title

 女性のロック・ギターリストはランナウェイズのリタ・フォードやジョーン・ジェットなどの`70年代半ば以降徐々に増えてきています。
 それに比べて女性のブルース・ギターリストというのは長年極々少ない存在でした。 メンフィス・ミニー、シスター・ロゼッタ・サープといった二人の今やほぼ伝説のブルース・シンガー&ギターリスト以降はブルースを歌う事を職にする女性すら減ってきている感じです。人気を博しても大国アメリカのごく一部の地域だけのもので生活は苦しかったのでしょう(広く全米中に知られる様に成ったのは相当のちのこと)。
 そして、黒人がブルースを歌う事自体が職として成りつつあった`60年代後半から`70年代前半のブリティッシュ・ブルースブームの際は、かなりの頻度で海を渡ったりツアーをこなしたりすることが増え、女性には厳しい待遇だったと想像できます。
 世に出たブルース・ミュージシャンの九割以上は男性で憧れられたのはRobert Johnson、Muddy Waters、T-Bone Walker、Elmore James 等のレジェンド達。
 そして彼らに魅了された白人のミュージシャン達がブルース・ブームをけん引していったのですが、その中でもJ.メイオール、P.グリーン、ベック、ペイジ、クラプトン、M.ブルームフィールド・・・などギター・プレイヤー達が主でした。この時代は男性ギターリストばかりでしたが、この白人たちがけん引したブルース・ロック時代の音楽に惹かれた人たちの中から数名の女性ギターリストが生まれてきています。
 Debbie Davis、Deborah Coleman、Joanna Connor、Ana Popović、Erja Lyytinen、Kelly Richey、Becky Barksdale、Joanne Shaw Tayler、Susan Tedeschi、Sena Ehrhardt、Sue Foley わたしが手にしたアルバムの女性ブルース・ギターリスト達です。
 その様なブルース・ギターに魅かれた女性ミュージシャン達の中から、わたしが好んで作品を追い続けた人たちのアルバムを記していきたいと思い始めます。






name Debbie Davies

 デビー・デイヴィーズは1952年4月22日米国カリフォルニア州の大都市ロサンゼルス生まれ。音楽好きの両親 (父親はプロのシンガーだったらしい) のおかげで10代初めでピアノや楽器を覚えており、17歳頃に起こった例のブルース・ロック創世期にエレキギターに転向した様です。好きなギターーリストとしてテキサス・ブルースマンのアルバート・コリンズ、フレディ・キングの他にジャズ・ギターリストのケニー・バレルの名を挙げています。
 10代でエレキ・ギターを始めながら本格的なプロ始まりは32歳でジョン・メイオールの奥さんがリーダーになるバンドへの加入が最初だったということです。その後、大御所アルバート・コリンズにも認められ、後にバンド・メンバーにも一時期成っています。1990年ジョン・メイーオールのアルバム『A SENSE OF PLACE』でレコーディング初参加、自身名義でのソロ・デビューは41歳の時1993年9月発売の『PICTURE THIS』が最初でした。
 ブルース界最高峰の賞、[Blues Music Award (2005年迄は W. C. Handy Award 名義)] で1997年、2010年の二度 Female Artist 部門で受賞しています。
 育った環境は中流階層の上の方で、米国ホームドラマの殆どに登場してきそうな憧れの家庭といった様子でしょうか?デビーの容姿も少女時代は可愛く、年と共に普通のおばさま風貌に成って行く感じです。

 ソロ・デビュー作『PICTURE THIS』には恐らく最初のギターだと思われる塗装剥がれのストラトキャスターが移っています。個人的にはロリー・ギャラガーやスティーヴィー・レイ・ヴォーンを浮かべました。この後のアルバムにもたびたびストラトと一緒に移った写真が使われていますのでストラト愛好家だという事が判ります。
 録音はサンフランシスコに在る Hyde Street Studios。西海岸のレーベルですがモロのブルース・サウンドです。1、3、5、11曲目の4曲がデビーのオリジナルです。ソロデビュー迄長年ライヴで鍛えただけあってギター・フィーリングは抜群で黒人ブルースマンと区別はつきません。4曲目の "I Wonder Why" のみアルバート・コリンズが参加して中間のギター・ソロ部分でフィーチャーされています。
 声質はドス(凄み)が効いた男性声質ではなくまぁまぁ女性らしい声質ですが、唱法はギタープレイ同様にブルース・フィーリングを持った人です。ドン・ニックスやドニー・フリッツなど白人ながらサザーン・ソウル・シンガーたちに曲を提供しているライター達の曲を選んだのもわたしの注目したところです。 発売元のBlind Pig レーベルは今ではブラック・ミュージック専門のレーベルとして有名ですが`80年代だったかに初めてこのレーベル・マークを見たレコードは海賊盤だと思ったほどにそれっぽいマークのレーベルでした。似たようなロゴの海賊版を見た事が有った様な無かった様な・・・

 セカンドは『LOOSE TONIGHT』、2〜5、7、8、10と7曲がオリジナルです。"You Were Wrong" はテキサスのソウル系ブルース・シンガー Z.Z.ヒルの曲。
 カバージャケットの裏側に「This album is dedicated with love to the memory of Albert Collins」と記されています。デビーを育ててくれた恩師アルバート・コリンズは`93年11月24日にガンで亡くなっていました。アルバート・コリンズはスティーヴィー・レイ・ヴォーンも多くの影響を受けたテキサス・ブルースマンですが、デビーも白人ながらシカゴ・ブルース系寄りでなくテキサス・ブルース寄りのスタイルで演奏、そしてこの後も貫いている感じです。アルバム全体ではファーストより若干こじんまりした感じでしょうか。プロデュースはPaul Opalach という人で以後のアルバムでもほぼ同じ人がクレジットされています。

 『I GOT THAT FEELING』、前二作は西海岸での録音でしたがこのアルバムはメンフィスにある2箇所のスタジオで録音されています。サポートミュージシャンが違うのでスタイルに変化ありきと思いきやあまり気にはなりませんでした。探し出してみるとなるとメンフィスなのでソウルっぽく成りそうにも思いましたがそうではなくて若干ロックっぽさを感じたことくらいです。
 タイトル・ナンバーでもある "I Got That Feeling" にはアルバート・コリンズやジョン・メイーオールとなじみが深いブルースマン、 ココ・モントーヤ(Coco Montoya)という人が一緒にヴォーカルやギターで共演しています。また、"Let the Heartaches Begin"では後にアルバム共演するタブ・べノイトが参加しています。

 PICTURE THIS  LOOSE TONIGHT I GOT THAT FEELING 
PICTURE THIS
1990
Blind Pig Records BPCD-5004 (USA)

1. Picture This
2. Don't Take Advantage of Me
3. 24 Hour Fool
4. I Wonder Why
    (You're So Mean to Me)
5. Livin' on Lies
6. Better off with the Blues
7. Sidetracked
8. Lovin' Cup
9. Buzz Me
10. San-Ho-Zay
11. How Long Till I Win Your Love
12. Going Back to Iuka

 
LOOSE TONIGHT
1994
P-Vine OCD-3397 (Japan)

1. I Don't Want No Man
2. Wrong Man for Me
3. Where the Blues Come to Die
4. Give It Up
5. Can't Go on This Way
6. You Were Wrong
7. This Man Is Killin' Me
8. I Get the Blues So Easy
9. I Like the Life
10. A Mother's Blues
11. You Don't Know What You're Doing
 
I GOT THE FEELING
1977
Blind Pig Records BPCD-5039 (USA)

1. Howlin' at the Moon
2. Tired Angels
3. I Got That Feeling
4. Watch Your Step
5. Let the Heartaches Begin
6. Lucky in Love
7. Bad for Me
8. Where You Keep the Love in This Town?
9. Rockin' You Baby
10. Homework
11. Talk to Me
12. I Could Get Used to This

 
 『ROUND EVERY CORNER』、ニューヨーク州、ブロンクスビルにあるスタジオでの録音アルバム。今回は明らかに雰囲気の違うスタイルです。"Who'll Stop the Rain" はクリーデンス・クリアウォーター・リバイバルのナンバーですし、Don Castagno が書いたアルバム用のオリジナルながら "Time Work Your Magic" はまるで`60年代後半のボブ・ディランの曲?だとも思えそうな感じです。
タイトル・ナンバーもその頃の時代のディラン風です、作者は P.Cebar とクレジットされていますが知らない人でした。
"Scratches" もドン・カスターニョの作でブルース調ながらギターアレンジはかなりジャズっぽいです。本格ブルースはリトル・ウォルター がウォルター・ジャコブス名義で書いてトラディショナル化している "Blue & Lonesome" でこの演奏は素晴らしいです。デビーのヴォーカルも他曲より渋い感じで妙に合っています。この選曲はやはり前作迄と違ってテキサスから離れている感じですリトル・ウォーターは Chess/Checker でレコーディングしていたモロのシカゴ・ブルースマンでした。ラストの "Backseat Driver" はデビーのオリジナルですがギター・プレイ共々サウンドはシカゴ・ブルース系のブルース・ロックです。曲自体はかなり気に入っています。

 『GRAND UNION』というタイトルでで出された Grand Union というユニットでの和気あいあいなセッションアルバムです。アンスン・ファンダーバーグ (`54年生まれ)、オーティス・グランド (`50年生まれ) とほぼほぼデビーと似た年代の白人ブルース・ギターリストとのユニットです。ブックレット中には少年少女時代のギターを抱えて撮った写真と共に多くのギター写真が掲載されています。デビーが珍しくレスポールタイプを抱えた写真が裏にもありました。バックはThe New All American Rhythm Section と記された様々なミュージシャンがリラックスして演奏しています。少年少女時代にギターとブルースに熱中した者通しが集まっての同窓会的雰囲気のセッションです。ギンギンに弾きまくったりする曲は無く、ふと`50年代後半のNY52番街のジャズスポットってこの様な感じだったのでしょうね・・・と思ったりしました。

 『HOMESICK FOR THE ROAD』前作同様男性二人のギターリストと一緒に作ったアルバム。少し違うのはセッション風でなく一応一曲一曲が別々に計算されて録音されているような感じです。Cの発売元がクラシック系の音質に拘っていることで有名な Telarc のブルース用サブ・レーベルからの発売となりました。録音地もルイジアナ州のバトン・ルージュとメイン州の (オレゴン州ではなく) ポートランドでの録音できっちりとブルース・ギターの醍醐味を聴く聴衆者たちに伝わってきます。デビーたちもこの様な演奏を青春時代に聴いてブルースに魅かれたのでしょう。タイトル通り「あの時代に戻り今を見直しましょう」と云った感じの演奏でしょうか? 相棒たちはタブ・べノイトとケニーニール。
 リズム陣は前作の様な大所帯勢ではなくオルガン、ベース、ドラムスが付き合っているだけです。一曲ルイジアナ・ブルースマンのラフル・ニールがヴォーカルとハモニカで参加しています。録音もバトン・ルージュという事も有り多くの曲にルイジアナ・ブルースの曲調を感じます。目新しさは有りませんがギター・ソロの聴き物も有りました。ラストのタイトル・ナンバーは『ROUND EVERY CORNER』でディラン風の曲を書いたと記したドン・カスタニョが書いたオリジナルでブギ風のオールド・ブルースでした。

 ROUND EVERY CORNER  GRAND UNION HOMESICK FOR THE ROAD 
ROUND EVERY CORNER
1998
Shanachie SHANACHIE 9010 (USA)

1. Sittin' & Cryin'
2. Homework
3. Who'll Stop the Rain
4. Time Work Your Magic
5. Scratches
6. Blue & Lonesome
7. Such a Fine Man
8. 'Round Every Corner
9. Little Sister
10. Room with a View
11. A.C. Strut
12. Backseat Driver

 
GRAND UNION
Anson Funderburgh, Otis Grand, Debbie Davies
1999 (first released 1998 in UK)
Valley Entertainmen VE 15030-02 (USA)

1. Guitars on Fire
2. There Was a Time
3. Holding You Up for Love
4. The Things I'd Do for You
5. Bone Tones
6. I Got Eyes
7. Don't Talk about Me
8. Westside Bossman
9. Tc Blues
10. Rockin' Daddy
11. Country Girl
12. A Little Too Late
13. The Big Prayer


 
HOMESICK FOR THE ROAD
Tab Benoit, Debbie Davies, Kenny Neal
1999
Telarc Blues CD-83454 (USA)

1. Deal with It
2. Down in the Swamp
3. Bop 'Til I Drop
4. So Cold
5. I Put a Spell on You
6. Money
7. Luberta
    featuring Raful Neal
8. I Can't Afford My Self
9. I've Been Mistreated
10. Night Life
11. Still Called the Blues
12. Homesick for the Road
 
  『TALES FROM THE AUSTIN MOTEL』久しぶりに初期愛用のストラトと一緒の写真がカバーのアルバムですが、ストラト同様デビーはキャスケットタイプのキャップが好きらしくよく一緒に写っています。自動車社会の米国ではモーテルは一般的ではあるのでしょうが何やら意味深なタイトルです(StoriesじゃなくTalesだし)。
 殆どの曲はオースチンで録音されている様で内容はどっぷりのブルースです、アルバート・コリンズとスティーヴィー・レイ・ヴォーンに捧げると記されています。サポート・メンバーにSRV亡きあとの Double Trouble のトミー・シャノン(ベース)、クリス・レイトン(ドラムス)がフィーチャーされています。 数曲はブロンクスビルでの録音らしい・・・"Atras de Tus Ojos (Behind Your Eyes)" でしょうか? タイトルもスペイン語風でこの曲のみがブルースからかけ離れて日本人が作曲するようなマイナーな哀愁を帯びた曲です(デビー作ですが)。(DetrásでなくAtrasです)
 デビーのオリジナルも多い (7曲) のですがウィリー・ディクソンの曲が2、5、12と3曲も選ばれています。

 『LOVE THE GAME』ゲストにデュ-ク・ロビラード、J・ガイルズといったロック畑の人の名も見つかるアルバムです、そしてトップのタイトル曲はごくごく初期のブルース・ロック風で始まりその後2曲も同系統です("Fired Up"はインスト)。
 ベースにアラン・J・ヘイガー、ドラムスに曲の提供を受けているドン・カスタニョをこの頃の固定メンバーとして活動していた様です。ドン・カスタニョという人、種々のタイプの曲を作る感じです。このアルバムでも四曲と一曲をデビーと共作していますが、"She's Takin' Notes" などは泣きのギターを入れるなどクラプトンが好みそうな曲です。
 "Down in the Trenches" は完全な本格ブルースでデビーのオリジナルです。この曲は良いです、わたしのベスト。"I'm Just Your Fool" はまたもや日本人が作りそうなメロ構成で、ポップ調和製ロックでしょうか?デビーの曲です。

 『KEY TO LOVE』この企画アルバムは大歓迎です。そして、彼女のアルバム中でも良く聴くアルバムです。
 デビーの原点でもあったブリティッシュ・ブルースの大御所、ジョン・メイオールの曲を主体に構成演奏しています。12曲中9曲がメイオール作、2曲がデビーの曲 (5,12) 、そして残りの "Steppin' Out" はメンフィス・スリム ( L.C. Frazier) が書いたインスト・ナンバーでメイオールのバンドにクラプトンが在籍時の際レコーディングして有名になった曲です。デビーも当時のクラプトンにも負けていないギター・プレイを披露しています。
 メイオール門下生のピーター・グリーン (11) とミック・テイラー (3) も参加しています。この2曲は全曲中でも特に素晴らしいです、デビーの声もピッタリハマっています。オリジナルも本格ブルースで気分良いです。他、大御所ではジェイムス・コットンがハモニカで2曲参加しています。

 TALES FROM THE AUSTIN MOTEL  LOVE THE GAME KEY TO LOVE 
TALES FROM THE AUSTIN MOTEL
∼ Featuring Chris Layton and Tommy Shannon∼
1999
Shanachie 9019 (USA)

1. Just Stepped in the Blues
2. I Want to Be Loved
3. Bald Headed Baby
4. Watch Out What You Do
5. I Just Want to Make Love to You
6. As the Years Go Passing By
7. I'm a Woman
8. Half Caf-Decaf
9. Atras De Tus Ojos (Behind Your Eyes)
10. When You Were Gone
11. Percolatin'
12. Walking by Myself
LOVE THE GAME
2001
Shanachie 9030 (USA)

1. Love the Game
2. Can't Live Like This No More
3. Fired Up
4. Down in the Trenches
5. Worst Kinda Man
6. Can't Fin the Blues
7. Was Ya Blue
8. I'm Just Your Fool
9. Leading Me Home
10. Funky Little Teapot
11. She's Takin' Notes
12. Keep Your Sins to Yourself
13. Grow Up, Grow Old
KEY TO LOVE
: A Celebration Of The Music Of John Mayall
2003
Shanachie 9034 (USA)

1. Light the Fuse
2. Chicago Line
3. Hard Road
4. Room to Move
5. Takin' It All to Vegas
6. Dream About the Blues
7. Key to Love
8. I Should Know Better
9. I'm a Sucker for Love
10. Steppin' Out
11. Nature's Dissappearing
12. I Just Came to Play

 『ALL I FOUND』、2004年後期、5年ぶりにメイン州 ポートランドでの録音で6年ぶりに Telarc Blues からの発売です。曲はデビーとドン・カスタニョが共作も含みふたりでほぼ半々を担当、ドンはドラムスではサブに回りメインのドラマーはジェイムス・コットンのバンド・ドラマー、パー・ハンソン(Per Hanson) が叩いています、ベースも同バンドのノエル・ニール(Noel Neal)。"Evidence"は曲自体も良いですが、デビーのギターソロがやけに耳に残るほど [かっこ好い] です、ライブでは盛り上がりそう。"All I Found" はスロー・ブルースでいわゆる「泣きのギター」好きにはにんまりな曲でしょう。5曲目、6曲目のデビーの声はやたら幼く聞こえてしまいポップス風な出来でした。"So What"はインスト曲、アーサー・ニールソン (Arthur Neilson) というギターリストとソロを分かち合っています。前半の4曲と後半の7曲と比べたら、後半は半分以下の好感性しか持てません。

  『BLUES BLAST』、前作に続いてTelarc Blues からの発売、ベースがロッド・キャリー(Rod Carey) という人に変わっています。ギターにアルバート・コリンズやジョン・メイオールとの共演もありデビーの『』にも参加していたココ・モントーヤ(Coco Montoya)が数曲で参加しています。
 トップはインスト曲でまぁまぁ良い感じです。2曲目はオールド・ブルース風、ここでのデビーの声質は渋みがあり良いです。前作後半の曲の声質は妙でかなり可愛く優しく聞こえていました。"Movin' & Groovin'"はチャーリー・マッスルホワイト(Charlie Musselwhite) のオリジナルでヴォーカルも彼が担当しています。チャーリーはミシシッピ州生まれた歌手兼ブルースハープ奏者、デビーの一世代前のベックやクラプトン達の世代、白人ながらシカゴ・ブルース界では知られた人でした。曲はジャンプ・ブルースでジャズの雰囲気たっぷりのなかなか良い感じの曲です。
 "Crawling King Snake" はジョ・リー・フッカー、"Howlin' For My Darlin'" はウィリー・ディクソンのそれぞれ有名曲で2曲ともヴォーカルはタブ・べノイト(『HOMESICK FOR THE ROAD』で共演)で " Like You Was Gone" も彼のヴォーカル。ラスト曲は超スローなブルース・インストなので本作は2、3、8の三曲しかデビーのヴォーカル・トラックはありませんでした。ただこのカバーデザインは色使い、カメラアングル(レンズの選び方)、フォント選びなどのすべてがわたしのお気に入りです。

 『HOLDIN' COURT』、前作と相反しどうも好かないカバーデザインです(欧州王室時代の貴族嬢風女性がギターを持っている)。レコード会社も変わっています。録音地もコネチカット州のシェルトン(お金持ちが多いイメージ)。そしてヴォーカルは一曲も含まれていないオール・インストゥルメンタル・トラックです。ジョン・リー・フッカーの "I Wonder Why" はオリジナルでなくオーティス・ラッシュのアレンジ・ヴァージョンです。オーティスやバディ・ガイなどわたしも単独ページを作っているくらいにブルース・ギター好きには(テキサスやシカゴなどの土地柄サウンド抜きに)たまらないレジェンドです。
デビーのギター・テクニックを堪能できるアルバムですが、重ね重ねにカバーデザインが気に入りません、デビーと何度も組んでいるプロデューサー Paul Opalach のデザインらしいです。

 ALL I FOUND  BLUES BLAST HOLDIN' COURT 
ALL I FOUND
2005
Telarc Blues CD-83626 (USA)

1. Made Right in the USA
2. One More Time
3. Evidence
4. All I Found
5. Troughin'
6. I Won't Be Your Baby Too Long
7. So What
8. Comfort Zone
9. Every Breath I Take
10. Trying to Keep It Real
11. What Do You See in That Girl

BLUES BLAST
2007
Telarc Blues CD-83669 (USA)

1. A.C. Strut
2. My Time After Awhile
3. Sittin' and Cryin'
4. Movin' & Groovin'
5. Crawling King Snake
6. Howlin' for My Darlin'
7. Like You Was Gone
8. Where the Blues Come to Die
9. Sonoma Sunset
HOLDIN' COURT
2009
Little Dipper Records LDIP-001 (USA)

1. Fishnet
2. Down at the Honky Shack
3. Tryin' to Keep It Real
4. Okie Dokie Stomp
5. Percolatin'
6. So What
7. Atras de Tus Ojos
8. Holdin' Court
9. I Wonder Why (Blues in D Natural)
10. If You Love Me Like You Say
11. Zoom-in'
 『AFTER THE FALL』、デビーは2010年に手を怪我したという事で、一時期は引退か?と噂されたこともあった様ですが、復活作としてのアルバムに成ります。輸入盤ですが紙一枚の片面のみに日本語解説を付けた<日本盤仕様>としての販売です (BSMF レーベル)。`70年代後半の記事だったかで純ブルースのレコードを国内プレスして発売するときは第一プレスで4000枚位だと書いてあったことを覚えています。再プレスすることが少なかったので日本のブルース好きは4000人未満程だったのだと思います。その後、新しいファンはそう増えていない様なので、今やブルース・ミュージシャンのCDを国内でプレスするのは厳しいのでしょうね。クラシックのCDが1万枚超えのセールスがある中、ちょっと寂しい気にもなります。
 録音はニューヨークからそう遠くはないグレン・リッジ(ニュージャージー州)で作曲の相方でもあるドラムスのドン・カスタニョ以外はまた新しいメンバーの名前がクレジットされています。"Don't Put the Blame" "The Fall" はミディアムロック調で声がスージー・クアトロに思えるほど似ています。デビーの声質はいろいろ変化させる事出来るのでしょうか? "True Blue Fool" はソウルフルなバラードでメンフィスの香り。"Done Sold Everything" "Little Broken Wing" もブルースっぽさはなく`50年代後半のニューオリンズR&Bっぽい感じ。"All of my Forgiveness" はしっとりと歌うタイプのオールド・ブルースの雰囲気を持ちながらギター・ソロの部分のみモダン・ブルース的に変化しています。"Goin' to a Gaggle" はおとなしめのジャンプ・ブルース。ギターソロの部分でホッコリします。 "I'll Feel Much Better When You Cry" はソロ・デビュー時に演奏していたようなブリティッシュ・ブルースマンたちが演奏しそうな曲です。60歳になったデビーですがこういう曲の懐かしいギター・ソロはたまらないです。 "Down Home Girl" ありふれたタイトルながらオリジナルでタイトル通り素朴なカントリー・ブルースで続くブギースタイルの "R.R. Boogie"(インスト・ナンバー) との対比が目立ちます。ラストは`50年代ミュージカル・ソングを思わせるジャズっぽさを持った曲で終わります。一枚でアメリカン・ミュージックの種々スタイルの要素が入っていた感じです。

 『LOVE SPIN』、2009年のオール・インスト・アルバム『HOLDIN' COURT』同様のレーベルからで録音も同じコネチカット州のシェルトンにあるスタジオです。妙ちくりんなカバーデザインでなくて良かったです。 トップはソウルっぽい雰囲気ながらギターはブルース・ロック調のアップテンポナンバー。タイトル・ナンバーはセカンドアルバム以降アルバムプロデューサーとして名を連ねて来たポール・オーパラッチがLap Steel というギターを弾いていますが絡むデビーのギターは良い感じです。 (ポール・オーパラッチは他の曲でもオルガンなどを弾いています)
 "Let The Heartaches Begin " はテリー・ハンク (Terry Hanck) というブルース・サキソフォニストがサックスとデュエット・ヴォーカルで参加、古き時代のジャズの雰囲気たっぷりで良い感じの曲に仕上がっています。 "It's All Blues" カントリー・ブルースタイプの曲ながらギター・ソロが入ると急にモダン・ブルースを感じます。このアルバムでは2曲が他の人の曲で "Talk Real Slow","A Darker Side of M"ですが前者の方は白人ブルースマン Lenny McDaniel 作、地味で渋い曲ですが妙に味わいのある曲です、好きなサザーン・ソウルっぽい雰囲気だからなのでしょう。後者はスェーデンの白人ブルースマン Sven Zetterberg という人の曲、ジャズっぽい曲で、ジャズ・ヴォーカルのオムニバス・アルバムに収録されても違和感なしです。彼女のアルバムには毎回数種のストラトキャスター写真が載っていてストラト愛が感じられて微笑ましいですね。
 
 AFTER THE FALL  LOVE SPIN  
AFTER THE FALL
2012
M.C. Records MC-0069 (USA)
Basf BSMF-2298 (domestic editions)

1. Don't Put the Blame
2. The Fall
3. True Blue Fool
4. Done Sold Everything
5. Little Broken Wing
6. All of my Forgiveness
7. Goin' to a Gaggle
8. I'll Feel Much Better When You Cry
9. Down Home Girl
10. R.R. Boogie
11. Google Me Baby
LOVE SPIN
2015
Little Dipper Records VT-LDIP002 (USA))

1. Life Of The Party
2. Love Spin
3. Let The Heartaches Begin
4. Don't Change It Up 1
5. It's All Blues
6. Talk Real Slow
7. I'm Not Cheatin' Yet
8. Two Twenty-Five-Year-Olds
9. A Darker Side of Me
10. I Get The Blues So Easy
11. Way Back Home


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 name Deborah Coleman

 1956年10月3日米国バージニア州のポーツマス(Portsmouth)生れ。ポーツマスと呼ばれる都市は数箇所ありますが、彼女の生地はバージニア州です。 [Deborah] という女性名を愛称で用いると時は [Debbie] と呼ぶときも多いのでデビー・デイヴィーズに次いで同名の女性ブルース・ギターリストです。デビーよりは少し若いのですが、ブルースに興味を持った経由がヤード・バーズをきっかけとするブルース・ロックからだったと似ています。デビー・デイヴィーズは白人中流家庭の上位クラスの家庭に生まれていますが、デボラの方はというとお父さんは米海軍軍人だとか、海軍施設の中で生まれています。軍人は階級によりお給料は大きな差があるようですが、10歳未満で楽器を買ってもらい練習できる程ですので、ソコソコの家庭環境だったのでしょう。黒人の女性楽器奏者というと、ホントにごくわずかしか世に出ていないですよね。楽器自体が高価なピアノやヴァイオリン奏者などで有名人は殆ど見かけませんし、多額の教育費用を有するオーケストラ楽員ともなると更に少ない感じです。デボラには先駆者に成って欲しいです。
 デボラはデビーが受賞している [Blues Music Award (2005年迄は W. C. Handy Award 名義)] に繰り返し数度ノミネートされていますが受賞経験はありません。 どちらかというとデボラの奏法には白人受けする [キレの良いフレーズのギターソロ] による派手さが少ないことでしょうか?地味なのかも知れませんが、そこが本来のブルース感を出しています。
 ※2018年4月12日深夜に肺炎の為に亡くなられたそうです、61歳の若さでした。


 『TAKIN' A STAND』、デビー・デイヴィーズ同様、初のソロアルバム発表はロック界・ポップス界に比べたら完全な遅咲きアーティストです。電気技師の資格を取得しながらも様々なバンドでライブをこなしながらミュージシャンとしてのキャリアを磨いていったようです。
 このアルバムは New Moon Records というかなりマイナーなレーベルから出されています。ジョン・コルトレーンやセロニアス・モンクなど有名ジャズマンを生み出しているノース・キャロライナ州に拠点を置く会社の様です。全10曲中、トラックNo.1、6、10(11含む)を除く7曲がデボラのオリジナルとデビュー作にしては将来を期待されている感じはします。他人の曲のうち "Moanin' the Blues" は黒人ブルース・ギターリストのレジェンドメンフィス・ミニーの曲で選曲は当然なのかもしれませんが、 "Them Changes" はバディ・マイルスの曲、バディはジミ・ヘンドリックスがバック・バンドにと結成した [Band Of Gypsys] のドラマーだった人。ブルースというよりファンク・ロック系のミュージシャンです。ここでの演奏もファンクです。デボラのオリジナル曲はタイトル曲の "Takin' a Stand" 以外はブルースという以前に退屈さを感じます。その点 "Takin' a Stand" はブルースを感じました。 ミニーの "Moanin' the Blues" は曲も良くデボラのヴォーカルも熱が入っています。

 『I CAN'T LOSE』、セカンドはデビー・デイヴィーズのファースト・ソロを出した Blind Pig レーベルから出ました。本作もデボラのオリジナルは7曲あります。そしてライナーノーツ内にFMラジオから次々と流れてくるアルバート・キング、レッド・ゼッペリン、ビリー・ホリデイ、ビートルズ等の音楽に浸っていたと記されています(おそらく`60年代後半から`70年代始めでしょう)のでジャンルに拘りなく音楽そのものが好きだったと判ります。ここでもビリー・ホリデイの "Fine & Mellow" が選ばれています。
 トップはテキサス・ブルースマンレスター・ウィリアムスの代表曲 "I Can't Lose" (原曲はI Can't Lose With The Stuff I Use)、ジャズっぽい雰囲気のジャンプ・ブルースです。 "Brick" という曲はジョニー・モリセットというR&Bシンガーの曲ですが、ツイストでも踊りそうな`60年代前半の曲の感じですが詳しくは判りません。 "Fine & Mellow" はビリーが Commodore に吹き込んだ曲で元はサックスなどが入りやはりジャズっぽい雰囲気ですがデボラのヴァージョンはエレキ・ギターを上手く使いブルースに変身させています。アルバム内で一番好きです。オリジナル曲は前作より質は上がっていると感じます。2、3、10(インスト)辺りが良かったです。"Something's Wrong" にはBlind Pig に先に契約していたジョアンナ・コナーがギターで参加してソロを弾いています。ジョアンナのアルバムもほぼ持っていますのでまた記したいです。

 『WHERE BLUE BEGINS』、三作目です。ファーストのアマチュア感バリバリの写真から今回はメイクもバッチリでスター性を感じる写真です。ただ、抱えているテレキャスターは Fender の低価格帯ブランド Squire 製です (`80年代`90年代は今ほどプロが使う事なかったと思います)。
 シカゴのスタジオでの録音ではっきりとモダン・シカゴ・ブルース路線だと判る仕上がりです。2曲目の "Goodbye Misery" などはモダン・ブルースとして良い曲だと思いますし好きです(デボラのオリジナル)。 "Walk Your Walk" はタイトルからしてブルースらしさがありますがオールド・スタイルを引き継いだ味のある曲です。"They Raided the Joint" はルイ・ジョーダンの曲でジャンプ・ブルースと呼ばれることもありますが私的にはスィング・ジャズに感じます。"Do You Want My Love" は地味ながら聴けば聴くほど味を感じられる曲です、短い中間のギターソロもこれまた地味ですが効いています。ジョアンナ・コナーが参加した "Nobody to Blame" は平均的な出来に感じます。

 TAKIN' A STAND  I CAN'T LOSE WHERE BLUE BEGINS 
TAKIN' A STAND
1995
New Moon Blues  NMC-9406

1. Evil Gal's Daughter
2. Missin' You
3. Don't Talk About Love
4. Takin' a Stand
5. I Believe
6. Moanin' the Blues
7. I Cry
8. What Should I Do
9. Can't Leave the Blues
10. Them Changes
11. Changes Revisited
 
I CAN'T LOSE
1997
Blind Pig Records BPCD-5038 (USA)

1. I Can't Lose
2. My Heart Bleeds Blue
3. Roll with Me
4. the Man Is Mine
5. Brick
6. Fine & Mellow
7. Feelin' Alright
8. Something's Wrong
  featuring Joanna Connor
9. I Found You
10. My Love Belongs to You
 
WHERE BLUE BEGINS
1998
Blind Pig Records BPCD-5048 (USA)

1. Love Moves Me
2. Goodbye Misery
3. Hain't It Funny
4. Travelin' South
5. The Dream
6. Walk Your Walk
7. They Raided the Joint
8. Do You Want My Love
9. On the Hunt
10. Beside Myself
11. Nobody to Blame
   slide guitar featured Joanna Conor

 
 ギターと一緒に映らないギターリストのアルバムカバーの第四作『SOFT PLACE TO FALL』、黒人特有の編込みブレイズ・ヘアーです。裏ジャケットにはきっちりとギターを抱きかかえた写真が掲載されています(ギターの裏が正面ですがテレキャスターでしょう)。
 トップの "Look What You Do to Me" はPeter Smith とDanny Schoggerのコンビが書いたロック・ナンバー、妙に耳に残る印象的な曲です、2曲目、3曲目のタイトルナンバーも4曲目ブルース色は感じられません、特にタイトル・ナンバーは洗練された都会的なサウンドで`80年代 AOR系-シティポップ風サウンドです。このアルバムの録音地はナッシュヴィルに在るスタジオです!とてもナッシュヴィルのサウンドとは思えません。
 5曲目にして初めてブルース・ナンバー、リトル・ジョニー・テイラーの "If You Love Me Like You Say"です。 "I'm a Woman" はR&Rレジェンド、ボ・ディドリーがブルース寄りの曲として初期に歌った曲で渋い渋い選曲でした。"Nothin' to Do with Love" はエリック・クラプトンで有名な"Forever Man" の作者でこの曲も味のあるブルース・ロックです。

 『LIVIN' ON LOVE』、デビューアルバム(39歳時)のカヴァー写真と比べるとわずか6年程なのにまるっきり違う人物に見えてしまいます。前作辺りから種々ジャンルのスタイルを取り入れて来ていますが、その分幅が広がったというか演奏そのものに余裕を感じます。このアルバムの前半はソウル・ミュージック色をかなり感じます。メンフィスでの録音だと納得できるサウンドです。"Memory Lane" はデボラのオリジナルですがこの曲だけが哀愁を帯びた北欧のメロディのようなマイナー曲で心に染みます。"Happy When You're Unhappy" 以降はブルース色の強い曲が続きます。

 『SOUL BE IT』、このアルバムのカバーデザインは彼女の全作の中で一番好きです。西海岸カリフォルニア州のチーコにある在る [シエラネヴァダ・ブルワリー] でのライブ録音集。メンバーはDeborah Coleman (gt, vo)、Debra "Nardi" Salyer (bs,back vo)、Jason Paul (ds)、Billy Crawford (2nd gt、except solo on tracks 3 & 8) の4人ですべての曲がグルーヴィーで最高です。デボラのベスト・アルバムで多くのこの種のブルース・アルバム内でも大好きなアルバムです。この頃精力的にライヴをこなしていたようで日本でも演奏していたようです。

 SOFT PLACE TO FALL  LIVIN' ON LOVE SOUL BE IT 
SOFT PLACE TO FALL
2000
Blind Pig Records BPCD-5061 (USA)

1. Look What You Do to Me
2. Confused
3. Soft Place to Fall
4. Don't Lie to Me
5. If You Love Me Like You Say
6. Another Hoping Fool
7. I'm a Woman
8. So Damn Easy
9. Nothin' to Do with Love
10. What Goes Around
11. The Day It Comes
 
LIVIN' ON LOVE
2001
Blind Pig Records BPCD-5070 (USA)

1. Livin' on Love
2. You're with Me
3. Light of Day
4. Memory Lane
5. Crazy
6. Bending Like a Willow Tree
7. Happy When You're Unhappy
8. Don't Talk in My Sleep
9. Heaven's Got the Blues
10. Torn in Two
11. Deserted Highway

 
SOUL BE IT
2002
Blind Pig Records BPCD-5079 (USA)

1. Brick
2. My Heart Bleeds Blue
3. Don't Lie to Me
4. I'm a Woman
5. You're with Me
6. I Believe
7. the Dream
8. Goodbye Misery

Live at the Sierra Nevada Brewery
 
 『WHAT ABOUT LOVE?』、長く在籍していたBlind Pig からTelarc へ移籍しています。録音も東海岸メイン州のユニティという町でメンバー・クレジットはDeborah Coleman (gt, vo)、Noel Neal (bs,back vo)、Per Hanson (ds)、Hiromasa Suzuki (gt) 、Ken Clark  (organ) と記されていますギターはヒロ・鈴木さんの事でしょう。ジャズピアニストとして有名な鈴木宏昌さんは2004年時点では亡くなられています。レコード会社の移籍が原因なのが分かるように前半部分は、かなり洗練されたモダン・アーバン・ブルースといったサウンドに変化しています。楽器にもピアノでなくオルガンが入っています、21世紀のエレクトリック・ブルースでしょうか? "Bad Boy" のソロ部分や "Lie No Better" のサウンドなどは`70年代にジャズから派生したフュージョン・ミュージックに聞こえます。 わたしは元々ジャンルに拘らずあらゆるジャンルを聴いてきていますので、ブルース・ミュージシャンのアルバム内に入っていても意外性を感じるだけで好きになれます。曲自体は良い曲です。 "When Will I Be Loved?" はエヴァリー・ブラザースの超有名ポップ・ソングですが見事なウォーキング・ブルース・スタイルにアレンジされています。歌詞を聴くまでは気付かなかったほどのアレンジでした。
 そして後半部分はブルース色、ロック色、フユージョン色などどれもが薄れてヴォーカルを聴かせるタイプの曲が並んでいます。

 『STOP THE GAME』、このアルバムは録音は米東海岸中部のヴァージニア州ヴァージニア・ビーチにある Mastersound Studio で行われているにもかかわらず本国では未発売に成っている様です。ミキシングがロンドンで行われイギリスにあるJSP Records から発売されました。
 イギリスからの発売らしさを感じるのはモダン・ブルースというより、ルーツがブルース・ロックから引き継いでいる様なサウンドが半分ほどです。このオールド・スタイルは21世紀のアメリカ(現時点)では受け入れられないのでしょうね。 "Motor City II" はインスト曲でこの曲のみフュージョン的な要素を感じます。"Greezy" は掛け声は入るものもビリー・クロフォードのインド風なメロをアコギで奏でているだけのほぼほぼインスト曲。あと異色なのは "Long Time" で作者はWillie Edwardsとなっていますが、ウエスト・コースト派のSSWが作るようなフォークソング風でした。メンバーは  Deborah Coleman (gt, vo), Billy Crawford (2nd gt, acoustic gt), Jerome Heitman (bs), Neil Shull (ds)と成っています。

 『TIME BOMB』、カナダ出身の女性ブルース・ギターリスト、スー・フォーリーとロクサーヌ・ポトビンと組み三人の名義で出されたアルバム。録音地はミネソタ州ミネアポリス、但し発売はドイツの会社 RUF レーベル。 この三人の中ではスー・フォーリーが最もセールス的にはリードしていると思います。ギターは迫力あるスタイルですが声質が若干舌足らずに聞こえてくるので私的には追いかけない人でした。ロクサーヌはまだデビュー後数年ですがギタープレイはなかなかの物ながらこの人も声がポップス向きに聞こえます。サポート・メンバーはJim Anton (bs)、 Bruce McCabe (p,organ)、 Mark Lickteig (organ, back-vo)、 Billy Thommes (ds)、 Kevin Bowe (back-vo)。タイトル・ナンバーはスーの曲で全員参加のインスト曲。あとはそれぞれがリード・ヴォーカルを分け合っていますが、デボラがやはり貫禄のヴォーカルです。ロクサーヌが歌う "Strong Enough to Hold You" はブラック・ミュージック系でなくメロの美しいバラードタイプの曲なので可愛い声がピッタリです。
 尚、このアルバムわたしの買ったのはジュエルケーズ入りでなく三開きのブック型ドイツ盤ですが、日本国内仕様の盤も大阪にあるレーベル BSMF レーベルから出ていました。

 WHAT ABOUT LOVE?  STOP THE GAME TIME BOMB 
WHAT ABOUT LOVE?
2004
Telarc Blues CD-83595 (USA)

1. Bad Boy
2. Lie No Better
3. Undeniable
4. Can You Hear Me
5. When Will I Be Loved?
6. Healing Ground
7. The River Wild
8. What about Love?
9. Loves Like Rain
10. Lookin' for a Real Love
11. A Woman in Love
STOP THE GAME
2007
JSP Records JSP8804 (UK)

1. I Got to Know
2. Stop the Game
3. Motor City II
4. Everlastin' Tears
5. Greezy
6. Changes
7. Long Time
8. Seven Days
9. Zero
10. Wagon Wheel
TIME BOMB 
Sue Foley, Deborah Coleman, Roxanne Potvin
2007
Ruf Records  RUF 1129 (Germany)

1. Time Bomb
2. Hitting on Nothing
   Lead Vocals Roxanne Potvin
3. So Far
    Lead Vocals Sue Foley
4. Talking Loud
   Lead Vocals Deborah Coleman
5. Strong Enough to Hold You
   Lead Vocals Roxanne Potvin
6. Show Me
    Lead Vocals Sue Foley
7. Motor City
   Lead Vocals Deborah Coleman
8. Get Up
    Lead Vocals Roxanne Potvin
9. Two Moons Gone
    Lead Vocals Sue Foley
10. Don't Start the Car
   Lead Vocals Deborah Coleman
11. In the Basement
   Lead Vocals Coleman, Foley, Potvin

 『BLUES CARAVAN : GUITARS & FEATHERS』、これは同じRuf Recordsから出ていた『TIME BOMB』の続編にあたるアルバムです。今回は輸入盤で国内盤仕様扱いで紙一枚の解説が付いていました。デボラ以外のフィーチャーは米国人シンガー、キャンディ・ケインと新人でヴォーカル&ギターのダニ・ワイルド (英国人) の女性たち。録音はザ・ハーモニーというドイツのボンにあるクラブライヴの模様。ダニが4曲、キャンディが3曲、デボラが1曲提供。オールド・ブルース・スタイルはダニの "I Love You More Than I Hate Myself"、ルーサー・アリソンの"Fight" 、ZZトップの "Jesus Just Left Chicago" あたりで他ウィリー・ディクソンの "Whole Lotta Love" も含めて全体的にロック色が強いモダン・エレクトリック・ブルース・スタイルです。ロック調の曲もライヴ感が良く出て良いのですが、私的にはダニのオリジナルであるスロー・ブルース "I Love You More Than I Hate Myself"が最も気に入りました。三人のメイン女性のうちキャンディのみギターが弾けない為なのかローラ・チャベスというド迫力女性ギターリストが参加しています。キャンディはシンガーとして名が出る前にアダルト映画のスターとして人気を得ていたそうです。三人以外のメンバーはLaura Chavez (gt), Michael Griot (bs), Govert Van Der Kolm (key), Denis Palatin (ds)とクレジットされています。

BLUES CARAVAN: GUITARS & FEATHERS
BLUES CARAVAN : GUITARS & FEATHERS
Deborah Coleman, Candye Kane, Dani Wilde
2008
Ruf Records  RUF 1140 (Germany)
Basf BSMF-2088 (domestic editions)

1. Won't Leave
2. Bring Your Loving Home
3. Heal My Blues
4. Come Undone
5. I Love You More Than I Hate Myself
6. You Need a Great Big Woman
7. My Country Man
8. I'm Lucky
9. Crazy Little Thing
10. Toughest Girl Alive
11. Bad Boy
12. I Got to Know
13. Fight
14. Jesus Just Left Chicago
15. Something's Got a Hold of Me
16. Whole Lotta Love
17. Rocking on the Blues Caravan


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 name Joanna Connor

 1962年8月31日にニューヨーク州ブルックリン生まれ。音楽好きのお母さんの影響で7歳頃からギターを弾きだしマサテューセッツ州へ移転したのち16歳頃にバンド活動を始め、22歳の時にシカゴ・ブルースの本場シカゴへ移住。バディ・ガイ等との共演も経て自身名義のバンドを結成するまでになったという女性ギターリストです。
 デビューは20代後半で、ロック・シンガーの様な姉御風貌・容姿でしたが数年すると急に「貫禄太りの近所のおばさん」風貌に変化しています。ギタースタイルは姉御風貌にピッタリの鋭いキレのあるロック寄りスタイルで純ブルースと云うよりブルース・ロック系のギターリスト。ヴォーカルやスライド・ギター・プレイでも好評を得ています。

 『BELIEVE IT!』、トップはフレディ・キングのカバー "Texas Flyer" ですが、ギター・スタイルは明らかにブルース・ロックの洗礼を受けた人らしさがソロ・プレイ部分で出てきます。完全なエレクトリック・ブルースです。"He's Mine" は彼女のオリジナル、デビュー・アルバム最初のオリジナル曲にしてはブルース・ロック・ナンバーとしてかなりの出来です。"Doctor Feelgood" はアレサ・フランクリンの大ヒットアルバム『I Never Loved a Man the Way I Love You』に収録されていたディープ・ソウルの有名曲で、ヴォーカルはソウル風にギターはブルース調にチョーキングなどを交えて結構な聴き物になっています。ヴォーカリストとしても良い感じです。オリジナルの"When You're Being Nice" もソウル寄りの曲で米南部〜中南部辺りのスタジオでの録音かと思いましたが、録音はニューヨークのAcme Recording Studiosという事でした。ラストの "Good Rockin' Daddy" はエタ・ジェイムズの曲でジョアンはギター・スタイルはブルースながら歌唱スタイルはソウル、R&B系だと感じました。

 『FIGHT』、セカンド・アルバムトップはロバート・ジョンソンの超有名曲、ロック調で演奏しています。ロバート・ジョンソンは日本でも根強いファンが居ると思える証拠をひとつ。21世紀に入って15年も過ぎているのに京都の映画村近くのスーパー駐車場に置いてあった煙草の自販機、古いまま(稼働・未稼働未確認)置いてありましたが、そこにはロバート・ジョンソンのポスターが!(下記に)。
 タイトル・ナンバーはルーサー・アリソンの曲でジョアンが好きそうなブルースマンだなって感じがします。若干ロック寄りの人ですね。 "Walk Away" はサザン・ソウル・シンガー、アン・ピーブルスのデビュー曲、大好きなHiレーベルでの録音楽曲です。ジョアンのはおそらくメンフィスのArdent Studiosでの録音でしょう。このアルバムはもう一ケ所録音地としてレイク・ジェニーバ (ウィスコンシン州) のRoyal Recordersが記されていて楽曲別表記はありませんでした。他の彼女のオリジナル曲は、ロック寄りの平均的な曲です。

 『LIVING ON THE ROAD』はドイツ・ベルリンに在った Franz-Club (1997年に経営破綻、以降 Frannz というレストランに替わった模様) というディスコティック・クラブでの`93年4月23/24日録音ライブ。バック・メンバーはクレジットありますが知らない人達です。目玉はブルース・レジェンドエルモア・ジェイムスの "Sky Is Crying" で実に9分を越える演奏です。この曲、クラプトンやスティーヴィー・レイ・ヴォーンでもお馴染みの曲、ジョアンも情感込めて弾いています。またクラプトンが米南部スワンプ音楽に惹かれていた頃に吹き込んだ曲という関係があるのかないのかこのアルバム内にはマスクル・ショールズ・サウンド〜スワンプ系作家の曲がいくつか選ばれています。デルバート・マクリントン(1)、ハリソン・キャロウェイ(2)、ダン・ペン(10 - ジェイムス・カーの名唱でソウル・ファンにはお馴染み)等々です。"Wildfire Woman" はサイコロのジャケットでお馴染みのアルバムでバッド・カンパニーが "Wild Fire Woman" のタイトルで収録した彼らのオリジナル曲です、アレンジもほぼオリジナル通りでこの曲に関しては意外な意外な選曲です。"Dark End of the Street" は米南部の香りを残しつつもスローなブルース・ロック風に仕上げていて聴き物です。
 BELIEVE IT!  FIGHT LIVING ON THE ROAD 
BELIEVE IT!
1989
Blind Pig Records BP 73289 (USA)

1. Texas Flyer
2. He's Mine
3. Doctor Feelgood
4. I'm Satisfied
5. When You're Being Nice
6. Pack It Up
7. Everybody I Know
8. Playing in the Dirt
9. Soul's on Fire
10. Somebody's on Your Case
11. Good Rockin' Daddy
 
FIGHT
1992
Blind Pig Records BPCD 5002 (USA)

1. Walkin' Blues
2. Living on the Road
3. Fight
4. Walk a way
5. Heaven
6. Lost
7. Texas
8. Your Love Was Never Mine
9. I Got Love
10. Child of Two Worlds
11. No Good For Me

 
LIVING ON THE ROAD
1993
Inak INAK 9022 CD (Germany)

1. My Baby's Loving
2. Good Woman Gone Bad
3. Sky Is Crying
4. Jalapeno Mama
5. Forgotten Woman
6. Midnight Sunrise
7. Wildfire Woman
8. Boogie Woogie Nighthawk
9. Dark End of the Street
10. Going Back Home

 
  『ROCK & ROLL GYPSY』、前半はタイトル通りロック調マンバーが続きます。また、"Fire" はジミ・ヘンドリックスの有名曲カバー。録音がオランダのヘルフェルト、ドイツのベルリン、そして米国シカゴと三ヶ所で録音されて様です。Ruf Records 自体はドイツに拠点を置く会社です。
 "Slippin' Away" はルーサー・アリソンの曲でヴォーカルにも参加してデュエットしていますがブルースではなくメロウなソウル・バラード。"Driving Wheel" はルーズヴェルト・サイクスの曲でノリの良いブルース・ナンバー、"She's So Fine" はジョアンのオリジナルでカントリー・ブルース調で味わい深い曲。"You're Going with Me" は好きな作家ドク・ポーマスがDr.ジョンと共作した曲。ドク・ポーマスはシンガーとしてはブルース・シンガーでしたがソング・ライターとしてはソウル系〜ロック系まで幅広くの有名曲を出した人です。アルバム自体は種々ジャンルが入り交ざった印象ですがそれなりに楽しめました。

 『BIG GIRL BLUES』、録音はドイツでドイツではRuf Recordsから発売されています。ラスト曲以外はジョアンひとりのオリジナルでギターはスライドも交えて結構ギターリストとしての姿勢が推しで構成されている様です。デビュー時にはストラトキャスターを抱えている写真ですが、その後の種々掲載写真ではレスポールを抱えている写真の方が多い様です。ストラトキャスターに比べて厚みのある音が出し易いと思える方を選ぶようになったのが音楽性にも表れています。このアルバム、全体的に歪を加えたロック的なサウンドをベースにしたブルース・ロック的な曲が多くヴォーカルもそれなりに迫力ありますが、 "Sweet Baby" の様なカントリー・ブルースタッチの曲でのヴォーカルの声は意外に優しく聞こえます。
この曲は柔らかいスライド奏法で弾かれていますがレスポールではないでしょう。 "Meditations" もスライド・ギターで聴かせるスローなデルタ・ブルース調でチャーリー・パットンを想い起します。

 『SLIDETIME』、タイトルからして「スライド」なのでギターではスライド演奏がかなり目立ちます。トップ "Nothin' But the Blues" でも間奏部分でエルモア・ジェイムス風ギターが聴けますが、それよりも彼女のヴォーカルに魅かれました。ギター・ウーマンとして名を成していますが、シンガーとしても魅力的な人です。前作同様一曲が他人と共作その他はすべて一人の作品と親分・姉御肌を充分に感じる人です。スライド・ギターを弾くときはサブでアンソニー・パーマーという人がエレキ・ギターを弾いている様ですが、迫力あるソロ部分はジョアンの様です。
 ラストの "Pea Vine Blues" はチャーリー・パットンやビッグ・ジョー・ウィリアムスの同名曲とは違いオリジナルです。ミシシッピーのデルタ地帯に昔、走っていた鉄道の異名が [Pea Vine 豆の木の蔦] だったらしくブルース原点の雰囲気を味わえます。特出曲少ないアルバムですが、ブルース・ロック調ばかりでなく必ずこういった曲を入れ込む辺りは憎い構成ですね。
 ROCK AND ROLL GYPSY  BIG GIRL BLUES SLIDETIME 
ROCK & ROLL GYPSY
1995
Ruf Records RRCD 1003 (Canada)

1. Never Been Rocked Enough
2. Rock and Roll Gypsy
3. Howlin'
4. Slippin' Away
5. Rain on My Window
6. Think about Me
7. Driving Wheel
8. She's So Fine
9. Fire
10. You're Going with Me
11. Child from Two Worlds
 
BIG GIRL BLUES
1996
Blind Pig Records BPCD 5037 (USA)

1. Big Girl Blues
2. 43rd St.
3. Fly Away
4. They Love Each Other
5. Sweet Baby
6. You Should Be My Lover
7. Sister Spirit
8. You Oughta Know
9. Heart of the Blues
10. Juicy
11. Meditations
12. Smoke It Up
 
SLIDETIME
1998
Blind Pig Records BPCD 5047 (USA)

1. Nothin' But the Blues
2. My Papa
3. You Don't Love Me
4. Got to Have You
5. Slide on In
6. My Man
7. Free Free Woman
8. Money Blues
9. It's Not the Rock
10. At the Club
11. Pea Vine Blues

 
  『NOTHING BUT THE BLUES』、再びドイツでのライブ録音盤、録音日の記載はないですが1999年バンベルク市での録音です。"Rock Me Baby" は勿論B. B. キングで有名な・・・と思いきや違う曲でしたがまぁまぁ良い感じです。デビューアルバムでも歌われていた "Dr. Feelgood" をここでも歌っていますが、このソウル曲はかなり好きなのでしょう。ギターリストというよりシンガーとしてのフィーチャーです。アルバムデザインもギターを持った画像でなくマイクの前の歌っている姿のアップです。バックにアウト・フォーカスのギター・フレットと指が映っていますがバンド・メンバーの可能性もナシではないでしょう。
 ブルースのスタンダードではウィリー・ディクソンやロバート・ジョンソンの曲も奏っていますが、ロック的な演奏です。ただ"Dust My Broom" E. ジェイムスの曲をレパートリーに入れる辺りはブルース・ギターリストとして安心できる部分でした。

 『THE JOANNA CONNOR BAND』とコノアルバムはバンド名を冠したアルバムに成っています。一応基本メンバーはJoanna Connor & Anthony Palmer(gt), Stan Mixon(b), Bryant T(ds), Roosevelt Purifoy(key)となっていますが、長く続く固定メンバーではない感じです。ベースのスタン・ミクソンなどは今までもサポートメンバーには成っていました。一応シカゴでの録音の様ですが、アルバム全体ではブルース色はかなり薄い感じです。そしてブルース・ロックというジャンルでもなくごく普通のロック・アルバムといった感じです。 "Fever" はブルースというよりジャズ・スタンダード、 "Somebody Have Mercy" はサム・クックのR&Bヒット(ここでのヴォーカルはMike Wheelerがゲスト参加)。どちらも私的には好きな曲でブルースっぽく仕上げているのにはまぁ満足ですが、他曲はいまいちの感じでした。

 『MERCURY BLUES』、このアルバムは今までのジョアンナ・コナーのアルバムとは全く別物扱いに成ります。彼女の名前が出ていなければ先ず見逃していたものです。Thomas A. Blomster(トーマス・A・ブロムスター) というクラシック音楽畑の監修のもと、ヴァイオリンやチェロを含む室内楽団(the Mercury Ensemble)との共演に成っています。選曲自体はブルース系でなく種々タイプの曲が選ばれています。"Within You, Without You" はジョージ・ハリスンがビートルズ時代にインド音楽に惹かれていた時期に作った曲、"Can't Find My Way Home" はブラインド・フェイス唯一のアルバム内に収められたS. ウィンウッドの曲、"Never Loved a Man" はアレサ・フランクリン`67年の大ヒットで原曲名は"I Never Loved a Man the Way I Love You (貴方だけを愛して) Ronny Shannon作"、"Manic Depression" はジミ・ヘンドリックスのデビューアルバムに収められていた曲でジミのオリジナルと偶然なのか1967年発表作が私的には凄く気になります。讃美歌として有名なトラディショナルの "Amazing Grace"は驚きの選曲でした。この曲は美声の持ち主の方が絶対に聴き応えがあると思います。この数年後にヘイリー・ウェステンラのヴァージョンが日本でもヒットしましたがこのヘイリー・ヴァージョンのイメージが強いです。7曲ジョアンのオリジナルがあります。最もブルーズっぽい曲が一曲あり、それが "Meditations" で素晴らしいスライド・ギターが聴けます。シンガーとして聴き応えあるのは " Sweet Have Mercy" で南部のディープ・ソウル風で曲自体も魅力的です。

 NOTHING BUT THE BLUES  THE JOANNA CONNOR BAND MERCURY BLUES  
NOTHING BUT THE BLUES (live in Germany)
2000
Inak INAK 9060 CD (Germany)

1. Rock Me Baby
2. Make Love to You
3. Howlin New
4. Big Girl Blues
5. Dr. Feelgood
6. Little Bit
7. Dust My Broom
8. You're So Fine New
9. Meditations
10. Got to Have You
11. They Love Each Other
12. Walking Blues

THE JOANNA CONNOR BAND
2002
M.C. Records MC-0046 (USA)

1. Fine & Sublime
2. Long, Long Road
3. No Black or White
4. Luna Love
5. Different Kind of War
6. Slipping into Darkness
7. Six Child
8. Guitar Dove
9. Fever
10. Minor Love 5
11. Somebody Have Mercy
12. White Lines
13. A frissippi
14. Morning Praise

MERCURY BLUES with the Mercury Ensemble
2003
Pansy Productions PP003 (USA)

1. Sixth Child
2. Within You, Without You
3. Can't Find My Way Home
4. Never Loved a Man
5. Sweet Have Mercy
6. Amazing Grace
7. Sweet Baby
8. Manic Depression
9. A Minor Love
10. You Should Be My Lover
11. Giant Step
12. Meditations
13. Guitar Dove
  2003年のマーキュリー・アンサンブルとの異色コラボ作品の後、長く表立った新作アルバム製作活動を休止していたジョアンですが2016年に久々のオリジナル・アルバムを出しました。この頃から外観は貫禄たっぷりのおば様風貌に成っていました。10曲中8曲がオリジナルです。『SIX STRING STORIES』
 カバーの2曲はジル・スコットの2004年小ヒット曲 "Golden ( Anthony Bell, Harold Robinson, Darrell Robinson, Jill Scott共作)"とエルモア・ジェイムスの超有名曲 "The Sky Is Crying"、E. ジェイムスの曲が入るとやはりブルースを感じますし、このアルバム全体もブルース色の強いアルバムに成っています。そしてトップ、2曲目とキレのあるギターが飛び回り、決してテクニックだけではないことを感じる出来です。

 『RISE』、ほぼほぼブルース色が無いアルバムです。 トップの "Flip" はファンク・ナンバー、"If You Want Me to Stay" はSly & the Family Stoneの曲、"Mutha" もファンク色が強いです。ゲストでギター、ヴォーカル共に Mike Zito がメインの "Bad Hand" はかなりジャズっぽい仕上がりです。 インスト・ナンバーの "Joanna in A " もジョアンのギターはかなりジャズを意識したプレイです。 "Since I Fell for You" これまたBuddy Johnson作のジャズソング・スタンダードです。 曲として気に入ったのはジョアンのオリジナル "Cherish and Worship You" と "Blues Tonight" で`70年代にエルキー・ブルックスやロバート・パーマーが結成していた Vinegar Joe を想い起させるジャズとブルースの融合ロックでありながらスピード感をも併せ持ったロック・ナンバーです。 Vinegar Joe や Colosseum などのジャズ系ロックバンドはよく聴きました。

 『4801 SOUTH INDIANA AVENUE』、これは多くのブルースマン作のカヴァー集といったっ感じのアルバムです。 トップの "Destination"(The Nighthawksの曲) のみヴォーカルがジミー・ホールで他はジョアンがヴォーカルとギターです。 "For the Love of a Man" はドン・ニックス作でアルバート・キングで知られたブルース・ナンバーで、ロゥエル・フルソンの "Trouble Trouble" この2曲辺りが最もブルース色が強い感じです(がそれでもロック要素を感じます)。他はブルース・ロック調のアレンジ。 "I Feel So Good " はマジック・サムの乾いたギターの方が好きなので、ここでは歪ませすぎに感じてしまいます。

SIX STRING STORIES RISE 4801 SOUTH INDIANA A VENUE
SIX STRING STORIES
2016
M.C. Records MC-0080 (USA)

1. It’s a Woman’s Way
2. By Your Side
3. We Stayed Together
4. Golden
5. Swamp Swim
6. Love Coming on Strong
7. Heaven
8. Halsted Street
9. The Sky Is Crying
10. Young Women Blues
RISE  2019
M.C. Records MC-0086 (USA)

1. Flip
2. Bad Hand
3. Joanna in A
4. Earthshaker
5. Rise
6. Since I Fell for You
7. My Irish Father
8. Mutha
9. If You Want Me to Stay
10. Cherish and Worship You
11. Blues Tonight
12. Dear America


4801 SOUTH INDIANA AVENUE
2021
KTBA (Keeping The Blues Alive) Records KTBA91672 (USA)

1. Destination
2. Come Back Home
   original title "Sadie"
3. Bad News
   original title "Bad News Is Coming"
4. I Feel So Good
5. For the Love of a Man
6. Trouble Trouble
7. Please Help
8. Cut You Loose
   original title "Cut You A-Loose"
9. Part Time Love
10. It's My Time

 
 『BEST OF ME』、録音地の明記はないですが、「シカゴのみなさんありがとう」と記されていますのでシカゴにあるクラブでのライヴ録音だと想像します。(Frank Pellegrino という人がEmceeとクレジットされロック風ナンバー "House Rules" の前にアナウンスが収録されています。)
 基本的メンバーはジョアン以外 Dan Souvigny (rhythm gt)、Shaun Gotti Calloway (bs)、Curtis Moore Jr. (organ)、Jason J Roc Edwards (ds,backing vo) で他に曲により別途 Mike Zito など参加するミュージシャンが記されています。曲はベーシストのShaun Gotti Calloway との共作が6曲と単独で2曲と彼の存在が大きいです。"Pain and Pleasure" は二人の共作曲で`80年代前半のアーバン・ソウル風な曲でギターソロ部分が耳に残り意外ながらかなり好きです。 "I Lost You" はジョアンのオリジナルでスロー・ロッカ・バラード、今までにない作風ですが好き嫌いが出そうな曲で私的には NO の部類でした。 "Mercury Blues" は`90年代にアラン・ジャクソンの歌で大ヒットしたカントリー・ソングながらオリジナルはミシシッピー・ブルースの古参K.C. ダグラスが`40年代の発表していたブルース・ナンバー。アランのヒットで再認識された曲ですが、ジョアンは本来のブルース調で演奏していますが、ブルース系はこの曲のみの作品です。ラストも普通クラスののロック・ナンバーで終わります。

BEST OF ME
BEST OF ME
2023
Gulf Coast Records GCRX-9044 (USA)

1. House Rules
2. Pain and Pleasure
3. Best of Me
4. Highway Child
5. I Lost You
6. Two of a Kind
7. All I Want Is You
8. Mercury Blues
9. Shadow Lover
10. Greatest of These
11. Shine on


《Back to Menu》



 name Ana Popović

 アナ・ポポヴィッチ、1976年5月13日当時のユーゴスラビア (2003年に解体)、現セルビア共和国のベオグラード生まれ。お父さんの影響でギターやブルースに興味を持ち、10代後半には地元でバンド活動を開始、1998年ユーゴスラビアのレーベルPGP RTS と契約して Hush という4人編成のバンド名で業界デビュー。その後新たに自身名義のバンドをオランダで結成して近隣諸国でのライヴを行い西欧圏で徐々に知られるように成って行きました。2000年にはその Ana Popović Band 名義で ジミヘンドリックスのトリビュート・アルバムに一曲しゅうろくされていました。 そして2001年にソロ・デビュー作をドイツの会社から発表しました。
 2003年には W. C. Handy Award (現Blues Music Award)の新人部門でベスト・プレイヤーに選出されています。`70年代半ばの生まれとあって上に記していた3人とは一時代から二時代も若い世代。オールド・ブルースの要素は少なく、上記三人が2000年代に入ってから奏りだした完全モダン・エレクトリック・ブルース・ロックといったスタイルにジャズ・フュージョン系の要素をも加えています。おまけに身体のスタイルも完璧で脚が長いこと長いこと、ファッション・モデル並みです。

 『HUSH!』、アナが Hush というバンド名で母国時代に発表したアルバム『HOMETOWN』はアルバムデザインは見たことありますが、消滅した国の発売作品なので入手出来てません。もしかしたら将来音源復活の可能性が有るかもしれませんが。
 このアルバムはタイトルが母国時代に組んでいたバンド名を使用しての西欧でのソロ・デビュー作に成ります。録音が2000年10月に米メンフィスの Sounds Unreel Studio で行われた様ですが、アメリカでの発売は無くドイツの Ruf Records から発売されました。(アメリカ・デビューは4作目からに成りました。)
 "Love Fever" がソロの最初の曲になるのですが、ブルースではなくソウル・ミュージック系です。曲自体は好きです。"Mended" はアナのオリジナルでロック調ながらブルースの雰囲気は感じます。"Hometown" はバンドHush時代のメンバー Rade Popović とアナの共作でアルバム『HOMETOWN』内に "My Hometown" という曲が同じ二人の共作として記された記事が有ったので異名同曲なのかも知れません。エレクトリック・ブルース調で良い曲だと思います。"I Won't Let You Down" はオリジナル曲ながらバック演奏共々ほぼジャズ・ナンバーでしょう、ハスキーな声の出し方が`60年代の女性ジャズ・シンガーが歌っている感じが出ていて良い感じです。"The Hustle Is on" と "Walk Away" はジャンプ・ブルース調、"Girl of Many Words"は"A Man of Many Words" が原名のバディ・ガイの曲でバディとジュニア・ウエルズが1972年位発表した『PLAY THE BLUES』のトップに収められていた曲で懐かしい曲です、ほぼオリジナル通りの演奏です。"Bring Your Fine Self Home"、ジョニー・コープランドの曲ですが、アルバート・コリンズ、ロバート・クレイとの三人名義で出された楽しいアルバム『SHOWDOWN!』に収録されている曲でこれもオリジナルに近い演奏です、"How the Mighty Have Fallen" はスーザン・マーシャルとウィリアム・リー・エリスの共作曲でフォーク・ブルースとジャズを融合させて様な良い意味での古さを持った良い曲です。アナの声質・ヴォーカルも良い感じです。初ソロとして充分次を期待できる作品だと思いました。

 『COMFORT TO THE SOUL』、ほぼ2年半ほど経ってのセカンドです。トップ・ナンバーはアナとトッド・シャープヴィルとの共作で、二曲目はスーザン・マーシャルとマイク・キャロルの共作、共に似たようなタイプの曲で主流派ブルース・ロック。"Comfort to the Soul" はアナの曲でファンク色の強いソウル・ミュージックです。"Sittin' on Top of the World" はハウリン・ウルフのウォーキン・ブルース、`60年代後期のイギリスのロッカー達が演奏している様な感じです。こうしたブルース・ロックを支援したのは英国のレコード会社だったのに`90年代以降はドイツが主に成っています。これはHR/HM系ロックも英国ミュージシャンが先導していたのにやがてジャーマン・ロッカー達の方が目立つようになったのと少し似ている気がします。"Night by Night" ,これはスティーリー・ダンの曲でフュージョンっぽいロック・ナンバー、懐かしい感じです。"Navajo Moon " はアナのオリジナルで唯一のインスト曲、ギターサウンドは完全にジャズ系の作りでギターソロも完全にジャズ・フレーズで押し切っています。良い気分にさせて貰えます。"Recall the Days " もアナの曲、`80年代風のロック・ヴォーカルにバックのギターはブルースを感じます。ラストの "Jaco" も同じタイプの曲で新しさはないのにどちらも魅力的な曲です。

 『ANA! LIVE IN AMSTERDAM』、ソロ三作目にてライブ盤です。場所・日付はオランダ、アムステルダムにある Melkweg というホール、2005年1月30日。 オランダは母国ユーゴスラビア (現セルビア) を離れて Ana Popović Band を組み、最初に活動し始めた国でした。  
 オランダと言えば鎖国時代の日本で唯一交流が有ったほど知られた国なのに近年のオランダでの音楽事情は殆ど日本には入ってきていませんが、ドイツと同じくらいに英米の音楽が流行っているそうです。
選曲はセカンド・アルバムからの曲がかなり選ばれています。同曲同士を聞き比べるとどうしてもスタジオ録音の方が聴き応えはあります。このアルバムでの聴き物は "Long Way Home"以後の後半曲にあり・・・と感じます。CDプレイヤー等での指示トラック・ナンバーでは11(5分7秒)、12(9分29秒)の2曲扱いですが、"My Man"は5分40秒ほどで終わり、その後無音状態が20秒強ほど続いた後に "Long Long Love" が始まります。

 HUSH!  COMFORT TO THE SOUL  ANA! LIVE IN AMSTERDAM
HUSH!
2001
Ruf Records ruf 1063 (Germany)

1. Love Fever
2. Mended
3. Hometown
4. I Won't Let You Down
5. The Hustle Is on
6. Downtown
7. How Lonely Can a Woman Get
8. Walk Away
9. Girl of Many Words
10. Minute 'Till Dawn
11. Bring Your Fine Self Home
12. How the Mighty Have Fallen

 ※ 11: duet with Bernard Allison

 
COMFORT TO THE SOUL
2003
Ruf Records RUF 1081 (Germany)

1. Don't Bear Down on Me (I'm Here to Steal the Show)
2. Love Me Again
3. Comfort to the Soul
4. Change My Mind
5. Sittin' on Top of the World
6. Night by Night
7. Navajo Moon
8. Need All the Help I Can Get
9. Recall the Days
10. Fool Proof
11. Jaco

 
ANA! LIVE IN AMSTERDAM
2005
Ruf Records RUF 1108 (Germany)
 
1. Intro
2. Don't Bear Down on Me
3. Sittin' on Top of the World
4. Love Me Again
5. Comfort to the Soul
6. Navajo Moon
7. Night by Night
8. Bigtown Playboy
9. Won't Let You Down
10. Jaco
11. Long Way Home
12. My Man
    hidden track
   (13. Long Long Love)
  『STILL MAKING HISTORY』、ドイツの会社からアメリカのブルース・ミュージック発売専門会社だったDelta Groove Productions がブルース・プラス・アルファの音楽レーベルとして新たに立ち上げた傘下レーベル、Eclecto Groove Records へと移籍、このレーベルからの第一弾として米国デビューを果たしました。 バッキングで私的に馴染みのある名前はキーボード・プレイヤーでシンガーのマイク・フィニガンですが、他のミュージシャンたちも種々ジャンルでそれぞれ有名な人たちがサポートしていて、会社のアメリカ・デビュー・サポートの意気込みが感じ取れます。
"U Complete Me" でアルバムは始まります。この時代のアメリカ音楽界を反映してかファンキーなソウル・ミュージック系ですが、ラストに同曲のブルース・アレンジがボーナスとして収められています。思うにこのボーナスはアナの希望だったのでは?と勝手に想像しています。"Hold On" もファンキータイプのソウル・ミュージック。3曲目4曲目はヴォーカルを聴かせるタイプのスロー・ロック。
オリジナルでなく他人の曲は5、7、10 の三曲。そのうちビッグ・ママ・ソートンの "You Don't Move Me"とスヌーキー・プライアー "How'd You Learn to Shake It Like That? " は元々がブルース・シンガーの曲なのでブルースなのですが "Hungry" はポップ・ソング風です。"Doubt Everyone But Me"、"Still Making History" はモロにオールド・ジャズ風、ハスキー系のアナのヴォーカルは良い感じです。11曲目はブルース・ロック、13曲目はファンク・ロック系と確かに種々のジャンルを織り交ぜたアメリカ・デビューと成っています。

 『BLIND FOR LOVE』、今回も種々ジャンルが入りまざったタイプのアルバムで、1曲目〜3曲目迄はファンク系のソウル、ロック、4曲目、5曲目はヴォーカル主体曲で、彼女の若干かすれ気味の声はスローで歌い上げる曲にピッタリでシンガーとしての魅力も充分です。アメリカでの製作はここで2作目に成りますが、ヨーロッパ時代はギターリストとしての面がかなり協調されてたことを思うと、ヴォーカルと [バンド・サウンド] として構成された音作りでギター・ソロ部分がほとんどなくなり、その部分での淋しさが出てはきます。
 アメリカで人気を得るための戦略なのかも知れませんが、ギターリストとしての実力を活かして欲しかったし、ブルースを長く会い愛し続けているヨーロッパを基点にしたレコード会社のままでアメリカ・デビューして欲しかったとふと思いました。完全なブルース・ナンバーはアナのオリジナルラストの "Blues For M " のみですが、またまたアルバムラスト曲です。購入盤は米盤国内盤仕様です。

 『AN EVENING AT TRASIMENO LAKE, LIVE FROM THE HEART OF ITALY』、ライヴ録音、2009年(月日不詳)に行われたイタリアの「トラジメーノ・レイク」というホールで行われた音源。名義はソロでなく Ana Popović Band となっています(アナ以下7人の名前がクレジットされています)。ソロ・アルバムのトップ・ナンバーとバディ・ガイやSRVでお馴染みの "Let Me Love You Babe" 以外はアメリカデビュー後の前二作内の曲です、この後者ブルース・ナンバーでは延々とブルース・ギターが続きます(8分強の曲です)。
。ArtisteXclusive Records はオランダに拠点を置くレコード会社の様です。米デビュー作収録のジャズ系 "Doubt Everyone But Me" をライヴで演奏していますが良い感じでこの曲は好きです。イタリアでのライヴということなのが原因なのか前二作ほどファンキー色は前面に出ていない感じです。スタジオ盤ではファンクっぽかった曲も、割とロック的なアレンジで演奏されています。プロデュースはArtisteXclusive側が主でアナと共同で行われた様です。

 STILL MAKING HISTORY  BLIND FOR LOVE  AN EVENING AT TRASIMENO LAKE, LIVE FROM THE HEART OF ITALY
STILL MAKING HISTORY
2007
Eclecto Groove Records EGRCD 501 (USA)

1. U Complete Me
2. Hold on
3. Between Our Worlds
4. Is This Everything There Is
5. Hungry
6. Doubt Everyone But Me
7. You Don't Move Me
8. Still Making History
9. My Favorite Night
10. How'd You Learn to Shake It Like That?
11. Shadow After Dark
12. Calendars
13. Sexiest Man Alive
  Bonus Track
14. U Complete Me (Blues Version)

BLIND FOR LOVE
2009
Eclecto Groove Records EGRCD 507 (USA)
Basf BSMF-2129 (domestic editions)

1. Nothing Personal
2. Wrong Woman
3. Steal Me Away
4. Blind for Love
5. More Real
6. Putting Out the APB
7. Get Back Home to You
8. The Only Reason
9. Part of Me (Lullaby For Luuk)
10. Lives That Don't Exist
11. Need Your Love
12. Blues For M
AN EVENING AT TRASIMENO LAKE, LIVE FROM THE HEART OF ITALY
Ana Popović Band
2010
ArtisteXclusive Records AEREC002 (EU)

1. Wrong Woman
2. Is This Everything There Is?
3. How'd You Learn to Shake It Like That
4. Shadows After Dark
5. Lives That Don't Exist
6. Let Me Love You Babe
7. Doubt Everyone But Me
8. Blind for Love
9. Get Back Home to You
10. Love Fever
11. Hold on
 
 『UNCONDITIONAL』、先ずはカバーデザインの写真に驚きます。この様な目を引く写真を使わなくとも実力で売れる筈なのに。  Eclecto Groove Records からのアルバムはこれがラストです。わたしが思うに米国デビューをさせてあげた Eclecto Groove からすればアナ側から契約を終えようとするのなら確実な売れ戦略を狙っての写真使いかも?と勘繰りが生じてしまいます。
 アメリカ人向けの流行ジャンルよりも自身のベースを重視しての移籍だと思われます。録音はニュー・オーリンズの二ヶ所のスタジオ。ジャズ発祥の地として知られる場所での録音はジャズ好きのアナが選んだのか。そして"Work Song " は超有名なハード・バップ・ナンバーが入っているではありませんか? ジャズ喫茶通いをしていた頃よく耳にしたものです。タイトル曲"UNCONDITIONAL"はアナのオリジナルで完全なブルース。味のある曲です。 "Reset Rewind" もアナのオリジナルでこちらはどう聴いてもカントリー・ソングです。意外ですが私的にはカントリーも勿論好きなジャンルですので歓迎です。"Slideshow" はインスト・ナンバーでサニー・ランドレスのスライド・ギターがフィーチャーされています。"Business as Usual"、"Your Love Ain't Real "  はブリティッシュ・ブルース時代を思わせるブルース・ロック(共にオリジナル)、ギターソロも聴けます。"Voodoo Woman" は女性ブルース・シンガー・レジェンドのココ・テイラー・ソング、""One Room Country Shack"" もブルース・マン、マーシー・ディーの曲とヨーロッパ時代に戻った様な構成は嬉しいです。アメリカン・ミュージックも大好きなわたしですがアナにはブリティッシュ・ブルースの系統で活躍してほしいです。

 『CAN YOU STAND THE HEAT』、完全に Eclecto Groove との契約を終えて自身の事務所を発足、オランダのレーベル ArtisteXclusive Records を通じて西欧圏・米国でリリース形式となった様です。録音は、ナッシュヴィルとメンフィスとテネシー州二ヶ所で2012年〜13年にかけて行われ、タイトルソングが先だってシングル発売されています。ただ、今回のカバー写真も「売る」ための手段としては「女性」を強調しすぎて個人的には頂けない感覚がしますが。シングルで先行発売されたトップの "Can You Stand the Heat"はロック、ソウル、ジャズなどの要素が絡み合ったアナのオリジナル。私的には次曲の "Can't You See What You're Doing to Me" の方が好きなのですが・・・ ここではブルース・フィーリングを感じるギター・ソロが嬉しいスピーディーなブルース・ロックです。"Mo' Better Love"、"Object of Obsession" などはAOR風な作風でちょっと意外でした。 "Hot Southern Night" はタイトルからも黒っぽいイメージを抱きますが、ラッキー・ピーターソンがギターやヴォーカルで共演するロック調のブルースで良い感じです。"Every Kind of People" と "Rain Fall Down" も選曲としては意外な方です。前者はロバート・パーマー`70年代後半時のヒット曲。後者はローリング・ストーンズ、2005年発表曲。曲としては"Every Kind of People" の方が断然良いです。
 "Blues for Mrs. Pauline / Leave My Boy Alone" はヴォーカルも渋いどっぷりブルースで聴き物。 "Ana's Shuffle"と"Trib" はインスト曲で後者の方がライヴで盛り上がりそうです。

 『BLUE ROOM』、アナはお父さんの影響でギターを始めたという事、そして今や世界中のギター好きの人たちに名前を知ってもらえるギターリストにまでなった39歳時、父親のミルトン・ポポヴィッチとの共演盤を出しました。録音はテネシー州のメンフィスと同州の小さな町スタントンヴィルと記されています。 そして気付いたのが、上記で挙げていた女性ギターリスト、D・デイヴィーズ、D・コールマン、J・コナーズのアルバム・カバーはギターと一緒に写っているのが大多数でしたがアナの場合、ギターリストとして特に強調するデザインはほぼ無かった感じでしたがこの時代の三作にはギターと一緒のデザインです、初期はテレキャスターも弾いていたようですが、全米デビュー後はD・デイヴィーズ同様ストラトキャスター弾きとして有名に成っています。
 選曲は全曲他人の曲でジョン・レノン、ヴァン・モリソン、トニー・ジョー・ホワイトなどの曲もありますが、ジミー・リードやJ・リー・フッカーなどの曲もあり全編を通してオールド・ブルースを意識した構成に成っています。父娘共にアコースティック・ギターも曲により弾いています。中には子供時代のアナがお父さんに手をひかれた写真や膝の上で抱かれている写真などがあり、アナの父親への愛が溢れたアルバムです。大好きなアルバムです。スワンプ・ロッカーとして有名なトニー・ジョー・ホワイトの曲で多くのカバーがある名曲 "Rainy Night in Georgia" をふたりがデュエットで弾き語りをするところなど何故か泣けてきます。素敵な父娘ですね。

 UNCONDITIONAL  CAN YOU STAND THE HEAT  BLUE ROOM
UNCONDITIONAL
2011
Eclecto Groove Records EGRCD 513 (USA)

1. Fearless Blues
2. Count Me In
3. Unconditional
4. Reset Rewind
5. Slideshow
6. Business as Usual
7. Your Love Ain't Real
8. Work Song
9. Summer Rain
10. Voodoo Woman
11. One Room Country Shack
12. Soulful Dress
CAN YOU STAND THE HEAT
2013
ArtisteXclusive Records AErec003 (USA)

1. Can You Stand the Heat
2. Can't You See What You're Doing to Me
3. Mo' Better Love
4. Object of Obsession
5. Boys' Night Out
6. Hot Southern Night
   (with Lucky Peterson)
7. Every Kind of People
8. Ana's Shuffle
9. Blues for Mrs. Pauline / Leave My Boy Alone
10. Leave Well Enough Alone (aka High Maintenance You)
11. Tribe
12. Rain Fall Down
  (Bonus track)
13. Growing Up Too Soon
14. Mo' Better Love (with Tommy Sims)


BLUE ROOM
 Ana & Milton Popović
2015
ArtisteXclusive Records AErec004 (USA)

1. Catfish Blues
2. I'm Loosing You
3. Evening Shadows
4. Grand Spivey
5. Somebody
6. Did Somebody Make a Fool of You
7. We Used to Know
8. Rainy Night in Georgia
9. Red River Blues
10. Baby What's Wrong
11. Tupelo
 
  『TRILOGY』、アメリカデビユー後は一気にブルースをベースにした女性ギターリストとして人気、セールス面でトップに躍り出たアナですが、その事実を証明するかのような三枚組大作というアルバムを発表しました。購入盤は米盤原盤で [輸入盤国内盤仕様] という形式で近年CD売り上げが落ちて来た日本で、マイナージャンルは日本プレスをしないで国内販売をするこの形式が増えてきています。(米盤には規格番号未記載です)
 三枚それぞれにテーマが付いていて [DIsc1] 朝に聴く、[DIsc2] 午後に聴く、[DIsc3] 夜に聴く音楽と時間別に曲調を揃えての構成に成っています。ギターリストとしてだけでなくシンガーとしてもそれぞれのジャンルに合った唱法を出せる実力を感じます。
 [Mornibg]、ゆっくりの目覚めでなくファンキー・タイプで始まります。ギターリストとしての部分がかなり奥まってはいますがサウンド全体としてはバラード・タイプもありこの時代を反映しているのでしょう。 "Long Road Down" のリズム・パターンが象徴的です。その中では "She Was a Doorman" は曲そのものと途中のギターソロも良い感じです。
 [Mid-Day]、トップはルーファス&チャカ・カーンのファンク系ヒット曲 "You Got the Love" で始まりました。 "Let's Do It Again" も他人のヒット曲でステイプル・シンガーズが歌った同名映画のテーマ曲、2曲とも`70年代半ばの大ヒット曲です。アナが生まれる直前のヒットですのでお父さんの影響でしょうか?"Johnnie Ray" は全体としてブルース調ではないですが、途中のギター・ソロではブルース・ギターを聴かせています。
"Who's Yo' Mama? " はブルース・ロックでアナにしては珍しく歪を効かせたエフェクター使用です。 "Wasted" こちらもブルース・ロックですがギターの音色は綺麗で本来のブルース・ギターを聴けます。 "Crying for Me" もブルース・ロック調ではありますがファンキーっぽくもあり、なかなかの曲です。
 [Midnight]、この盤はジャズ系タイプの曲で占められています。確かにジャズには夜のイメージが漂っています。わたしも学校から帰ってからの夕飯後の夜に地下街のジャズ喫茶へ通った日々の経験を想い出します、黒人音楽と呼ばれるジャンルの中で一番最初に浸かって行ったのがジャズでした。
  "New Coat of Paint" はトム・ウェイツの曲、トムはフォークとブルースを混ぜた様な曲を書くSSWですが、ジャズテイストを感じる曲作りも多く決して派手な曲調でなく寂しい夜にピッタリの曲が多い人です。 "Waiting on You "と "Waiting on You (Double-Time Swing) " はアナのオリジナルながらまるで`60年代初期にジャズマンが作った様な曲調で驚きです。"In a Sentimental Mood" は夜のムードたっぷりのジャズ・スタンダードデューク・エリントン作でエラ・・フィッツジェラルドやサラ・ヴォーンの歌で知られてている曲。 "Old Country" 、 "You Don't Know What Love Is"もジャズ・スタンダード。全編良い雰囲気で聴き終えました。

 『LIKE IT ON TOP』、先ず気に成ったのが『UNCONDITIONAL』から『BLUE ROOM』迄の三作はきっちりとギターと共に移った写真がトップにデザインされていたのに前作、本作とファッション雑誌風になって終った事。前作ではまだインナー写真にはギターを持った写真が使われていましたが本作ではギター画像は皆無です、中の写真はギターケースを持っていたりケースの上に座ったものがありますが長い脚とハイヒールがやけに目立つ写真でした。ジャケット・デザイン上ではもう、 [ギター・ウーマン] というテーマから離れて行った感じもします。
 全体的にファンク・ロック系の曲調が多いです。 気になる人のクレジットがふたり見つかりました、ゲストのロビン・フォードはトム・スコット関連でジョージ・ハリスンのアルバムにも参加していたミューシャン。 "Slow Dance" の共作者のひとりグラハム・グールドマンはヤードバーズの "For Your Love" やホリーズのオールディーズ大ヒット "Bus Stop" などの作者で本人自身のアルバムも数枚出している人(持っています)、 "Slow Dance" もスロー・ナンバーながら青春時代を思わせるても良い曲です、短いながらギター・ソロも何故か懐かしい音です。
"Funkin' Attitude"、"Last Thing I Do" はファンク系でアナとケブ・モーとの共作でどちらも良い感じです。"Virtual Ground"、"Brand New Man" はソウル・ナンバーでこれもふたりのオリジナル。そしてラストの "Honey I'm Home" はケブ・モーとリサ・アシュマンの曲でソウル・ナンバー。"Virtual Ground"、"Honey I'm Home" はバラードタイプで聴き応えありどちらも大好きな曲です。"Matter of Time" が唯一のブルースでオールド・スタイル・タイプです、ただ、ブルースが一曲だけというのはファッション共々一抹の淋しさを感じます。

 『LIVE FOR LIVE』、今回もファッション雑誌風なデザインですが、一応ストラトキャスターを抱えてギターリストを強調していると思えるものでした。ライヴ録音盤で2019年11月2日にフランスの Centre Culturel Albert-Camus という劇場で行われた演奏です。ライヴ盤は三作目ですが、オランダ、イタリア、フランスと英米でないところがアナの故郷を想い少し安心感があります。DVD映像版も出ていますが、特にセット販売でもない限り単品のDVDはあまり買いたいとは思いません。6人編成バンドでサックスやトランペッターが入るという布陣なのでオール・ジャンル・タイプが演奏されることが判ります。トム・ウェイツの "New Coat of Paint" はここでは、スタジオ盤程ジャズっぽさを出さずにロック寄りのヴォーカルにギターはブルースっぽさを含み新たな魅力ある出来に編曲されています、良い感じです。 反面"Johnnie Ray" はスタジオ盤よりブルース色が強くギター・ソロもたっぷり入る9分を越える演奏です。ラスト "How'd You Learn to Shake It Like That" はシカゴ・ブルースの大御所スヌーキー・プライヤー作のウォーキング・ブルース、ここではジャンプ・ブルース風で熱く演奏されています。

 TRILOGY  LIKE IT ON TOP  LIVE FOR LIVE
TRILOGY
2016
ArtisteXclusive Records No No. (USA)
Basf BSMF-2506 (domestic editions)

 《Disc one : Morning》
1. Love You Tonight
2. She Was a Doorman
3. Show You How Strong You Are
4. Fencewalk
5. Train (featuring Joe Bonamassa)
6. If Tomorrow Was Today
7. Long Road Down
8. Hook Me Up
  (featuring Robert Randolph)
9. Too Late

 《Disc Two : Mid-Day》
1. You Got the Love
2. Johnnie Ray
3. Woman to Love
4. Let's Do It Again  
  (featuring Al Kapone & Cody Dickinson)
5. Who's Yo' Mama?
6. Wasted
7. Crying for Me

 《Disc Three : Midnight》
1. New Coat of Paint
2. Waiting on You
3. In a Sentimental Mood
4. Old Country
5. Waiting on You (Double-Time Swing)
6. Heaven's Crying aka Song for the Next Generation
7. You Don't Know What Love Is

LIKE IT ON TOP
2018
ArtisteXclusive Records 7 21782 95547 9 (Netherlands)

1. Lasting Kind of Love
  (featuring Keb' Mo')
2. Like It on Top
  (featuring Robben Ford & Keb' Mo')
3. Sexy Tonight
  (featuring Robben Ford)
4. Slow Dance
5. Funkin' Attitude
6. Last Thing I Do
7. Virtual Ground
8. Brand New Man
9. Matter of Time
10. Honey I'm Home
 
LIVE FOR LIVE
2020
ArtisteXclusive Records 7 45051 47121 7 (USA)
BSMF Records BSMF-2697 (domestic editions)

1. Can You Stand the Heat
2. Object of Obsession
3. Love You Tonight
4. Train
5. Long Road Down
6. New Coat of Paint
7. Johnnie Ray
8. Can't You See What You're Doing to Me
9. Fencewalk
10. If Tomorrow Was Today
11. Brand New Man
12. Like It on Top
13. Lasting Kind of Love
14. Mo' Better Love
15. How'd You Learn to Shake It Like That
 
 『POWER』、2020年発売のライヴ盤発売後にアナは乳がんを患っていると診断されて治療を続けていた模様。ただその合間を縫ってライヴやレコーディングは続けていたという事です。スタジオ録音盤としては5年ぶりとなる本作ですが、カバー写真以外の写真はコロッと風貌が変わりました。自毛なのかどうかは判りませんが黒髪のショートカットヘアー。ホットパンツにハイヒールのロングブーツ、トップスは胸の谷間半出しスタイル、アナもすでに40代後半です、同年代の日本女性ならとても恥ずかしくて無理そうな写真がいくつも掲載されています。録音は`21年〜`22年にかけてミシガン州のファーンデールとカリフォルニア州 レドンド・ビーチ の二ヶ所スタジオの模様。
 トップから五曲目迄はわたしにはハマりませんでした。"Strong Taste" のファンキータイプでやっとそこそこの安心感が有りましたが全体的には彼女の特徴の少ない平均的なミュージシャンのアルバムだったという感想で終わりました。

POWER
POWER 2023
ArtisteXclusive Records 0 643131 769646 (USA)

1. Rise Up!
2. Power over Me
3. Doin' This
4. Luv'n Touch
5. Queen of the Pack
6. Strong Taste
7. Recipe Is Romance
8. Deep Down
9. Ride It
10. Flicker N' Flame
11. Turn My Luck



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 name Erja Lyytinen

 イリア・ライチネン、1976年7月7日にフィンランドのクオビオという街で生まれたアナ・ポッポヴィッチとほぼ同年代の女性ギターリスト&シンガー。わたしが知ったのはドイツの Ruf Records から紹介されてからの四作目アルバムからです。それまではフィンランドのレーベル Bluelight Records からの発売で北欧・西欧圏だけでのリリースだったようです。北欧諸国(フィンランド、デンマーク、スェーデン、ノルウェー)の四か国の人口を合計しても日本の東京と神奈川の一都一県合計の人口とほゞ同じ程度ですので、音楽界で働く人の数はかなり少ないと思われます。
 フィンランドというと先ず好きなクラシック音楽家シベリウスが浮かびますが、ポピュラー系では少なく、オールディーズ物で有名な曲 "霧のカレリア" をヒットさせたスェーデンのバンドで、スプートニクスがいましたが、そのバンド・リーダーだったボー・ウィンバーグがひとり多重録音という形でフィンランドで録音してザ・フィーネーズ名義でキングから発表した曲が日本で"哀愁のカレリア"として発売、その後直ぐにスプートニクスの "霧のカレリア" をポリドールが発売、競作盤と成ったことが知られていますが、ザ・フィーネーズの名がフィンランドのポピュラー界で知った最初の名前でした。その後のポピュラー音楽状況はあまり日本には紹介されてきませんでした。でもユーゴスラヴィアのアナ・ポッポヴィッチ同様、西欧・北欧周辺の国々の若者は結構英米と同じ種類の音楽に親しんで育っているのですね。
 イリアもミュージシャンだった親の影響で若い頃から音楽に親しみギターを手にしてバンド結成とお決まりのコースに進んでいった様です。同じ北欧の国スェーデンやデンマークへ出向いて音楽を学んだ経験も有った様です。

 『ATTENTION!』、CDデビューはフィンランドのレーベル Bluelight Records からで2002年とこのページで選んだ五人の中では最も遅い人です。 プレイヤー名義は [Erja Lyytinen & Dave's Special] となっていますが、 [Dave's Special] はプロデューサーでもあるギターリストDavide Floreno (ダビデ・フローレノ) 率いるバンドの事だと勝手に推測しましたが、違うのかも知れません。トップ曲 "I Will Have My Tomorrows" はフォーク調でややハスキーな声が印象的です。"Teach Me to Swing"、"Don't Know If I Love You" はスィング・ジャズ・スタイルが2曲続きます。 "Jumpin' from Six to Six" はオールドスタイルのスィング・ジャズ感のあるジャンプ・ブルース。 "Not a Good Girl" はエルモア・ジェイムススタイルのギターで始まる本格ブルース、途中のギターソロも渋く良い感じです。タイトル曲 "Attention" は再度ジャズ風でギター・ソロはダビデ・フローレノのクレジットです、ジャズ色の強い構成はダビデの影響かも知れないと推測します。
"Backyard Blues" はタイトルにBluesと付いていますが、わたしにはカントリー・ミュージックとして聞こえます。意外ですがわたし自身も子供時代にカントリーから洋楽へとハマって行った経由が有るので歓迎です。ここまでは "Jumpin' from Six to Six" を除きイリアのオリジナル曲でした。8曲目 "Jone's Boogie" はダビデ・フローレノ作のインスト曲でジャズギターによるイリアとダビデのソロ競演曲。北欧での2001年の録音でこうしたジャズ・ギターを発表出来ていたことは意外でした、 "Don't You Feel My Leg" も他人の曲でJ・メイヨー・ウィリアムズ でジャズ風味のオールド・フォーク・ブルースといった感じでしょうか?ラスト三曲はイリアのオリジナルでほぼ古いスタイルのブルースをベースにしています、"You Talk Dirty" あたりが若干モダン要素アリでしょうか? `70年代半ば生まれの女性ギターリストのデビュー盤にエレクトリック・モダン・ブルースの影響が少ないという事が意外ですがその部分に少し嬉しさを感じました。

 『WILDFLOWER』、リゾネーター・ギター(ドブロ・ギター)にベルボトム・ジーンズといったカントリー風スタイルの写真がデザインでパット見は`70年代`80年代のアメリカのミュージシャンと勘違いしそうです。インナー・ノートによるとイリアのメイクアップ担当がフランチェスカ・フローレノと記されていますのでダビデの奥さん(若しくは姉妹さん)だと思えますし、衣装提供のブティック名まで記されて若手新人の売り出しに懸命なのが伺えます。そして主たるギターもプロデューサー兼のダビデ氏でしょう。イリアはピアノなども担当でギターはおそらくリゾネーター・ギター,オンリーでその製品もフィンランドのギター・メーカー [Tyyster] の [Blueskone] という製品だと記されています。
 内容は前作同様、サウンドは "I Just Came Up with a New Song"、"Get Me Some Money"、"In the Bushes"  等まるで`50年代〜`60年代のジャズ・シンガーの曲のように聞こえる部分も含みながら、アメリカの古い田舎町に思いを馳せている様な曲が多いです。 "Memories from the Past"のみがイリアとダビデ共作曲で他はすべてイリアひとりのオリジナル曲。

 『IT'S A BLESSING』、ダビデ・フローレノとのふたり名義のアルバムに成っています。アンプエフェクターを使用せずリゾネーター・ギターの共鳴音をうまく生かしたりアコースティック・ギター使用でオールド・ブルース調の構成です。唯一 "Habanero" だけはインスト曲でダビデ・フローレノがスティール・ギターを弾いていますので若干ハワイアン風にも聞こえます。イリアのヴォーカルはベッシー・スミスやココ・テイラーを思わせる歌い方で彼女たちから受けた影響の大きさが判ります。"It's a Blessing" は近年に成ってボトル・ネック奏者の一人として名が知られてきたフォーク・ブルースマン、フレッド・マクダウェル(Fred McDowell)の曲で珍しい選曲です。
 こうした完全オールド・スタイルのアルバムは21世紀のアメリカでは先ず製作されないでしょう、北欧ならではの事だと思えます。渋くて味のあるアルバムですが、演奏に聴き入るとか何度も聴きたくなるような曲が無かったのは確かです。

 ATTENTION!  WILDFLOWER  IT'S A BLESSING (WITH DAVIDE
ATTENTION!
Erja Lyytinen & Dave's Special   2002
Bluelight Records  BLR 3383 2 (Austria)

1. I Will Have My Tomorrows
2. Teach Me to Swing
3. Don't Know If I Love You
4. Jumpin' from Six to Six
5. Not a Good Girl
6. Attention!
7. Backyard Blues
8. Jone's Boogie
9. Don't You Feel My Leg
10. Greed
11. You Talk Dirty
12. Twenty-One


 
WILDFLOWER  2003
Bluelight Records  BLR 3398 2 (EU)

1. Long Ago
2. I Just Came Up with a New Song
3. Wildflower
4. Be Friendly
5. High G
6. Get Me Some Money
7. Maybe I Gotta Make Some Music
8. In the Bushes
9. Memories from the Past
10. On the Roof
 
IT'S A BLESSING
Erja Lyytinen & Davide Floreno 2005
Bluelight Records  BLR 33116 2 (EU)

1. Welcome Song
2. Nobody Knows You When You're Down and Out
3. Frustrated Woman Blues
4. Whiskey Days
5. Hurry Make Love
6. Habanero
7. Love Me
8. Your Brown Eyes
9. Why
10. It's a Blessing
  『PILGRIMAGE MISSISSIPPI TO MEMPHIS』、ドイツのブルース・レーベルRuf Records へ移籍してのアルバムで、イギリスのブルースシンガー・ギターリストのエインズレー・リスターとイアン・パーカーの三人名義でのアルバム発表に成りました。
 このアルバムカバーは印象的でわたしが魅かれた要因の重要要素でした。録音地にテキサス州のDelta Recording Studio とテネシー州メンフィスのArdent Studio ニュージャージー州のShowplace Studios等を使用とアメリカへ渡っています。
 フィンランド録音時代のアルバムではどこかにアメリカの田舎への憧れ感を感じていましたが、このカバーデザインに表れています。
イリアが曲作りの関連しているのは "Last Love Song "(単独)、"Blues Caravan"、"Funky Mama"、"Dreamland Blues"(単独)の4曲。殆どがリゾネーター・ギターやアコースティック・ギターが主でスライド・ギターも少し聴けます。全体的に地味な感じ。エレクトリック・ブルース的な曲はトップ・ナンバー一曲のみです。これはエインズレー・リスターの作曲で、聴き応えはあると思います。

 『DREAMLAND BLUES』、『PILGRIMAGE』で共演したイアン・パーカーがプロデューサーとしてクレジットされています。そして今までのアルバム (内側・裏面写真をも含めて) に無かった ピックアップ付きのギターを手にした写真が初めて使われています。指には後にその名を有名にしたスライドバーをはめています。裏面写真にはMonster のギターアンプと一緒に写った写真が使われています。
 トップの "Skinny Girl" はアンプを使ったエレキ・ギターを使いスライド・ギターが炸裂です。彼女の手にしているギターのピックアップは独特で G&L のストラト型のComancheモデルで見た事ありますが、テレキャス型トリビュートスタイルで付いているのは初めて見ました。録音は多分『PILGRIMAGE』と同時期のDelta Recording Studio ("Dreamland Blues") とミシシッピー州のElectric Catfish Studio と記されています。"Best for You" はブルースではなくカントリー・タッチですがとても良い曲で大好きです、何度でも聴けます、イリアのオリジナル。"It Hurts Me Too" はボトル・ネック奏法のレジェンド、エルモア・ジェイムスの曲、ダビデ・フローレノがゲストでリズム・ギターを担当、イリアも気もちよくボトル・ネックで弾いている様です。"I Need Love (To Get Over You)" はイリア、イアン、ダビデの共作で若干カントリー調の軽いロック・ナンバーです。今までにロック・ドラムがハッキリと目立つ曲が少なかったので耳に残りました。 "Dreamland Blues" は、『PILGRIMAGE』収録時はヴォーカルが三人交代ヴァージョンでしたが、元はイリアのオリジナル曲なのでここではイリア単独ヴォーカルで収められています。"Nasty Weather" は悪天候というタイトルに似合ったけだるい感じのヴォーカルが似合っていますが、イリアのハスキーな声質にはミディアム・テンポのこういった曲調が似合うと感じます。12曲目が何故かボーナストラック扱いに成っているのですが、この曲のみヴォーカルがドラマーのケニー・キンブロウが担当していました。

 『GRIP OF THE BLUES』 、スライドバーを指にはめてギター・フレットの上に置いたアップ写真でカバーを飾ったアルバム、録音はフィンランドにあるスタジオで行われいます。この時期辺りからボトル・ネック奏法で認められたのでしょう。今回もプロデューサー兼ギターリストとして付き合っているダビデ・フローレノはすべての曲でリズム・ギター担当と成っています。四曲目と十曲目以外はイリアのオリジナル曲で八曲目と九曲目以外は結構粘っこいブルース系ロックで占められています。"Let It Shine" など作りはシンプルなのに印象深いです。
 また、"Unreachable" は日本の吉田たくろうさん風で "Voyager's Tale" はフレンチ・ポップス風でした。"Steamy Windows" はトニー・ジョー・ホワイトの曲で意外な選曲でしたがスライド・ギターの使い方をより粘っこく使用することでロックらしさを増しています。今までで一番ブルース・ロックを感じるアルバムです。

 PILGRIMAGE MISSISSIPPI TO MEMPHIS  DREAMLAND BLUES  GRIP OF THE BLUES
PILGRIMAGE MISSISSIPPI TO MEMPHIS (with Aynsley Lister and Ian Parker) 2006
Ruf Records RUF 1112 (Germany)

1. 1010°
2. All the Time
3. Heal Me Love
4. Last Love Song
5. You Don't Know
6. Too Much to Hide
7. Mississippi Lawnmower Blues
8. Blues Caravan
9. Funky Mama
10. Dreamland Blues
11. Twinkle Toes Willie
12. Time Bares Witness
  Bonus:
13. Jam with Mister Tater, the Music Maker
 
 
DREAMLAND BLUES  2006
Ruf Records RUF 1114 (Germany)

1. Skinny Girl
2. Why a Woman Plays the Blues
3. Best for You
4. It Hurts Me Too
5. Mississippi Callin'
6. I Need Love (To Get Over You)
7. Good Lovin' Man
8. Dreamland Blues
9. Nasty Weather
10. Join Everyone
11. Voyager's Rest
12. Lady (bonus track)
 
GRIP OF THE BLUES (2008)
Ruf Records RUF 1141 (Germany)
Basf BSMF-2096 (domestic editions)

1. Broadcast
2. Everything's Fine
3. Grip of the Blues
4. Steamy Windows
5. Inner Beauty
6. Let It Shine
7. Wish I Had You
8. Unreachable
9. Voyager's Tale
10. Rollin' & Tumblin'
11. Wanna Get Closer
12. Dissatisfaction
 
 『VORACIOUS LOVE』、このアルバムもフィンランドのスタジオでの録音で前作の延長線上にあるブルース・ロックを主にした構成です。確かに初期のオールド・ブルース・スタイル一辺倒ではセールスも見込めないでしょうし、アナ・ポポヴィッチと同様のタイプで続けて行く事は正解なのでしょう。アルバム内の数曲に違う系統の曲を入れていくのが良いのかも?
 このアルバム。一曲目、二曲目とファンキーなブルース・ロック・ナンバーながら "Bed of Roses" などはメタル・バンドが作ったバラード・タイプの曲の様で良い感じです。"Gilmore" "Can't Fall in Love" "No Place Like Home" などのオリジナル曲は彼女初期時代のアメリカの田舎的音楽に憧れていた時の様な曲で、時代が流れて聴くのもまた良い物です、これらの曲のベースだと思えるのがブラインド・ウィリー・ジョンソンの古き曲でブルース・コバーンやトム・ウェイツで知られた "(The) Soul of a Man" でしょう。元曲はゴスペル調ながらフォークやカントリースタイルのブルース調で歌われることが多いです。今回の表カバー、裏カバーどちらの写真もそのような昔の少女時代の写真のようにも思えます。 "The Road Leading Home" はスライド・ギターで作るインスト曲。

 『SONGS FROM THE ROAD』、このアルバムはメインがDVD盤でCDはサブ扱いに成っています。ライヴ録音、場所はフィンランド、ヘルシンキにあるSavoy-Teatteri という劇場で2011年11月16日。A&L のテレキャス型ギターを抱えて男性3人を加えての4人編成スタイルです。(ギターは赤、青、銀のラメ入りと取替えています)スタジオ盤ではミュージシャンが多数でいちいち記すのも億劫ですがここでは記しやすいです。ギターが Erja Lyytinen と Davide Floreno、ベースが Roger Inniss、ドラムス Miri Miettinenと成っています。
  "Crowes at Your Door"、"Mississippi Callin'" の 2曲がCD盤ではカットされています。映像で見ると、常に右足をエフェクターに乗せて左小指にはバーをはめっぱなし、高いハイヒール姿で弾くためか若干ガニ股風にも見えますので、男性ギターリスト達ほどカッコ良くは見えません。おまけにアイメイクのせいか怖い顔にも見えます。わたしも昔ははライヴ会場によく行ってましたが曲を聴くというよりその雰囲気を楽しんでいましたし、映像で見るようになってからは演奏スタイルや演奏方法の方が気に成ります。曲を聴く場合はやはりCDで聴く方が合っていると思います。
 ファースト・アルバムで既にボトル・ネックを聞かせていた曲 "Not a Good Girl" では12分ほどに延長してたっぷり演奏しているところはハイライトでしょうか?リゾネーター・ギター主体で弾いていた頃に比べエレキ・ギターに変えてからギターの腕も知名度も上がり続けている様です。トニー・ジョー・ホワイトの"Steamy Windows" は以前にスタジオ録音していますがロバート・ジョンソンの"Crossroads" は初録音です。ブルース・ギターを奏る人はロバート・ジョンソンやエルモア・ジェイムスにはほぼ影響を受けているでしょう。CD盤ラストの"Soul of a Man" は途中からスタジオ盤とは違うアレンジで軽めのファンキー・ロック風に成っていました。

 『FORBIDDEN FRUIT』、ベッドの上でギターを抱えたカバー写真にタイトルが「禁断の果実」、と何やら夜のムードが漂っていますが、トップ・ナンバーのイントロも夜の雰囲気で始まりました。久しぶりにストラト型ギターを手にしていますが、中のアップ画像で見ると Fender の文字が!愛用ブランドは G&Lオンリーだと思っていただけに意外でした。1曲目から3曲目迄は今までと違ったタイプの曲です。イリアのオリジナルですが1曲目、3曲目はアラン・ダービーとの共作に成っていますので彼の影響があるのでしょう。そして私的にはジャズ・シンガーのビリー・ホリデイで有名な "Strange Fruit 奇妙な果実" とタイトルが似た "Forbidden Fruit" がどうしても被ってしまうのですが、曲調でいえば哀しいメロが似ているとも取れます、途中のギターソロも哀しくて良い感じです。5曲目以降はスライド・ギターを活かしたブルース。5曲中3曲がオールド・ブルースのカバー、"Death Lette"(サン・ハウス)、"Press My Button"(リル・ジョンソン)、"Things about Coming My Way"(タンパ・レッド) と明らかに初心に戻った様な選曲です、特にサン・ハウスとタンパ・レッドはスライド・ギターで有名なブルースマンでした。

 VORACIOUS LOVE  SONGS FROM THE ROAD  FORBIDDEN FRUIT
VORACIOUS LOVE (2010)
Ruf Records RUF 1161 (Germany)
Basf BSMF-2168 (domestic editions)

1. Voracious Love
2. Don't Let a Good Woman Down
3. Crowes at Your Door
4. Bed of Roses
5. Bird
6. Gilmore
7. I Think of You
8. Oil and Water
9. Can't Fall in Love
10. One Thing I Won't Change
11. Soul of a Man
12. The Road Leading Home
13. No Place Like Home
 
SONGS FROM THE ROAD (2012)
Ruf Records RUF 1179 (Germany)

1. The Road Leading Home
2. Voracious Love
3. Don't Let a Good Woman Down
4. Everything's Fine
5. Grip of the Blues
6. Can't Fall in Love
7. Not a Good Girl
8. Steamy Windows
9. No Place Like Home
10. Crossroads
11. Skinny Girl
12. Oil and Water
13. Soul of a Man

DVD
1. The Road Leading Home
2. Voracious Love
3. Don't Let a Good Woman Down
4. Crowes at Your Door
5. Mississippi Callin'
6. Everything's Fine
7. Grip of the Blues
8. Can't Fall in Love
9. Not a Good Girl
10. Steamy Windows
11. No Place Like Home
12. Crossroads
13. Skinny Girl
14. Oil and Water
15. Soul of a Man
 Live at Savoy Theater, Helsinki, Finnland
 November 16, 2011

FORBIDDEN FRUIT (2013)
Ruf Records RUF 1188 (Germany)
Basf BSMF-2324 (domestic editions)

1. Joyful Misery
2. Hold on Together
3. At Least We Still Fight
4. Forbidden Fruit
5. Death Letter
6. Change of Season
7. Jealousy
8. Press My Button
9. Things about Coming My Way
 『THE SKY IS CRYING』、また発売レーベルが変わっています、フィンランドの Tuohi Records からの発売になりました。このレーベルはイリヤ自身が立ち上げた会社の様です。そして再びリゾネーター・ギターがカバー写真に写っています。どうやらHOS Electro Reso Guitar Erja Signature Model らしいです、他にいつもの G&LとFender のギターも使用と記されています。
 そして本作はイリヤのオリジナルは2曲のみで大半は他人の曲です。今までと真逆の構成ですね。そして全体的にはブルース・ロック全開・全快!と云った感じでしょうか、スライド・ギターの音が飛び散っています。アルバム・タイトルにも成っている曲はエルモア・ジェイムスの超有名曲、このページではジョアンナ・コナーが『SIX STRING STORIES』で披露しています。このボトルネックギター奏者の憧れエルモア・ジェイムス関連の曲が8曲も収録されています。殆どがどっぷりブルースですが、 "Sho Nuff (原曲名Sho Nuff I Do)" だけはカントリーっぽいです。また、イリヤのオリジナルになる "King Of The Slide Guitar" はボトル・ネック奏法を使用してはいますが他の曲に比べてブルース色は薄く何故かポップで明るく楽しい曲でわたしには`60年代中期のアメリカン・ポップスに聞こえました。

 『LIVE IN LONDON』、二作目のライヴ盤で前回はビデオ盤が主でしたが、今作は音源盤がメインに成っていました。2014年10月に、ロンドンにある 《100 Club》 というクラブでの録音です。 《100 Club》 は古くからあるクラブで、ジャズやソウル、ブルース等のほかローリング・ストーンズなどロッカーなども出演していた様です。ジャケット写真を見るとカントリー・シンガーのライヴ盤にも思えますが、内容はブルース・ベースの構成です。DVDの映像では前作DVDでも感じましたが、イリヤの顔は今回も怖い顔に見えました。
 映像盤で見るよりCD盤で聴く方が断然良い感じです。アルバム 『GRIP OF THE BLUES』、『FORBIDDEN FRUIT』、『THE SKY IS CRYING』 からの曲が主ですが、Bluelight Records 時代の曲もトップで演奏されています。選曲はイリヤ若しくはダビデのオリジナルが5曲、カヴァーが6曲(エルモア・ジェイムス5曲、フレッド・マクダウェル1曲)でカヴァーはボトル・ネック奏法で有名な二人の曲です。
 本盤で新鮮に聴こえたのは "Change of Season" でした、他曲とのバランスなのか地に足を付けた土臭さより「遠い空」を思い浮かべてしまいます。

 『STOLEN HEARTS』、このアルバムは今までのイリヤのアルバムの中で最も印象薄な部類に入ると思います。プロデュースやミキシング担当に Chris Kimsey の名がありますが、そのクリス氏の意向が多分に入っているのでしょうか? ブルースらしくない地味なロック・ナンバーが数曲続き、6曲目"Slowly Burning " でやっと`60年代末の様な哀し気なブルース・ロックが登場でした。"Lover's Novels" はオールド要素はありますが平凡な流れの曲でした。そして再び地味な曲が続きラストの "Broken Eyes " は静かなピアノが流れ、夜の都会を描いたような場面に流れる映画音楽的なバラードで驚きの結末でした。ジャケット・カバーの写真は疲れてしまったからでしょうか?

 THE SKY IS CRYING LIVE IN LONDON THE SKY IS CRYING
THE SKY IS CRYING  2014
Tuohi Records THC-001 (Finland/EU)

1. Person to Person
2. Baby Please Set a Date
3. It Hurts Me Too
4. Erja's Contribution to Jazz
5. The Sky Is Crying
6. Got to Move
7. King of the Slide Guitar
8. Sho Nuff
9. Something Inside Me
10. Hand in Hand
11. Dust My Broom
 
LIVE IN LONDON 2015
Tuohi Records THC-0002 (EU)

1. It's Blessing
2. Let It Shine
3. Person to Person
4. Hand in Hand
5. Grip of the Blues
6. Change of Season
7. Everything's Fine
8. Hold on Together
9. The Sky Is Crying
10. It Hurts Me Too
11. Dust My Broom

DVD
   Intro
1. It's Blessing
2. Let It Shine
3. Person to Person
4. Hand in Hand
5. Grip of the Blues
6. Change of Season
7. Everything's Fine
8. Hold on Together
9. The Sky Is Crying
10. It Hurts Me Too
11. Dust My Broom

STOLEN HEARTS  2017
Tuohi Records THC-006 (EU)

1. Stolen Hearts
2. Rocking Chair
3. Love Laboratory
4. 24 Angels
5. Black Ocean
6. Slowly Burning
7. Lover's Novels
8. Silver Stones
9. Awakening
10. City of Angels
11. Broken Eyes
 『ANOTHER WORLD』、今回はイリヤ自身の単独プロデュースで全曲オリジナル殆どがフィンランド内で録音、数曲は米ロサンゼルスの模様。一曲目から安心のギターが主のブルース調ロック・ナンバー。タイトル曲 "Another World" もアレンジによっては前作ラスト曲の様になって終うような曲ですが、ドラムスが前面に出てピアノでなく歪んだギター音が効き聴き応えのある曲に成っています。ブルース色が全くないポップ調の "Torn" は何故か声が可愛らしく聞こえます。全曲歌詞が掲載されていますが、英米の人たちにはイリヤの英語はかなりお国訛りがあるそうです。 "Break My Heart Gently" もブルースではなくヴォーカルを聴かすタイプの曲です。尚ブックレットの歌詞掲載最後に QRコードが記されていてボーナス曲 (MP3ファイル)  "Without You" がダウンロード出来るように成っていました。ロック調の曲で何故特殊扱いにしたのか現時点では不明です。普通に収録すれば良いのにと思えますが、今後、徐々に音楽曲の配信・ダウンロードでの販売が増えてきて CD のプレス枚数が減って行く時代に変わっていくのでしょうか?

 『WAITING FOR THE DAYLIGHT』、[Blues-Gitar Women] というページ・タイトルからはかなり離れてしまった感じのする構成です。
ロック・バンドのアルバムの様です。、ブックレット内の写真には長いネイル・チップを付けた物が掲載されていたり、前作アルバムのデザインの続きでしょうか、ファンタジーの世界のイメージで土の香りはほぼ消えています。
 そしてデビュー時から常に付き添っていてくれたダビデ・フローレノのクレジットは一切ありません。また収録されたロックのジャンルも曲によってはHR/HM にかなり寄っています。 私的にはHR/HM も大好きなジャンルですのでアルバムとしては別に気に入らないということはありません。ただ、この種のアルバムを作るバンドは世界中に沢山います。ブルースをベースにアルバム作りをしている人達の数の何十倍何百倍と居そうなので、余程ずば抜けた作品を一作でも生まないと沈んでしまいそうにも思えてしまいます。
 このアルバム内ではメタル・バンドが作りそうなマイナー調 "Run Away" が一番好きで、次がギターソロが効いている "Diamonds On the Road" 、少し落ちますが "Love Bites"  あたり迄でしょうか、また "You Talk Dirty" はデビューアルバムに収録されていた曲のセルフ・カバーになります。20年経っての再録はヘヴィーさが増し、モダン・ブルースからロック・ナンバーへと変貌していました。他の曲は平均的な普通の曲でしょうがアレンジ次第でまた変わるかも知れません。。

 『DIAMONDS ON THE ROAD - LIVE 2023』、このアルバムの前に『LOCKDOWN LIVE 2020』という同じくライヴ収録アルバムが出ていまして、「あつ出ているな。そのうちに・・・」と思っていたうちにあっという間に洋盤、国内仕様盤共に廃盤に成っていました。それは2020年5月という世界的に未知の新型コロナウイルス感染症が拡大中、他のコンサートはほぼほぼ中止の中、おして無観客で行われたライヴでした。話題も少なかったのでしょう、プレス枚数も少なく早くに廃盤化したようです。ただ数曲は映像で見ましたが確かにスタジオ録音一発録り的なモノでした。
 そこで今回は早めに購入したのですが、この衣装と怖くなったドヤ顔にドン引きです。2023年5月8日日本でも新型コロナウイルス感染症は2類感染症から5類感染症へ移行しましたが、海外では2023年早々には通常に戻っており、その3月11日に行われたフィンランドでのツアー模様の様です。タイトル曲 "Diamonds On the Road" はライヴ映像をネットでも見られますが、アルバム収録物と別のモノだと思います。
 今回のライヴ盤は2枚組2枚とも音楽盤です、全体的に Disc-1 の方が良かったです。わたしが彼女の中で一番地味なアルバムと思っている『STOLEN HEARTS』から2曲演奏されているのが少しの驚きです。"Lover's Novels" の方は少しワイルドなアレンジで平凡さが解消はされていますが、気に入る迄には成っていない感アリです。初めて聴く曲は "Väinämöinen Tuonelassa"、 "Crosstown Traffic" (唯一他人の曲で作者はジミ・ヘンドリックス) ですが、ジミヘンの曲を奏るのなら別の曲を聴きたかったです。

 ANOTHER WORLD  WAITING FOR THE DAYLIGHT  DIAMONDS ON THE ROAD - LIVE 2023
ANOTHER WORLD  2019
Tuohi Records THC-007 (EU)

1. Snake in the Grass
2. Cherry Overdrive
3. Another World
4. Hard as Stone
5. Wedding Day
6. Miracle
7. Torn
8. Break My Heart Gently
 Bonus
download file Without You
 
WAITING FOR THE DAYLIGHT
2022
Tuohi Records THC-016 (EU)
Basf BSMF-2794 (domestic editions)

1. Bad Seed
2. Last Girl
3. Run Away
4. Love Bites
5. Diamonds On the Road
6. Waiting for the Daylight
7. You Talk Dirty
8. Never Really Had You
9. The End of Music
 
DIAMONDS ON THE ROAD - LIVE 2023
2023
Tuohi Records THC-020 (EU)
Basf BSMF-2842 (domestic editions)

[DIsc-1]
1. Diamonds On the Road
2. Rocking Chair
3. Bad Seed
4. Black Ocean
5. Waiting for the Daylight
6. Väinämöinen Tuonelassa
7. Last Girl
8. Never Really Had You
[Disc-2]
1. You Talk Dirty
2. Lover's Novels
3. Wedding Day
4. Crosstown Traffic
5. The End of Music

 



name Various Album


 『A SENCE OF PLASE』はジョン・メイオールが1990年に発表したアルバムでブルースブレイカーズのメンバーでの正規ギターリストはココ・モントーヤの時代ながらアルバムクレジットにはadditional guitarでデビー・デイヴィーズの名がクレジットされています。デビーがメイオールの奥さんのバンドに在籍していた関係からかリズム・ギター(おそらく)で参加したのだと思います。どの曲なのか全曲なのか等は判りません。

 『ALBERT COLINS (aka.ICEMAN)』、アルバート・コリンズが生前に発表した最後のスタジオ・アルバム。ここではリズム・ギターとしてクレジットされています。彼に認められた証としてデビーにとっては忘れられない作品でしょう。

 『A TRIBUTE TO HOWLIN' WOLF』、初期シカゴ・ブルースをマディ・ウォーターズと共に代表するシンガーとして名を残しているハウリン・ウルフ。彼へのトリビュート・アルバムでバックメンバーは錚々たるメンバーをbackにデビー・デイヴィーズがゲストとして "Ooh Baby (Hold Me)" を歌いギターソロを披露しています。ドン・カスターニョ
A SENCE OF PLASE Albert Colins (aka Iceman)  A TRIBUTE TO HOWLIN' WOLF
A SENCE OF PLASE
John Mayall (with the Bluesbreakers)
1990
Island Records  260 637 (Germany)

1. I Want to Go
2. Congo Square
3. Send Me Down to Vicksburg
4. Without Her
5. Sensitive Kind
6. Jacksboro Highway
7. Let's Work Together
8. I Can't Complain
9. Black Cat Moan
10. Sugarcane
11. All My Life

main guitarist : Coco Montoya
additional guitarist : Debbie Davies
ALBERT COLINS (aka.ICEMAN)
Albert Colins
1991
Pointblank 7243 8 39194 2 0 (USA)

1. Mr. Collins, Mr. Collins
2. Iceman
3. Don't Mistake Kindness for Weakness
4. Travelin' South
5. Put the Shoe on the Other Foot
6. I'm Beginning to Wonder
7. Head Rag
8. The Hawk
9. Blues for Gabe
10. Mr.Collins, Mr.Collins (Faded Version)

rhythm guitar : Debbie Davies
A TRIBUTE TO HOWLIN' WOLF
1998
Telark Blues CD-83427 (USA)

1. Saddle My Pony
2. Howlin' for My Darling
3. The Red Rooster
4. Just Like I Treat You
5. Built for Comfort
6. Ooh Baby (Hold Me)
7. Riding in the Moonlight
8. Back Door Man
9. Baby How Long
10. Killing Floor
11. Howlin' Wolf Boogie
12. Smokestack Lightnin'
13. Come to Me Baby

Henry Gray, Calvin Jones, Sam Lay, Colin Linden, Eddie Shaw, Hubert Sumlin

with Special Guests
James Cotton, Debbie Davies, Ronnie Hawkins, Colin James, Cub Koda, Taj Mahal, Kenny Neal, Christine Ohlman, Lucky Peterson, Lucinda Williams, Henry Gray, Calvin Jones, Sam Lay, Colin Linden, Eddie Shaw, Hubert Sumlin

 
 『BLUES FOR A ROTTEN AFTERNOON』、最悪の情けない午後に慰めで聴いてみよう・・・といった曲集なのでしょうか?デビー・デイヴィーズが『HOMESICK FOR THE ROAD』で共演していたケニー・ニールと組んで一曲参加しています。 "Money" という`90年代後期のデビーのアルバムに数曲提供していたドン・カスタニョの曲でけだるい雰囲気のブルース・ナンバーです。

 『EXILE ON BLUES ST』、まるっきりローリング・ストーンズの大ヒットアルバム『Exile On Main St (メイン・ストリートのならず者)』とカバー・デザインがそっくりなアルバムでびっくりです。曲目もストーンズのアルバムからの抜粋カヴァーです。どうやらストーンズへのトリビュート・アルバム形式でブルース・シンガーたちが歌ったアルバムの様です。それぞれ楽器のソロ部分ではブルースを感じますが、ドラムスが聞こえてくるとやはりロック的な要素が表に出てくる感じです。(ただ "Ventilator Blues" だけはオリジナルがフォーク・ブルースを意識した作風だっただけにブルースです。) ここではデボラ・コールマンがキース・リチャーズの "Happy" を選んで歌い演奏しています。結構ロック色強し。

 『BLUES GUITAR WOMEN』、ドイツのRuf Records が企画した編集物で曲の編集にスー・フォーリーが携わっている様で、ライナー・ノーツは彼女が編集参加に感謝を込めて書いています。わたしの購入したのは輸入盤国内盤仕様品で2ページの解説が付いており、スーの全文和訳が記されていました。 確かに素晴らしい企画だと思いました。
 残念ながら、わたしがここで記そうとしているギターウーマンの中にスーは入っていませんが、書きたいと思っている5名は5名とも選ばれています。バーバラ・リンだけは既にR&B〜Soul畑のミュージシャンとして別途ページを作っています。("Lynn's Blues" は 『HOT NIGHT TONIGHT』 という彼女のアルバム内の曲です。) 5名以外の人の中には他人のカヴァーを演奏しているのが多いですが、ここで選ばれた5人の曲はすべて彼女たちのオリジナルです(バーバラ・リンもそうです)、それぞれソング・ライターとしてもシンガーとしても認められた人たちです。5人の曲はイリアの曲以外は既発アルバム内の曲でイリヤの"Dreamland Blues" は発売が決定している同名アルバム内の曲で2006年には発表されました。

 BLUES FOR A ROTTEN AFTERNOON EXILE ON BLUES ST   BLUES GUITAR WOMEN
BLUES FOR A ROTTEN AFTERNOON
2000
Telark Blues CD-83508 (USA)

1. Why Are People Like That/ Junior Wells
2. Credit Card Blues / Terry Evans
3. Misery and the Blues/ Maria Muldaur
4. Life Will Be Better/ Sugar Ray Norcia, Charlie Musselwhite
5. So Mean to Me/Luther "Guitar Junior" Johnson
6. Money /Debbie Davies, Kenny Neal
7. Love Had a Breakdown/ Son Seals
8. Killed the Goose That Laid the Golden Egg / Kenny Neal
9. How Do I Tell My Little Sister/ Lady Bianca
10. Somebody Gotta Do It /Sam Lay
11. If the Sea Was Whiskey /Willie Dixon Tribute
12. Brutal Hearted Woman /John Primer
13. Hen House / Marty Grebb

 
EXILE ON BLUES ST
2003
Telarc Blues CD-83571 (USA)

1. Ventilator Blues / Lucky Peterson
2. All Down the Line / Christine Ohlman
3. Rip This Joint/Tommy Castro
4. Sweet Black Angel/ Otis Taylor, Cassie Taylor
5. Sweet Virginia/ Jeff Lang
6. Tumbling Dice /Andrea Re (vo), Colin James (gt)
7. Shake Your Hips/ Tab Benoit
8. Shine a Light/Joe Louis Walker
9. Happy /Deborah Coleman
10. Rocks off / Jimmy Thackery
 
BLUES GUITAR WOMEN
2005
Ruf Records RUF 1110 (Germany)
Basf BSMF-2010 (domestic editions)

[CD 1]
<Contemporary Blues Guitar Women>
1. Can't Quit the Blues / Lara Price Band (featuring Laura Chavez)
2. Takin' It All to Vegas / Debbie Davies
3. The Man's So Good / Alice Stuart
4. Mediterranean Breakfast / Sue Foley
5. The River Wild / Deborah Coleman
6. Living on the Road / Joanna Connor
7. Navajo Moon / Ana Popović
8. Judgement Day Blues / Carolyn Wonderland
9. Lonely Lonely Nights / Eve Monsees
10. It's a Blessing / Maria Muldaur & Bonnie Raitt
11. Dreamland Blues / Erja Lyytinen
12. Lynn's Blues / Barbara Lynn
13. Goin' Down / Tracy Conover
14. Baghdad Blues / Beverly “Guitar” Watkins
15. Woke Up This Mornin' / Ruthie Foster

[CD 2]
<Traditional Blues Guitar Women>
1. Fool Me Good / Precious Bryant
2. Going Down This Road / Algia Mae Hinton
3. Doggie Treats / Sue Foley
4. Fixin' to Die / Rory Block
5. Dead End Street / Ellen McIlwaine
6. Rather Be the Devil / Alice Stuart
7. Streamline Train / Jessie Mae Hemphill
8. Nothing's Changed / Gaye Adegbalola with Rory Block
9. One Dime Blues / Etta Baker
10. Ain't Nothing In Ramblin'/ JoAnn Kelly
11. Down the Big Road Blues / Mattie Delaney
12. Motherless Child Blues / Elvie Thomas
13. Skinny Legs Blues / Geeshie Wiley
14. In My Girlish Days / Memphis Minnie

 

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