGHT NOW!』はPrestige盤を先に聴いていて初めてBlue Note録音のマクリーンを買った最初のアルバムです。この盤質はやたら厚みがあります。後で買ったBlue
Note盤はこれよりも薄いですのでこの『RIGHT NOW!』は「あまり売れずに残っていたのだゎ〜」と勝手に思い込んでいました。実際サイドメンのピアノトリオは他のアルバムに比べて明らかに知名度では劣るメンバーです。共演者で買う人も居ますので後回しにされそうな盤ではありますね。 ただ、ワンホーンのカルテットなので個人的には気に入っています。A-2,B-1がラリー・ウィルスの曲なのですが"Christel's Time"ではピアノ・ソロを弾きまくっています。タイトル曲"Right Now"は今回参加していないチャールズ・トリバーの曲、トランぺットでなくアルトサックスでマクリーンが吹き続けます、(ただ、ピアノのリズムの繰り返しが呪文のようで個人的には残念です) Blue Noteが当初発売していたマクリーンのリーダー作は『Right NOW!』の次に 『New and Old Gospel』でした。 それが`70年代後半に入り、次々とお蔵入りだった録音を発売しだしました。明らかに違うカバージャケットの場合は買っていましたが、『HIPNOSIS』と『JACKNIFE』はほぼ同じ、ロック界にも聴きたい盤が多かったので『JACKNIFE』は後回しにしていましたら、数十年が過ぎていました。まだ購入はしていません。---------飛ばします。 『CONSEQUENCE』はアメリカでは`79年の発売だったようですがコチラではキングレコードが`81年に発売しています。リー・モーガンのアルバムには数作、参加していたマクリーンですが、参加してもらうのは初めてです。モーガン作も2曲あるうえ、"The Sidewinder"が大ヒットした後でしたので、もしかしたらモーガンのリーダーアルバムとして録音されていたのかも知れないですね。 14〜15年もの間お蔵入りに成っていたのは何故だか判りませんが、`60年代主流派の音が詰まっていて好きな部類のアルバムです。 "My Old Flame"などのスタンダードがお決まりで入っているのも良いですね。 モーガンの"Slumber"は"Soft Touch"マクリーンの"Vernestune"は"The Three Minors"の「異タイトル同曲」だとのこと。 反対に "Tolypso"は綴り間違いでもないのに[Calypso]っぽい中南米音楽風です。 |
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RIGHT NOW! (USA) Blue Note ST-84215 A 1.Eco 2.Poor Eric B 1.Christel's Time 2.Right Now |
Jackie McLean (as) Larry Willis (p) Bob Cranshaw (b) Clifford Jarvis (d) January 29, 1965 |
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× | JACKNIFE |
Blue Note Label Recording date September 24, 1965 April 18, 1966 |
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CONSEQUENCE (JP) Blue Note GXK-8172 A 1.Bluesanova 2.Consequences 3.My Old Flam B 1.Tolypso 2.Slumber 3.Vernestune |
Jackie McLean (as) Lee Morgan (tp) Harold Mabern (p) Herbie Lewis (b) Billy Higgins (d) December 3, 1965 |
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『DR.JACKLE』はSteepleChaseから新作を出さなくなっていた1979年に発売されました。しかしそれは新録ではなくBlue Note在籍時あった時期のライブ音源の販売権を得た物。この音源の権利はBlue
Noteに無くライブの主催者だった「レフトバンクジャズソサエティ」というメリーランド州ボルチモアにある協会組織が持っていて多くのジャズメンのライブを開催していたとの事です。 『NEW AND OLD GOSPEL』でオーネット・コールマンと一緒に演奏する前の頃でメンバーはコールマン以外は同じです。 ただ、時期的にフュージョン系が巾を聞かせていてウェザー・リポートやV.S.O.P.クインテットなど、ハンコックやハバードが主役になっていましたし、マクリーンもフュージョン系の『MONUMENTS』を出していた時期です。ちょっと時代にそぐわない発掘音源だという感じはありました。"Melody For Melonae"が聴き物ではありましたが『Let Freedom Ring』の時ほどではありませんでした。 『TUNE UP』も『Dr.Jackle』と同日・同メンバーでの録音物です。1981年に発表されていましたがわたしが手にしたのは`90年代に入ってからの初CD化盤です。ヨーロッパのジャズ・シーンで主流派のジャズが見直されていた時期です。ただのラブソング、ジャス界のスタンダード曲".I Remember You"などが懐かしい音に聞こえました。"Jack's Tune"は『A GHETTO LULLABY』より早く録音されていた音源で、"Smile"もSteepleChaseでの復帰作時よりも前の録音です。フリー・ジャズに寄る直前のバップ色が残る演奏です。 |
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DR.JACKLE (DE) SteepleChase SCC 6005 A 1.Dr. Jackle 2.Melody For Melonae B 1.Little Melonae 2.Closing . |
Jackie McLean (as) Lamont Johnson (p) Scott Holt (b) Billy Higgins (d) December 18, 1966 live at Ballroom in Baltimore |
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TUNE UP (De) SteepleChase SCCD 36023 1.Tune Up 2.I Remember You 3.Closing* 4.Jack's Tune 5.Smile 6.Closing *bonus track only CD |
Jackie McLean (as) Lamont Johnson (p) Scotty Holt (b) Billy Higgins (d) December 18, 1966 live at Ballroom in Baltimore |
‘67年マクリーンはフリー・ジャズへの傾倒を試みています。マンネリから脱皮しようと常に時代の流れを意識していた人でした。 フリー・ジャズの第一人者をゲストに迎えて発表したのが『NEW AND OLD GOSPEL』。 オーネット・コールマンの主たる演奏楽器はアルト・サックスですが、ここではトランペットでの参加に成っています。 確かにオーソドックスなジャズアルバムではありませんが、聴く人を引きずり込む、または反対に突き放すといった異端児的な作品でもありません。コールマンの曲はB面の2曲ですが、ジャズ喫茶ではこのB面のリクエストが多かったように思います。マクリーンの長い曲よりも聴きやすくとっつき易さはかなりあると思います。"Strange As It Seems"などは特にテーマメロが耳に残りやすく、リズム陣も快調で良いんじゃないでしょうか? フリー・ジャズというのなら次の『'BOUT SOUL』の方がそのジャンルに近いと思います。 バーバラ・シモンズという女性の語り・朗読と楽器の掛け合いという形で一曲目"Soul"は成り立っています。「曲を聴く」「演奏を聴く」ということが出来ない仕上がりです。 もう少し後の時代ではロック畑からデビッド・ボウイやスコット・ウォーカーがやりそうな試みですがこの時代ではやはりフリーな分野でしょう。"Conversion Point"や"Big Ben's Voice"も取り留めのないムード。"Dear Nick, Dear John"は切なさを帯びたブルース調、途中哀愁を帯びたあのサックスの音色が聴けます。曲中のNickはニッキー・ヒルという故人(サックス奏者らしいです)、Johnはジョン・コルトレーンの事で追悼曲に成っているとの事です。コルトレーンはこの録音の少し前、1967年の7月17日に肝臓癌で亡くなっていたのでした。 |
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NEW AND OLD GOSPEL (USA) Blue Note 84262 A 1.Lifetime: Offspring Midway Vernzone The Inevitable End B 1.Old Gospel 2.Strange As It Seems |
Ornette Coleman (tp) Jackie McLean (as) Lamont Johnson (p) Scott Holt (b) Billy Higgins (d) March 24, 1967 |
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'BOUT SOUL (USA) Blue Note BST 84284 A 1.Soul 2.Conversion Point B 1.Big Ben's Voice 2.Dear Nick, Dear John 3.Erdu |
Jackie McLean (as) Woody Shaw (tp)exept B-2 Grachan Moncur V (trombone) A-1,A-2,B-3 Lamont Johnson (p) Scotty Holt (b) Rashied Ali (d) Barbara Simmons (recitation) only A-1 September 8, 1967 |
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実質的にBlue Note最終作、長期休養前の最後の作品となった『DEMON'S DANCE』はフリーへの傾倒を止めた感がたっぷりと出ています。ドラムスにマイルスの『Bitches Brew』参加で後に有名になるジャック・デジョネットの名前があります。8ビート、16ビートの時代に合った彼のドラムは来たる`70年代のジャズに向いていた感じです。トップの"Demon’s
Dance"でも彼のドラムスはリズム陣の主役に成っています。`50年代後半から`60年代前半の頃のリズム陣の主役はピアノで、4ビートを刻むのはベースでした。そしてここでのマクリーンの音はやはり熱いです。このアルバムの中で一番印象深いのはウッディ・ショウ作の"Sweet
Love Of Mine"主たるメロディーが良いです。トランぺットやサックスなど管楽器の哀愁ある音色がよく似合います。"Message
From Trane"の出だしはまぁまぁロックのアルバムの出だしとほぼ同じです。 デジョネットの存在感はかなり強いですね。マクリーンはスローナンバー以外はノリ良く気持ちよく吹いていて、この後、暫く教師活動に入ってしまうとは思えませんでした。 |
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DEMON'S DANCE (USA) Blue Note BST 84345 A 1.Demon's Dance 2.Toyland 3.Boo Ann's Grand B 1.Sweet Love Of Mine 2.Floogeh 3.Message From Trane |
Jackie McLean (as) Woody Shaw (tp, flh) Lamont Johnson (p) Scott Holt (b) Jack DeJohnette (d) December 22, 1967 |
『LIVE AT MONTMARTRE』 一旦、彼は音楽界から離れていたので、これは復帰作ということに成ります。そしてこの復帰作、新盤が発売されたという記事を見ましたが、日本での発売予定はなし。デンマークの会社からの発売だということで輸入盤探し、最初は手に入れるのに、戸惑いました。 アチラコチラとお店を回りましたが、大阪の新譜輸入が早いことで有名だったロック中心の「LPコーナー」であっさりと見つけた次第です。このお店、2階に映画音楽やジャズの珍しい盤がよく置いてありました。スイングジャーナル誌にたびたび登場されていた粟村政昭氏を2階で見かけたこともあります。 ジャケットの紙質の薄いことに驚きました、当時で回っていたロック系のブートレグ盤のジャケットの紙の方が厚い状態です。 おまけに、ひげ面のマクリーンが何かを説明しているような写真4種。留留所で取り調べを受けているおじさんの様に見えちゃいました… 演奏はライブ録音、コペンハーゲンの「カフェモンマルトル」での一発録です。このような録音方法が嫌でPrestigeを離れたのにアレアレという感じでした。 ワンホーンでリズム陣はBlue Note時代に組んだケニー・ドリュー以外はデンマークのミュージシャンです。 演奏自体は懐かしい音で安心して聴ける盤ではあります。新会社SteepleChaseの第一弾の作品に成っています。 復帰第二作『ALTISSIMO』の録音された場所はコペンハーゲンです。そしてチャーリー・パーカー派のアルト・サックス奏者4人が主役となっています。ジャケット記載のプレイヤー名は順にゲイリーバーツ、リーコニッツ、チャーリーマリアーノ、ジャッキーマクリーンと成っていますので、恐らくはリーダーがゲイリーさんでしょう。 販売もSteepleChaseじゃなくPhilips、おまけに一番最初の発売国は日本。 アルト・サックスの音ばかりで、だれの音なのかは判別つきませんので曲を楽しむことに成ります。"Another Hair Do"はパーカーの曲ですので彼の時代の音を楽しめますが、`70年代初頭という時代に合っているのは"Mode For Jay Ma"の方、単純な音の繰り返しがつまらなく退屈になること多々ありますが、この曲は好きでした。丁度マッコイ・タイナーの『Song For My Lady』のトップ曲"Native Song"にハマっていた時期です。似ていると思います。"Hymn"はりー・コニッツ作のオーソドックスなタイプの曲。全体的に同楽器4本という特徴がはっきりしていないと感じました。 |
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LIVE AT MONTMARTRE (DE) SteepleChase SCS 1001 A 1.Smile 2.Das Dat B 1.Parker's Mood 2.Closing |
Jackie McLean (as) Kenny Drew (p) Bo Stief (b) Alex Riel (d) August 5, 1972 at "Jazzhus Café Montmartre", Copenhagen, Denmark, |
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ALTISSIMO (JP) Philips RJ 5102 A 1.Another Hair Do 2.Mode For Jay Mae 2.Love Choral B 1.Fanfare 2.Du (Rain) 3.Hymn 4.Telieledu Rama |
Gary Bartz (as) Lee Konitz (as) Charlie Maliano (as) Jackie McLean (as) Joachim Kuhn (p) Palle Danielsson (b) Han Bennink (d) July 15, 1973 |
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再び、ゲイリー・バーツと組んだ作品『ODE TO SUPER』。『Altissimo』の二日後の録音に成っていますが、マクリーンはこの年の7月にかなりの録音をしたようです。その後の数日間に録音されたアルバム群です(17日〜20日)。 ゲイリー・バーツとのアルトサックス2管アルバムは`57年の『ALTO MADNESS』以来です。ゲイリー・バーツさんどちらかというと印象の薄い吹き方ですね。彼のの演奏はこのマクリーンとの共作2枚しか持っていませんので殆ど聴いていないに等しいです。マクリーンは表情が豊かな音色ですよね。キャノンボールやアート・ペッパーなども歌うように吹くタイプです。ここでのタイトル曲"Ode To Super"途中からセリフのようなヴォーカルが突然入りますが、これってゲイリーさん? "Great Rainstreet Blues"はタイトルからして期待できそうで作者もマクリーン。このアルバム中では一番好きです。マクリーンの音がよくわかります。 『A GHETTO LULLABY』はワンホーン・カルテット、ケニー・ドリューがバック。出てくる音はまぁ想像がつきます、そしてその通りです。 安心感がある分、BGM風に聴いてしまうキライもありますが。ここでのベースはニールス-ヘニング・エルステッド・ペデルセンという長いな名前のデンマークのベーシストです。 ケニーはRiversideで有名なトリオアルバムを出していましたが(この頃の演奏も好きです)、その後Blue Noteでサイドメンとして過ごしていましたが、`60年代前半に仏パリを経て、デンマークのコペンハーゲンに移住してしまいました。そこで出会ったのがこの名前の長いベーシスト。以後長きに渡って組んでいます。『Duo』で二人の名前はヨーロッパで知られました。 クロス・オーバー、フュージョン系が多かった米ジャズ界に反してヨーロッパでは主流派のジャズの方が人気が高かったように思います。 わたしも、結構ヨーロッパ系を聴く機会が多くなりました。そのような中、`80年代に入るとケニー・ドリューとニールス-ヘニング・エルステッド・ペデルセンが組んで、日本のBaystateというレーベルで木全信さんプロデュースの元、何種かレコーディングをし、Alfaレーベル(村井邦彦氏設立)で『Impressions-パリ北駅着、印象』 『Recollections-欧州紀行』 などの大ヒットアルバムが生まれています。 ロマンティックな音色で奏でるのが得意なケニーのピアノはヨーロッパ人や日本人が受け入れやすいのは判ります。 マクリーンの場合、ワンホーン+ピアノトリオというカルテット形態は案外少ないです。でもマクリーンとの出会いを振り返ると必ずカルテット盤でした。 最初に買った彼のアルバムが『StrangeBlues』、Blue Note盤での最初は『RIGHT NOW!』、復帰作が『LIVE AT MONTMARTRE』とすべて4人編成物でした。SteepleChase時代では一番好きなアルバムです。 |
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ODE TO SUPER - Jackie McLean / Gary Barts - (DE) SteepleChase SCS 1009 A 1.Monk's Dance 2.Ode To Super 3.Great Rainstreet Blues B 1.Watercircle 2.Red Cross |
Jackie McLean (as) Gary Bartz (as) Thomas Clausen (p) Bo Stief (b) Alex Riel (d) July 17, 1973 |
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A GHETTO LULLABY (DE) SteepleChase SCS 1013 A 1.Jack's Tune 2.Mode for Jay Mac B 1.Where Is Love? 2.Callin' 3.A Ghetto Lullaby |
Jackie McLean (as) Kenny Drew (p) Niels-Henning Ørsted Pedersen (b) Alex Riel (d) July 18, 1973 |
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『THE MEETING』、『THE SOURCE』はデクスター・ゴードンとの双頭アルバム。2枚に分けられていますが同日の録音です。 マクリーンはデクスター・ゴードンのサックスを聴いてサックス・プレイヤーに成ろうと思ったとの事らしく、最初に憧れた人だったのでしょう。 わたしはビバップ時代のジャズはチャーリー・パーカー、ディジー・ガレスピーを聴き始めの頃に、少し聴いただけですのでデクスター・ゴードンの演奏を殆ど聴いたことがありませんでした。 マクリーンは、バップ時代からフリー・ジャズやフュージョン系といったタイプを経験してきた人、一方デクスター・ゴードンは根っからのバッップ系のプレイヤー。一応想像は出来ますが、そこには`50年代後期〜`60年代初期の音に浸るといったリラックスモードはあまりなく、かなり熱気を帯びた演奏に成っております。マクリーンで良いのは "Rue De La Harpe" 作者はSahib Shihabという人で`72年の作品、ケニーやニールス-ヘニングが参加した曲です。 チャーリー・パーカーの"Another Hair-Do"、Prestige時代のマイルスの曲"Half Nelson"など`50年代レパートリーも演奏されています。このうちでは"Half Nelson"の方が好きです。 |
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THE MEETING - Jackie McLean / Dexter Gordon - (DE) SteepleChase SCS 1006 A 1.All Clean 2.Rue De La Harpe B 1.Sunset 2.On The Trail |
Jackie McLean (as) Dexter Gordon (ts) Kenny Drew (p) Niels-Henning Ørsted Pedersen (b) Alex Riel (d) July 20, 1973 at "Jazzhus Café Montmartre" |
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THE SOURCE - Jackie McLean / Dexter Gordon - (DE) SteepleChase SCS 1020 A 1.Half Nelson 2.I Can't Get Started B 1.Another Hair-Do 2.Dexter Digs In |
Jackie McLean (as) Dexter Gordon (ts) Kenny Drew (p) Niels-Henning Ørsted Pedersen (b) Alex Riel (d) Denmark, July 20, 1973 at "Jazzhus Café Montmartre" |
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『ANTIQUITY』、これは完全な異色作です。二人で完成させた作品。 マイケル・カーヴィンというドラマー、パッカショニストのことは殆ど知りません。トップの"The Tob"や"Down In The Bottom" ラストの"Da I Comalee Ah"はフリー・ジャズに没頭していたBlue Note後期時期のように吹きまくっています、聴いていても聴き入りますが、ラスト曲は少し残念な個所としてバック、ドラムスの音が結構耳障りに聞こえちゃいます。、マイケル・カーヴィンのファンの方に罵倒されそうですが。 『NEW YORK CALLING』も『ANTIQUITY』と同じ日の録音に成っています。プレイヤークレジットは「Jackie McLean & the Cosmic Brotherhood」となっています。he Cosmic Brotherhoodは若いプレイヤーたちを集めてマクリーンが作ったバンドです。メンバーにはマクリーンの息子さんルネ・マクリーンの名前があり若いミュージシャン達を率いて新時代のジャズを繰り広げようとしている感じです。 マイケル・カーヴィンがドラムスですが、ここでは良いんじゃないでしょうか。 トップのタイトル曲"New York Calling"はいきなりホーンのアンサンブルで始まりますがこの感じはビッグ・バンドの時代を感じます。でもすぐに新主流派らしく展開して行きます。旧友たちと演奏する時の安心感と違い、[若さが持つ熱気]がほとばしる感じを感じました。 ふと、懐かしさを覚えました。ラストの "Adrian's Dance"も同様の曲です。 |
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ANTIQUITY (DE) SteepleChase SCS 1028 A 1. The Tob 2. Antiquity: The Hump The Slaveship The Hunter And His Game The Crossing 3. Long Go Bye (Gong Go Lye) B 1. Ti Ti 2. Down In The Bottom 3. Da I Comalee Ah |
Jackie McLean (as, p, vo, bamboo fl, bells, templeblock, per) Michael Garvin (d, vo, templeblock, bells, bamboo fl, kalimba, per) October 30, 1974 |
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NEW YORK CALLING -Jackie McLean & the Cosmic Brotherhood- (DE) SteepleChase SCS 1023 A 1.New York Calling 2.Star Dancer B 1.Camel Driver 2.Some Other Time 3.Adrian's Dance |
Jackie McLean (as) Billy Skinner (tp, arr) René McLean (ss, as, ts) Billy Gault (p, arr) James Benjamin (b) Michael Carvin (d) October 30, 1974 |
別々に来日していたマクリーンとマル・ウォルドロンを偶然再会したかのようなムードで製作された日本企画盤、『LIKE OLD TIMES』。 このジャケットのポーズをみたら笑ってしまいます。無理やり依頼されたポーズなのでしょうけれどやりすぎですよね。恥ずかしがり屋(に見えそうな)のマルはよく承知した物です。(マネーが動いた?) `86年の再々演盤のジャケットの方が自然なポーズです。 ワンホーンのカルテットでマル以外のリズム陣は鈴木勲(b)、ビリー・ヒギンズ(ds)で好きな編成なのですがA面はかなり退屈です。 B面の"Blues For Matsuura"は良いです。"No More"はピアノとサックスのみで普通は「聴かせ曲」に成りそうですがそこまでではないです。そして企画の目玉"Left Alone"で締めています。悪くはないですがBethlehem盤を聴いた時の感動はさすがにないです。慣れて知ったのかも知れません。 次も日本国内での録音物です。カルテット編成でピアノトリオのメンバーはハンク・ジョーンズ率いるグレート・ジャズ・トリオ。ロン・カーターとトニー・ウィリアムスは`70年代における重要なプレイヤーでこの4人は日本での人気が高い人選です。(また、`60年代既にトニーの才能を見出したのはマクリーンだという話は有名です) そして日本のレコード会社製作ですので選曲はスタンダードが主体、A面では"'Round Midnight"が良かったです。"Little Melonae"は日本からの依頼曲のように思えますが。"Bein' Green"は比較的新しい曲ながらその後には多くのシンガーが歌っていく曲と成っていきました。 ラスト"Confirmation"がパーカー・ナンバー、リラックスムードで吹いています。 ちなみに`70年代後半から`80年代にかけてイラストによるジャケットデザインが流行していました。日本では湯村輝彦さんのソウル系アルバムに始まり、永井博さんの海をテーマにしたイラストのロック系など。 |
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LIKE OLD TIMES -JACKIE MCLEAN WITH MAL WALDRON - (JP) VICTOR SMJ-6137 A 1.J.M.'s Dream Doll 2.I Loves You, Porgy 3.I'm A Fool To Want You B 1.Blues For Matsuura 2.No More 3.Left Alone |
Jackie McLean (as) Mal Waldron (p) Isao Suzuki (b) A-1,A-2,B-1,B-3 Billy Higgins (d) A-1,A-2,B-1,B-3 April 12, 1976 |
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NEW WINE IN OLD BOTTLES (JP) EAST WIND EW-8057 A 1.Appointment In Ghana Again 2.It Never Entered My Mind 3.'Round Midnight B 1.Little Melonae Again 2.Bein' Green 3.Confirmation |
Jackie McLean (as) Hank Jones (p) Ron Carter (b) Tony Williams (d) April 6 & 7, 1978 |
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『MONUMENTS』はマクリーンがフュージョン畑のミュージシャン(24丁目バンド-The 24th Street Band)と組んだ楽しい一枚。彼は多くのジャンルに挑戦してきた人ですがクロス・オーバー・フュージョン系に位置するのはこのアルバムのみです。`70年代後半はブレッカー・ブラザーズ、デイヴィッド・サンボーン等が米ジャズ界の若き主役でした。 "On The Slick Side","Gotta Get A Piece Of Your Soul"の2曲はロック寄りのダンス系で良い感じです。そして "They All Seem To Disappear"はアルバム中、一番好きな曲です。「大都会の夜」を感じさせてくれる原点です。語りのようなヴォーカルが少し入っています。 『IT'S ABOUT TIME』はマッコイ・タイナーとのWリーダーに成っていますが、どちらかというとマッコイが主人、マクリーンが客人風。演奏曲の多くがマッコイ・タイナー作です。二人の共演によるアルバム作品は以外にも初めてでした。最も印象的なのはじっくり聴かせる"You Taught My Heart to Sing"。このようなしんみりした曲を聴くときはそれなりに落ち着いた時間を過ごしているときに成りますが、そのような時間があることは幸せな事なのかも? "Hip Toe"は旧Blue Note時代を想い起させてくれるあの時代の音ですね♪ ラスト2曲にはマクリーンが参加していません。2曲のうちでは"Travelin"の方がタイナーらしさが良く出ています。 |
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MONUMENTS (USA) RCA AFL-1-3230 A 1.Monuments 2.On The Slick Side 3.They All Seem To Disappear 4.Gotta Get A Piece Of Your Soul B 1.Long-Time Lover 2.Doctor Jackyll And Mister Funk 3.The Molimo |
Jackie Mclean (as) Hiram Bullock (gtr) Clifford Carte (key,syn) Will Lee (b) Steve Jordan (ds) Sammy Figueroa (congas,percu) Mark Egan (b) B-2 and other players November, 1978 〜 January, 1979 |
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IT'S ABOUT TIME - McCoy Tyner & Jackie McLean - (USA) Blue Note BT-85102 A 1.Spur of the Momen 2.You Taught My Heart to Sing 3.It's About Time B 1.Hip Toe 2.No Flowers Please 3.Travelin' |
McCoy Tyner (p) Jackie McLean (as) except B-2,B-3 Jon Faddis (tp)A-1,B-1,B-3 Ron Carter (b) A-1,B-1,B-2 Marcus Miller (b) A-2,A-3,B-3 Al Foster (d) Steve Thornton (per) A-2,A-3,B-3 April 6 & 7, 1985 |
マル・ウォルドロンとジャッキー・マクリーンの組み合わで "Left Alone"…。制作は日本のPaddle Wheelレーベル(キングレコード傘下)。 『LEFT ALONE `86』 「またですかぁ」と思ってしまいます。確かにマクリーン・ファンの半数以上は彼を知るきっかけに成った曲だったでしょう。ただ、二人の組み合わせで"Left Alone" 抜きのアルバムを作って欲しかった思いはかなりありました。 ビリーホリディの愛唱歌が主のこのアルバム。わたしが彼女のレコードで最初に買ったのはCommdore/日本コロムビアの『奇妙な果実』 その後Clef(Verve)期のを聴きました。 後年、薬の影響が響き声質も変わり悲しい歌が多くなっていたビリーですが、初期の頃は声にも艶があり全く違っていました。 ビリーの愛唱歌の中、ここの演奏で良いのはスタンダードの"All Of Me"、ポピュラースタンダードを粋に吹くマクリーンが良く出ていてピアノとの掛け合いもバッチリ、スィングという言葉が似合います。 "Minor Pulsation" はBethlehem盤ではピアノトリオ、ここではサックスのソロが入り、時代に合った曲に変わった気がします、良い感じです。 この録音はロックバンドなども使ったホールで「東京簡易保険会館(ゆうぽうと)」内の施設で映像も収められていました。 わたしの買った音源CDは米盤です。`80年代後半から徐々にCD時代へ移行していきました。 |
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LEFT ALONE `86 - Mal Waldron/Jackie McLean - (USA) EVUDENCE ECD 22006-2 1.Left Alone (master take) 2.God BlessThe Child 3.All Of Me 4.The Cat Walk 5.Lover Man 6.Minor Pulsation 7.Good Morning, Heartache 8.All Alone 9.Super Okra Blues 10.Left Alone (alternate take) |
Jackie McLean (as) Mal Waldron (p) Herbie Lewis (b) Eddie Moore (d) September 1, 1986 at "U-Port Kan'i Hoken Hall", Tokyo, |
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『DYNASTY』 SteepleChase時代にちょこっとバックメンバーの中に混ざって共演していたルネ・マクリーンは当時28歳。お父さんのジャッキー・マクリーンのアルバムにゲストとして招かれるようにまでなったこのスタジオライブ録音時は40歳前後(親父さんは57-58歳)。発売は1990年です。 復帰後はスター級プレイヤーたちとの共演アルバムが多いのですが、若い人たちとプレイするのが好きだといつも言っていたそうです。 若い人たちと自分の音も若さを保つ事が出来るのでしょうね、そのような若いマクリーンの音を聴けるのは"Third World Express"です。 ルネ・マクリーンの曲で"Dance Little Mandissa"も聴ける曲です。「マンディーサ」というのは女性の名前なので、もしかしたらですがルネの娘さんの事なのかも知れないですねここではソプラノ・サックスの音色でしょうか。同じルネの曲で"J. Mac's Dynasty"は明らかに自分たちの家族のことを意味したタイトルですし、親父さんのそろがかなりフューチャーされています。 そしてラストもルネの作品"Multi-Woman"はブカルー・リズムで結構楽しい曲です。`80年代後半、ブガルーを主とした音楽で「ブレイクダンス-Breakin'」が流行っていました。ルシンダ・ディッキー主役の映画2本も大ヒットしていました。 リズムナンバーとは正反対、ディウォンヌ・ワーウィックの歌で知られるバカラック・ナンバー "House Is Not A Home"のしっとりさもまずまずです。 初共演作としては成功していると思いますが。Paul A. Slomanなどプロデューサー連の中にフレディー・レッドの名を見つけました。 またルネの原文表記は[e]にアクサンテギュが付いています。お母さんのドリーさんは西インド諸島の生まれ、わずかな地域違いで使用言語が違いますがきっとフランス語圏地域の生まれだったので息子さんの名前の発音表記にも拘ったのでしょう。 『DYNASTY』から3年後、同じTrilokaレコードから再度の親子共演アルバムです。『RITES OF PASSAGE』 今回のプロデュースはPaul A. Slomanとジャッキー・マクリーン、そして共同連名にルネ・マクリーンのクレジットがあります。 一曲目"A Calling" での導入部からソロに入るくだりはまったくあの若き日のジャッキー・マクリーンそのもので思わずニヤッとしちゃいます。 このアルバムすべての曲に云えることですが、ジャッキー・マクリーンが演奏していた`60年代初頭の頃の雰囲気を凄く感じます。同時代で聴いていた訳でもないのですが、聴き初めに馴染んだ「あの音」ですので何故か懐かしさを感じました。自宅で聴いていても薄暗いジャズ喫茶の一室を感じます。--- あの場所を懐かしむ人たちって何人くらいいるのでしょうか? --- すべての演奏は確かにそのような「好み」の中に位置するので、まぁ満足は出来ますが、ただ特出した曲を選べるほどで無かったことが少し残念かも?といったところです。 |
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DYNASTY - Jackie McLean Quintet featuring René McLean - (JP) ALfa/Triloka ALCR-81 1.Five 2.Bird Lives 3.House Is Not A Home 4.Third World Express 5.Dance Little Mandissa 6.J. Mac's Dynasty 7.Knot The Blues 8.Zimbabwe 9.King Tut's Strut 10.Multi-Woman |
Jackie McLean (as) René McLean (ts, ss, fl) Hotep Idris Galeta (p) Nat Reeves (b) Cal Allen (d) November 5, 1988 |
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RITES OF PASSAGE - Jackie McLean/René McLean - .(USA) Triloka TR8009-2 1.A Calling 2.My Lady (Portrait Of Doll) 3.Destiny's Romance 4.Cyclical 5.Morning Praye 6.Rites Of Passage 7.Naima's Tone Poem 8.Fire Sign 9.Yesterday's Blues Tomorrow 10.Rendezvous In Congo Square |
Jackie McLean (as) René McLean (ts, as, ss) Hotep Idris Galeta (p) Nat Reeves (b) Cal Allen (d) Lenny Castro (per -3,6) January 29 & 30, 1991 |
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『THE JACKIE MAC ATTACK LIVE』とタイトルされたアルバム。ちょっとややこしいアルバムです。ベルギーにあるHnita Hoeve Jazz Clubというジャズクラブでのライブ音源でAVROというオランダの放送協会がラジオ放送するために収録したもの。 その音源を1992年にフランスでリマスタ-してBirdlogyというレーベルを介して1993年に販売されています。(Birdは勿論チャーリー・パーカーからとったも名称でしょう---Verveのロゴも記されていますので当時その傘下だったのでしょう) 録音が1991年春のことなので息子さんたちとセッションしていた時期のメンバーで、演奏形態も「あの」熱かった時代を再現したような熱っぽいものに成っています。ジャケット写真のように吹きまくっているトップ曲"Cyclical"です。 息子さんの曲"Dance Little Mandissa"を再演しています。かなりロマンチックで可愛い雰囲気に成っています。このセッションの方が好みです。"Miner March"はマクリーン20代時のオリジナルながら自身のリーダー作での発表はおそらく初めて? マイルスとミルト・ジャクソンの双頭アルバムでサイドメンとして参加したPrestige盤で披露されていました。"'Round Midnight"セロニアス・モンクの超代表曲、マクリーンがリーダー作で演奏するのは2度目、どちらも聴き応えあります。「Midnightが近づいてくると…」と「Left Alone」な気持ちになります。「あの」時代です。(全く個人的な思い出ですが) 『RHYTHM OF THE EARTH』は上記の『THE JACKIE MAC ATTACK LIVE』よりも、先(1992年)に同じくフランスのBirdlogyというレーベルが企画して発売しています。録音日時順に並べたので後ろに成りました。録音場所はBlue Note時代に幾度も録音してきた米ニュージャージー州のRudy Van Gelder Studio。 以前の『New York Calling』同様、若手のジャズ・ミュージシャンを育てようと発表の場を与えた感じのアルバムです。 トップの""は同じリズムの繰り返しが延々と15分半ほど続く中、楽器ソロが出てくるところはジャズを感じますが、リズムに楽しさもなく正直長すぎて退屈さを感じてしまいます。続く曲の方がジャズを感じられます。"For Hofsa"は`70年代の音、"Sirius System"、"The Explorers"は`60年代Blue Note時代の音でまぁ好きな方ですが… 後半の残りの演奏は、いくら才能ある若きプレイヤーでも何度も聴きたいとは思えなく、割とありふれた演奏でした。 |
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THE JACKIE MAC ATTACK LIVE (FR) Dreyfus FDM-37022-2 1.Cyclical 2.Song For My Queen 3.Dance Little Mandissa 4.Minor March 5.'Round Midnight 6.Five |
Jackie McLean (as) Hotep Idris Galeta (p) Nat Reeves (b) Carl Allen (d) April 2, 1991 at "Hnita Hoeve Jazz Club" Belgium, |
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RHYTHM OF THE EARTH (FR) Birdlogy 513 916-3 1.Rhythm Of The Earth 2.For Hofsa 3.Sirius System 4.The Explorers 5.Oh Children Rise 6.Osyris Returns 7.The Collective Expression 8.Dark Castl |
Jackie McLean (as) Roy Hargrove (tp) Steve Davis (tb) Steve Nelson (vib) Alan Palmer (p) Nat Reeves (b) Eric McPherson (d) March 12 & 13, 1992 |
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またまた、暫くレコーディングから遠ざかっていた`96年初頭。当時日本のジャズ・ミュージシャンで一番人気のあった大西順子さんとのセッションを録音。これはマクリーンとのレコーディング契約に漕ぎつけた日本のsomethin
'else(東芝EMI)レーベルが企画したもので`96年5月に発売、録音はニューヨーク。 マクリーンは日本レコード会社の企画によく応じていますし、そのたびに"Left Alone"を演奏しています。他の曲もなるほどと思える選曲です。ちなみにこの時期はWindows 95の発売後直ぐのころでそちらのニュースが話題の主でしたが..... 『HAT TRICK』、2曲目"A Cottage For Sale"この曲のみは日本のスタッフが選んだのではないと思いますが、どうでしょう。 この曲、わたしが聴いたのはジュリー・ロンドンのヴォーカルものが最初。こういった失恋ソングをしっとりとしたピアノをバックにサックスで話すように歌うのはマクリーン節のひとつでしょう。"Solar","Bag's Groove","Will You Still Be Mine?"はお馴染みのハード・バップ、マクリーンとしての録音は初めてでしょう。大西さんのピアノはバックに徹しています。 そして"Left Alone"ですが、どうしてもBethlehem録音と比べてしまうのですが、最初のソロの部分からやはり「う〜ん」となって仕舞います。あの出だしはホントに凄かったです。"Jackie's Hat"は大西さんの作品。後半に入ってからピアノソロが入りドラムソロが入る往年のスタイルで組まれています。 "Sentimental Journey"あまりにも有名な曲で聴き比べも難しいところですが、好みでいうとここでの演奏はそんなに好みではないです。 "Bluesnic"は勿論マクリーンの曲でこのアルバムの中では一番しっくりと来ます。ピアノも良いです。 somethin 'elseレーベルのマクリーン盤第二作『FIRE AND LOVE』は息子さんのルネ・マクリーンとまたまた共演、スティーブ・デイヴィス、アラン・パーマーは二度目。他なだレコーディングの機会が少ないプレイヤーを育てようと起用しているのが感じ取れます。 メンバーのオリジナル曲主体で演奏の披露をしているのですが、全曲通して聴くのはきついです。「聴きどころ」という部分が無くて…です。 |
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HAT TRICK - Jackie McLean/Junko Onishi - (USA) Blue Note CDP-7143 838363 2 1 1.Little Melonae 2.A Cottage For Sale 3.Solar 4.Bags' Groove 5.Will You Still Be Mine? 6.Left Alone 7.Jackie's Hat 8.Sentimental Journey 9.Bluesnik |
Jackie McLean (as) Junko Onishi (p) Nat Reeves (b) Lewis Nash (d) January 28, 1996 |
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FIRE AND LOVE (JP) Somethin'else TOCJ 5590 1.Mr.E 2.Optimism 3.Cryptography 4.The Griot 5.Entrapment 6.Excursions 7.Rites Of Passage |
Jackie McLean (as) Raymond Williams (tp, flh) Steve Davis (tb) René McLean (ts, fl) Alan Jay Palmer (p) Phil Bowler (b) Eric McPherson (d) July 13 & 15, 1997 |
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『NATURE BOY』、現在発売されている音源ではマクリーン最後の録音です。そして彼の特徴である哀愁味を帯びた"ユー・ドント・ノウ・ホワット・ラヴ・イズ"で始まるスタンダード集です。バックがシダー・ウォルトントリオというのもピッタリです。わたしはケメコさん(若き日の笠井紀美子嬢)のコンサートのバックで聴いていますが主役を引き立たせる事に秀でたピアニストです。 常に新しいことに挑み続け、若く無名のミュージシャンを世に出してあげる為手助けしたりと一ケ所に留まらなかったマクリーンですが、このスタンダード集では、年輪を感じる落ち着いた音に成っています。Prestige時代に演奏していたスタンダードよりもずっとずっと落ち着いています。 どの曲もじっくりと聴けますが一曲目"You Don't Know What Love Is"がちょっと飛びぬけている演奏です。 |
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NATURE BOY (USA) Blue Note 7243 5 23273 2 1.You Don't Know What Love Is 2.Nature Boy 3.I Can't Get Started 4.What Is This Thing Called Love? 5.I Fall In Love Too Easily 6.Smoke Gets In Your Eyes 7.Star Eyes 8.A Nightingale Sang In Berkeley Square 1 ユー・ドント・ノウ・ホワット・ラヴ・イズ 2 ネイチャー・ボーイ 3 言い出しかねて 4 恋とは何でしょう 5 アイ・フォール・イン・ラヴ・トゥ・イージリー 6 煙が目にしみる 7 スター・アイズ 8 バークリー広場のナイチンゲール |
Jackie McLean (as) Cedar Walton (p) David Williams (b) Billy Higgins (d) June 12 & 13, 1999 |
Important Album as Sideman and Guestジャッキー・マクリーンがサイドメンとして参加したアルバム、ゲストとして参加したアルバムで重要な物のうち、わたしが手にし聴いたものです。マクリーン一番最初のレコーディングはマイルス・ディヴィスの元、1951年10月5日。 ビーバップ全盛時のニューヨーク・ハーレム近辺には既に大物だったジャズメン、無名ながら才能ある若者たちが溢れていたようです。 マクリーンンもハイスクルール時代にソニー・ロリンズ(Sonny Rollins)達と出会い一緒にプレイしていたということです。そしてバド・パウエル(Bud Powell)の弟、リッチー・パウエル(Richard Powell)と知り合いに成り、そこからバド・パウエル→マイルス・ディヴス(Miles Davis)へと繋がっていった様です。 そして1951年10月、マイルスの元で初めてのレコーディングに参加しています。一番最初に発売された音源は1951年発売、10インチ盤の『The New Sounds』というLP盤でした。"Conception"、"Dig"、"My Old Flame"、"It's Only a Paper Moon"の4曲が選ばれています。マクリーンの参加はA面扱いだった前からの2曲です。そして次のアルバムが1953年、同じく10インチ盤で『Blue Period』 収録曲は"Bluing"、"Blue Room"、"Out of the Blue"の3曲、マクリーン参加曲は2曲です。 その後、LP盤も12インチ時代に成り1956年に『DIG』と題してこの音源が広く知れ渡るようになりました。 その後、1955年8月5日のセッション分が1956年に12インチLP盤で発売『QUINTET/SEXTET』として発売されます。ここでは"Dr. Jackle"、"Minor March"の2曲がマクリーン参加作です。 そして`70年に`51年録音音源のうちアルバム未収録だった曲(マクリーン不参加)が『CONCEPTION』として発売されました。`56年発売の『DIG』表ジャケットにはSonny Rollinsの名前はクレジットされていますが、マクリーンの名前はありません。しかし`70年の『CONCEPTION』にはマイルスの次にマクリーンの名前が続いています。世間への認知度の度合いが垣間見られます。 "Dig"は半世紀を超えても尚、褪せてはいない熱気やスピード感を感じます。ブレイキー31歳、他は全員20代、(マクリーンはこの時1歳サバを読んで19歳だと伝えたらしいです)それで数十年経っても聴く人を惹きつける演奏をしていたことはさすがな連中です。 この曲、以前はマイルス作と記されていましたが近年はマクリーン作と記されていることが多いです。 "Minor March"、"Dr. Jackle"も良い演奏です。 、 |
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DIG -Miles Davis - (JP) Prestige YIJ-223 A 1.Dig 2.It's Only a Paper Moon 3.Denial B 1.Bluing 2.Out of the Blue |
Miles Davis (tr) Jackie McLean (as) A-1,A-3,B-1,B-2 Sonny Rollins (ts) Walter Bishop, Jr. (p) Tommy Potter (b) Art Blakey (d) October 5, 1951 |
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CONCEPTION -Miles Davis - (USA) Prestige PR-7744 A 1.Conception 2.Dig 3.It's Only A Paper Moon 4.Denial B 1.Out Of The Blue 2.My Old Flame 3.Bluing |
Miles Davis (tr) Jackie McLean (as) A-2,A-4,B-1,B-3 Sonny Rollins (ts) Tommy Potter (b) Art Blakey (d) October 5, 1951. |
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QUINTET/SEXTET -Moles Davis and Milt Jackson - (JP) Prestige PJ-6 A 1.Dr. Jackle 2.Bitty Ditty B 1.Minor March 2.Changes |
Miles Davis (tp) Milt Jackson (vib) Jackie McLean (as) A-1,B-1 Ray Bryant (p) Percy Heath (b) Art Taylor (d) August 5, 1955 |
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2007年にスペインのJazz Connectionsというレーベルからマイルスとマクリーンのセッション集のCDが出ました。 『COMPLETE STUDIO SESSIONS』、上記三枚に収められていた曲と1952年5月9日録音の音源(米国ではBlue Note盤10インチLP『Young Man With A Horn』として発売)を組み合わせています。Prestige音源とBlue Note音源が混ざった珍しいCDです。 ここでも"Conception"はマクリーンが参加しているクレジットに成っていますが、近年では未参加の記載の方が多いようです。 Blue Note盤の『MILES DAVIS VOLUME 1』は10インチ盤での『Young Man With A Horn』をB面に収めた12インチLPです。 |
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COMPLETE STUDIO SESSIONS - Jackie Mclean & Miles Davis - (SP) Jazz Connections JC 1006 1. Minor March 2. Dr.Jackle(Dr.Jekyll) 3. Dear Old Stockholm 4. Chance It 5. Donna(Dig) 6. Woody'n You 7. Conception 8. Out Of The Blue 9. Denial 10. Bluing 11. Dig 12. Chance It(Alternate Take) 13. Donna(Alternate Take) 14. Woody'n You |
Miles Davis (tp) all tracks Jackie McLean (as) all tracks tracks 7-11 Sonny Rollins (ts) Walter Bishop, Jr. (p) Tommy Potter (b) Charles Mingus (b) only 7 Art Blakey (d) October 5, 1951 tracks 3-6,12-14 J,J, Johnson (tb) Gil Coggins (p) Oscar Pettiford (b) Kenny Clarke(ds) May 9, 1952 tracks 1-2 Milt Jackson(vib), Ray Bryant(p), Percy Heath(b), Art Taylor(ds), August 5, 1955 |
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MILES DAVIS VOLUME 1 -Miles Davis - (JP) Blue Note BLP-1501 A 1.Tempus Fugit 2.Kelo 3.Enigma 4.Ray's Idea 5.How Deep Is the Ocean? 6.C.T.A (Alternate Master) B 1.Dear Old Stockholm 2.Chance It 3.Yesterdays 4.Donna (Alternate Take) 5.C.T.A 6.Woody 'n You (Alternate Master) |
tracs B-1〜B-6 Miles Davis (tp) Jackie McLean (as) J,J, Johnson (tb) Gil Coggins (p) Oscar Pettiford (b) Kenny Clarke(ds) May 9, 1952 tracks A-1〜A-6 Miles Davis (tp) J. J. Johnson (tb) Jimmy Heath (ts) Gil Coggins (p) Percy Heath (b) Art Blakey (d) April 20, 1953 |
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「ジョージ・ウォリントンのカフェ・ボヘミア」というと古くからのジャズ・ファンの人たちは直ぐにオリジナルジャケットのワシントン・スクェアにある大きな門のカバーを思い浮かべられるでしょう。オリジナルタイトルは『George
Wallington Quintet At The Bohemia』。当時オリジナルのProgressiveレコード盤は会社の倒産に合い殆どで回っていませんでした。 それが1973年再発盤では『LIVE AT CAFÉ BOHEMIA/1955』となりジャケットデザインはウォリントンさんの渋いお顔。(日本盤ではオリジナルを使用していました) ウォリントンさんがまだ無名に近かった若手のハードバッパー達を呼び寄せて録音された一枚ですが、呼び寄せられたメンバーの名前を見れば分かりますが数年後には全員が有名プレイヤーです、演奏も想像がつきそうな感じです。 マクリーンにとってドナルド・バードとポール・チェンバースは初顔合わせに成りますが一曲目"Johnny One Note"などはかなり競い合っているのが良く出ています。好きなのは"Jay Mac's Crib"と"Bohemia After Dark"。 |
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LIVE AT CAFÉ BOHEMIA/1955 - The George Wallington Quintet - (USA) Fantsy/Prestige PR-7820 A 1.Johnny One Note 2.Sweet Blanche 3.Minor March B 1.Snakes 2.Jay Mac's Crib 3.Bohemia After Dark |
Donald Byrd (tp) Jackie McLean (as) George Wallington (p) Paul Chambers (b) Art Taylor (ds) September 9,1955 at the Café Bohemia, New York |
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1950年代のマクリーンは様々なプレイヤーと一緒に演奏していました。チャールス・ミンガスのジャズ・ワークショップにも出入りして、一枚のアルバム作成に参加しています。『PITHECANTHROPUS ERECTUS(邦題:直立猿人)』、この言葉を昔は「ピテカントロプス・エレクトス」を直立猿人だと覚えてしまいましたが、実際は「ジャワ島で発見された原人」のことだったという落ちがあります。 チャールス・ミンガスという人、他のジャズマンとはかなり違った作品を発表しています。[ 演奏を録音する ]というより[ 音を作り上げる ]といった感じなのです。誰と共演しても我が道を行くタイプの人みたいです。わたしはこのアルバムを含めて5作しか聴いていませんが膨大な録音を残されています。タイトル曲"Pithecanthropus Erectus"は呪文みたいですが、聴いているうちに取りつかれてしまう恐ろしさがあります。マインドコントロールに遭う感じです。"A Foggy Day"(ガーシュイン作)も出だしは背後から押されてお化け屋敷にでも入らされる不気味さが漂っています。ただ、入るとマル・ウォルドロンが奏でる安心のジャズ感も味わえてホッとしますマクリーンも軽快ですがやはり時々異音が…。マル・ウォルドロンとはここが初共演なのですね。 "Profile of Jackie"はマクリーンとマルの組み合わせに似合った泣き節で奇妙さはありません。ラスト"Love Chant"はやはり導入部や中間時々に不思議感を漂わせています。これがミンガス御大です。 |
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PITHECANTHROPUS ERECTUS - Charles Mingus - (JP) Atlantic P-6005A A 1.Pithecanthropus Erectus 2.A Foggy Day B 1.Profile of Jackie 2.Love Chant |
Charles Mingus (b) Jackie McLean (as) J. R. Monterose (ts) Mal Waldron (p) Willie Jones (d) January 30, 1956 |
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下記は2007年にヨーロッパのLone Hill Jazzというレーベルから発売されたマクリーンとマルが共演した`50年代セッション集です。 アルバムタイトルは『JACKIE McLEAN-MAL WALDRON ORIGINAL QUARTET - COMPLETE RECORDINGS』という百科事典みたいな名前です。 既発アルバム名が記されてなかったので、録音日を頼りに遡ってみるとPrestige音源(含・傘下レーベル)が主です。『4, 5, and 6』、『McLean's Scene』、『Makin' the Changes』、『Jackie McLean & Co』そしてBethlehem音源の"Left Alone"。すべて持っている音源ばかりでした。 |
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JACKIE McLEAN-MAL WALDRON ORIGINAL QUARTET - COMPLETE RECORDINGS (EU) Lone Hill Jazz LHJ10272 CD 1 1.Sentimental Journey 2.Why Was I Born? 3.When I Fall In Love 4.I Hear A Rhapsody 5.Embraceable You 6.I Never Knew 7.These Foolish Things 8.Love Is Here To Stay 9.I Cover The Waterfront 10.What's New? 11.Old Folks 12.Bean And The Boys CD 2 1.Strange Blues 2.Outburst 3.Left Alone -bonus- 4.Contour 5.Confirmation 6.Abstraction 7.Beay Jack 8.Mirage |
Jackie McLean (as) all tracks Mal Waldron (p) all tracks CD 1, tracks 1-3 Doug Watkins (b) Art Taylor (d) July 13 (tracks #1-2) 1956 July 20 (track #3), 1956 CD 1, tracks #4-12 & CD 2 (tracks #1-2) Arthur Phipps (b) Art Taylor (d) February 15, 1957 CD 2, tracks 1-2: Arthur Phipps (b) Art Taylor (d) February 15, 1957 CD 2, track 3 Julian Euell (b) Al Dreares (d) April 1960 CD 2, tracks 4-6 Donald Byrd (tp) Hank Mobley (ts) Doug Watkins (b) Art Taylor (d) July 13 (4) 1956 July 20 (5-6), 1956 CD 2, tracks 7-8 Bill Hardman (tp) Doug Watkins (b) Art Taylor (d) February 8, 1957 |
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マクリーンの1956年から57年にかけてはPrestige在籍中でGene Ammonsのアルバムに参加したりしていましたが、ジャズ・メッセンジャーズにも参加して初期の時期にかなりのレコーディングをしています。ジャズ・メッセンジャーズは後にアート・ブレイキーをリーダーにコンボ名も正式に [Art Blakey and The Jazz Messengers] として『Moanin'』の大ヒットアルバムを出し以後ヒット作を多数出しています。マクリーン在籍時はホーレス・シルバーと別れて間もなくコンボ名クレジットも単に [The Jazz Messengers] と成っています。そしてマクリーン以外他のメンバーの知名度の低さもあり大きな注目はなかった様でした。 その第一弾アルバムが『HARD BOP』、リーダーであるアート・ブレイキーのドラムスは何故か控えめに聞こえます。 しかし、このアルバムタイトルこそがハード・バップの言葉を定着させた役割は大きいです。ハード・バップの原型があります。熱気の感じられる演奏はスタンダードの"My Heart Stood Still"、演奏を味わうのは"Little Melonae"、マクリーンのリーダー作で披露済みのナンバーです。 『DRUM SUITE』は異色作です。『HARD BOP』では控えめだったブレイキーがドラムで叩きまくります。A面はドラムス2組、ボンゴ2組、それにピアノとベースでの演奏、リード楽器が入らずリズム陣ばかりです。 B面は『HARD BOP』と同じ日の録音ですので似ていますが、若干落ち着いた曲想が収録されています。マル・ウォルドロンの"D's Dilemma"が演奏されています。 『A NIGHT IN TUNISIA』、このタイトルのジャズ・メッセンジャーズのアルバムはRCA(1958年発表)盤とBlue Note(1961年発表)盤の2種あります、マクリーンが在籍していたのは前者のRCA盤の方。ただ、この時期マクリーンはPrestigeで契約中、ジャズ・メッセンジャーズの一員としての参加なのに実名表記は認められず [Ferris Benda]という変名で参加しています。オリジナル・ジャケットにはメンバー全員の名前が表側に載っていますが、若干アレンジしたデザインの方が日本では出回っていました。裏にはきっちりとJackie McLeanと記してあります。 トップディジー・ガレスピーとフランク・パパレリ共作によるスタンード・"A Night in Tunisia-チュニジアの夜"はドラムソロから入ります。全員熱気のこもった演奏で聴き応えあります。 "Couldn't It Be You?" は珍しいブレイキーとマクリーンの共作になっています。 |
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HARD BOP -The Jazz Messengers - (JP) Columbia SOPZ-14 A 1.Cranky Spanky 2.Stella by Starlight 3.My Heart Stood Still B 1.Little Melonae 2.Stanley's Stiff Chicken |
Art Blakey (d) Bill Hardman (tp) Jackie McLean (as) Sam Dockery (p) Spanky DeBrest (b) December 12 & 13, 1956 |
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DRUM SUITE -Art Blakey and The Jazz Messengers - (JP) Columbia SOPU-92 A 1.The Sacrifice 2.Cubano Chant 3.Oscalypso B 1.Nica's Tempo 2.D's Dilemma 3.Just for Marty |
Side B Art Blakey (d) Bill Hardman (tp) Jackie McLean (as) Sam Dockery (p) Spanky DeBrest (b) December 13, 1956 Side A Art Blakey (d) Ray Bryant (p) Oscar Pettiford (b, cello) Jo Jones (d) Charles "Specs" Wright (d ,timpani, gong) Candido Camero (bongos) Sabu Martinez (bongos) February 22, 1957 |
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A NIGHT IN TUNISIA -Art Blakey and The Jazz Messengers - (JP) RCA/Camden RGP-1067 A 1.A Night in Tunisia 2.Off the Wall B 1.Theory of Art 2.Couldn't It Be You? 3.Evans |
Art Blakey (d) Bill Hardman (tp) Johnny Griffin (ts) Jackie McLean (as) credit as Ferris Benda Sam Dockery (p) Spanky DeBrest (b) April 2 & 8, 1957 |
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そして日本での大ヒット作2点『COOL STRUTTIN'』、『LEFT ALONE』。特に前者の方はジャズ・ファンでなくとも聴いたことのある音でしょう。テーマのメロも記憶に残りやすくマクリーンもアート・ファーマーも勿論良いのですが、リード楽器に負けないくらい、ソニーのピアノが絶品です、気持ち良い響きです。マクリーンはPrestigeでアート・ファーマーの『2
Trumpets』というアルバムでドナルド・バードと共に参加していました。みんなその後長い付き合いをしています。マクリーンとバードはその後、BLue
Noteへ移籍。日本での人気は若干この移籍組がリードしていきます。[Blue Note]という看板はかなり日本では大きかったと思います。ソニーもBlue
Noteで録音を続けますがヘロインに負けて`63年に亡くなっています。マクリーンも何度か薬で逮捕されていますがマイルスやコルトレーンほどのきつい中毒にはならなかった様です。 (`50年代はジャズ系、`60年代はロック系の有能なミュージシャンが薬の世界に入り浸った経緯が多数ありました) 『LEFT ALONE』凄く、凄く有名な曲でジャッキー・マクリーンを一躍有名にした曲です。マクリーンは自分のリーダー作でなくゲストで演奏したたった一曲で日本で有名に成ったともいえます。その後、何度か同曲を演奏していますが、このBethlehem音源が凄すぎて超えられていないと思います。 このアルバム米国では`59年発売日本盤(当初は東芝、購入盤は再発のポリドール盤)は`62年発売当初はどちらも話題にも成らなかったらしいのですが、徐々にジャズ喫茶でのリクエストが増えて人気盤に成っていったということで『COOL STRUTTIN'』同様、日本が生んだヒットアルバムです。タイトル曲以外はピアノトリオの演奏です。マル・ウォルドロンは息の長いピアニストでリーダー作も沢山残されています。熱心なファンも多く居られますが、どうしても地味な印象が残ります。2曲目"Catwalk"なども良い演奏なのですが、印象はやはり薄い感じです。 |
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COOL STRUTTIN' - Sonny Clark - (USA) Blue Note BST-81588 A 1.Cool Struttin' 2.Blue Minor B 1.Sippin' At Bells 2.Deep Night |
Art Farmer (tp) Jackie McLean (as) Sonny Clark (p) Paul Chambers (b) Philly Joe Jones (ds) January 5, 1958 |
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LEFT ALONE - Mal Waldron - (JP) Bethlehem MP-2150 A 1.Left Alone 2.Catwalk 3.You Don't Know What Love Is B 1.Minor Pulsation 2.Airegin 3.Mal Waldron: (Interview) The Way He Remembers Billie Holiday |
Mal Waldron (p) Jackie McLean (as) only A-1 Julian Euell (b) Al Dreares (d) February 24, 1959 |
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『DAVIS CUP』、ウォルター・デイヴィス・ジュニアは殆どサイドメンに徹していた人でリーダー作の少ないピアニストです。この録音はマクリーンの『NEW SOIL』参加後直ぐの録音でマクリーンがお返しのような形で参加した彼の初リーダー・アルバムです。昔ジャズ喫茶で聴いて気に留めていたアルバムでした。やはり一曲目"'Smake
It"が印象的で跳ねるピアノに絡むホーン、ハード・バップの時代の音に浸れます。 同じようにジャズ喫茶で知った盤が『FUEGO』です。人気盤の多くにマクリーンは登場してきます。この盤でのリクエストはB面の方が断然多かったのです。A面トップのタイトル曲の異質さがそうなったのかも知れません。自分で針を上げ下げ出来ない喫茶店でトップ・ナンバーは大切です。反面B面トップの"Low Life"の印象に残り易いこと。ホーンがテーマをうたい上げてリズム陣が軽やかにサポート。 明らかに大学生と判るあんちゃんが灰皿の上で煙を上げている煙草の事も忘れて下を向いて腕や足をリズムに合わせて動かす姿が目に浮かびます。部屋の中は煙だらけ… B面ラストの"Amen"の覚えやすいメロも浸透して、ジャズ界の定番アルバムでしょう。 (この"Amen"というタイトルの曲、別曲で沢山ありますが「The Impressions」のが一番好きです。マクリーンとは関係のないことですが、R&Bグループで一番好きなのがImpressionsです。) |
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DAVIS CUP - Walter Davis Jr. - (USA) Blue Note CDP 7243 8 32098 2 8 1.'Smake It 2.Loodle-Lot 3.Sweetness 4.Rhumba Nhumba 5.Minor Mind 6.Millie's Delight |
Walter Davis Jr. (p) Donald Byrd (tp) Jackie McLean (as) Sam Jones (b) Art Taylor (d) August 2, 1959 |
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FUEGO - Donald Byrd - (USA) Blue Note BST-84026 A 1.Fuego 2.Bup A Loup 3.Funky Mama B 1.Low Life 2.Lament 3.Amen |
Donald Byrd (tp) Jackie Mclean (as) Duke Pearson (p) Doug Watkins (b) Lex Humphries (d) October 4, 1959 |
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`90年代に入ったころから、ジャズ系の音楽に関してはピアノ主体に聴くようになっていきました。別にクロス・オーバーやフュージョン系が嫌いではありませんでしたが、「ひとりで聴きたい・と思う気持ち」が起こった時の精神状態に、(楽器数が増え過ぎて)そぐわなかったのかも知れません。 モダンジャズに関しては静かに聴き入るタイプが好みに変わっていきました。。そんなに好きでなかったジョン・ルイス主体のMJQも聴くようになり、ヨーロッパ録音のケニー・ドリューやミシェル・サルダビーのピアノが気に入りました。そしてフレディ・レッドもその中に。 『THE MUSIC FROM THE CONNECTION』、 この盤は「有名に成った盤の殆どにマクリーンが居た」といったタイプの作品ではありませんでした。フレディ・レッドというピアニストはビッグ・ネームでもありませんでしたし、映画でなく劇中音楽ということもジャズ喫茶では避けられた原因がありそうです。全曲フレディ・レッドの作曲で当時のジャズ界と麻薬のことを題材にした劇だとの事。 ピアノトリオのアルバムとして聴いているとそんなに時代を感じませんが、マクリーンのサックスが入るとやはり録音年月通り、`50年代の音に突入します。 『SHADES OF RED』、マクリーンのサックスはじっくり聴きたい場合はワンホーンの方が絶対に良いのですが、ハード・バップ・ナンバーでのプレイというと二管の方がバトンの引継ぎを楽しむとか競い合うとかの駆け引きが粋で「これが聴き物!」といった部分が多分にあると思います。 この盤は後者の良い面が出ています。ただリズム陣が軽快にスィングしているのが条件でしょう。フレディ・レッドは曲作りの才能が有るのでどのようなタイプの演奏でも安心感があります。 "The Thespian"、"Olé"が良いです。 『REDD'S BLUES』はBlue Noteによくある未発表音源、お蔵入り音源です。未発表期間は26〜27年程。こちらは3管編成になっています。モロのハード・バップジャズです。 |
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THE MUSIC FROM THE CONNECTION - Freddie Redd Quartet with Jackie McLean - (JP) Blue Note TOCJ-9075 1.Who Killed Cock Robin 2.Wigglin' 3.Music Forever 4.Time To Smile 5.Theme For Sister Salvation 6.Jim Dunn's Dilemma 7.O.D. |
Freddie Redd (p) Jackie McLean (as) Michael Mattos (b) Larry Ritchie (d) February 15, 1960 |
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SHADES OF RED - Freddie Redd - (JP) Blue Note TOCJ-4045 1.The Thespian 2.Blues, Blues, Blues 3.Shadows 4.Melanie 5.Swift 6.Just a Ballad for My Baby 7.Olé |
Freddie Redd (p) Jackie McLean (as) Tina Brooks (ts) Paul Chambers (b) Louis Hayes (d) August 13, 1960 |
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REDD'S BLUES - Freddie Redd - (USA) Blue Note 7423 5 40537 2 6 1.Now 2.Cute Doot 3.Old Spice 4.Blues for Betsy 5.Somewhere 6.Love Lost |
Freddie Redd (p) Benny Bailey (tr) Jackie McLean (as) Tina Brooks (ts) Paul Chambers (b) Sir John Godfrey (d) January 17, 1961 |
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『MATADOR』 ケニー・ドーハムとは1961年録音の『INTA SOMETHIN'』で共演しアルバムは双頭コンボとして発表していましたが、この共演盤ではドーハムのリーダー作として発売されています。録音地はニューヨークで発売元は映画音楽で有名なUnited Artists。 "El Matador"は闘牛と戦う姿を思い浮かべながら聴くと、確かに後半になるほどそれらしく聞こえます。"Melanie-Part 1-3"はマクリーンのアルバム『LET FREEDOM RING』で"Melody For Melonae"と同じ曲で若干スピードが違ったりピアノのアレンジが違ったりの3パターン・ヴァージョン違いです。 "Smile"はチャップリン・ムービーでお馴染みのスタンダードですが、気持ちの良い演奏で粋なハード・バップ仕上げです。 "Beautiful Love"はヴィクター・ヤングのスタンダードでドーハムはお休み、マクリーンはPrestige時代を思わせるノスタルジックな演奏です。"Prelude"はドーハムとボビー・ティモンズの2楽器のみの映画のワン・シーン用のような曲。 "There Goes My Heart"もノスタルジーを感じます。 |
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MATADOR - Kenny Dorham - (JP) UA LAX-3125 A 1.El Matador 2.Melanie-Part 1 3.Melanie-Part 2 4.Melanie-Part 3 B 1.Smile 2.Beautiful Love 3.Prelude 4.There Goes My Heart |
Kenny Dorham (tp) except B-2 Jackie McLean (as) except B-3 Bobby Timmons (p) Teddy Smith (b) except B-3 J.C. Moses (d) except B-3 April 15, 1962 |
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リー・モーガンとマクリーンはBlue Note在籍時に何度も共演しています。共演作に名盤といわれる盤もありますが、わたしはモーガンのアルバムをそんなに買っていませんでした。LP時代には『The
Sidewonder』のみ、CD時代に成ってからマクリーン参加物で数枚買った程度です。 『TOM CAT』はその中の一枚。ボブ・クランショウというベースマンはサイドメンに徹した人の様ですが他のプレイヤーはみんながリーダー作をいくつも出している人達です。演奏自体はまず間違いなし。でも15年以上お蔵入りになった音源で発表はLP時代の1980年でした。モーガンは`72年に内縁の奥さんに射殺されていますので、死後でも8年後です。 わたしのはCDリリースの`90年盤。 『CORNBREAD』は1965年の録音でハービー・ハンコックがマクリーンとは『It's Time』で共演した後『Maiden Voyage 邦題:処女航海』を発表した時期で、ジャズ界の動きが活発に成り始めた頃、ハンコックも主役に近づいていく時期です。"Cornbread"はこの時期のモーガンとハンコックのタッグがやりたいジャズを奏っている感じです。わたしはこの種のジャズも勿論大好きです。"Our Man Higgins"はドラマー、ビリーの為の曲でしょう、ドラムに合わせてモーガン、マクリーンが気持ちよく吹きまくっています。 わたし的には "Most Like Lee"が一番ハード・バップ雰囲気が出ていて、時々「this is Jazz」というこの世界にハマりたくもなります。 『INFINITY』は本国でも録音後15年以上後(1981年)に発売された盤です。この録音された時期のマクリーンは、フリー寄りというより少々前衛的な音作りをしていた時期でこのモーガンとの共演作でもそれが出ています。タイトル曲"Infinity"は聴くときの体調にも依りますが、退屈なピアノのリズムの繰り返しがわたしにはどうも合わないです。"Zip Code"のホーンの掛け合いはジャズを感じますが、ここでもラリー・ウィルスのピアノが若干うるさく感じます。 |
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TOM CAT - Lee Morgan - (USA) Blue Note CDP 7 84446 2 1.Tom Cat 2.Exotique 3.Twice Around 4.Twilight Mist 5.Riggarmortes |
Lee Morgan (tr) Curtis Fuller (tr) Jackie McLean (as) McCoy Tyner (p) Bob Cranshaw (b) Art Blakey (d) August 11, 1964 |
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CORNBREAD - Lee Morgan - (USA) Blue Note CDP 7 84222 2 1.Cornbread 2.Our Man Higgins 3.Ceora 4.Ill Wind 5.Most Like Lee |
Lee Morgan (tr) Jackie McLean (as) Hank Mobley (ts) Herbie Hancock (p) Larry Ridley (b) Billy Higgins (d) Recorded September 18, 1965 |
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INFINITY - Lee Morgan - (JP) Blue Note TOCJ-1627 1.Infinity 2.Miss Nettie B. 3.Growing Pains 4.Portrait of Doll 5.Zip Code |
Lee Morgan (tr) Jackie McLean (as) Larry Willis (p) Reggie Workman (b) Billy Higgins (d Recorded November 16, 1965 |
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いくらリリカルなピアノが好きだった時代とは言え、ルー・マシューズというピアニスト、「マクリーンとの共演作」という文字に気付かなかったら手にしなかったアルバムです。『NATHALIE』(邦題:黒い瞳のナタリー) アルバム発表前に一度、ナンシー・ウィルソンの専属ピアニストとして来日されたそうですが、特に注目されたこともなかったようです。 録音はロスアンジェルスですがプロデュースが木全信さん、Key'stoneレーベルからでゲストがマクリーン。明らかに日本のジャズ・ファン向けの初リーダー作に成ります。(ルーは`46年3月21日生!) 彼の作曲は"Roundabout"、"Thoughtful"の2曲で他はスタンダード・ナンバー。マクリーンの参加する2曲は味がありますがピアノトリオの曲として聴く他の曲は"Unforgettable"のみで他は全く「味のしない」飲み物みたいでした。 |
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NATHALIE -Llew Mathews Trio Featuring Jackie McLean - (JP) Key'stone VACY 1022 1 Dark Eyes 2 Take The A Train 3 Roundabout 4 Golden Earrings 5 My Funny Valentine 6 A Child Is Born 7 Unforgettable 8 Thoughtful 9 Girl Talk 10 Second Hands Smoke |
Llew Mathews (p) Stan Gilbert (b) Albert Heath (d) Jackie McLean (as) only 1 and 5 October 7 & 8, 1997 |
© Photos of cover are copyright works by each art-designers. Text by Mie |